悪役令息の婚約者になりまして

どくりんご

文字の大きさ
9 / 10

セドとカテリーナの出会い

しおりを挟む

 感想から「セドとカテリーナの過去」が分からないのでと言われたので…(*・ω・)つ
 セド視点で始まります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 セドリックとカテリーナが出会ったのはカテリーナが十二歳、セドリックが十一歳の頃だった。


 セドリックは一人庭園を歩いていた。勉強から逃げ出してきた……と言ったほうが正しいだろう。

 ハッキリ言って勉強は嫌いだ。よく分からないし、親に怒られる。なぜ、姉のように出来ないのかと。

 姉は天才だった。

 勉強が出来てわずか十二歳で大人顔負けの知識を持ち、社交界の花。
 茶色のふんわりした髪に水色の色素が薄い透けるような瞳。鼻は高く、唇は綺麗なピンク色。
 弟の僕から見てもとてつもない美人。
 そんな姉は褒められてもにこりと笑うだけで心の底から笑っていない。

 僕は姉の感情が表に出ている所を見たことがない。
 そんな兄弟が仲が良くないのは当たり前だと言えるだろう。
 比べられるのは全部お姉様でうんざりすることも当たり前だと言える。


 僕が逃げ出すと真っ先に行くのは庭園だった。この時季は真っ赤な薔薇が咲いていていい匂いがするのでお気に入りだ。

 向かって進む度薔薇の匂いは濃くなっていく。ここに居ると心が軽くなるような気がする。
 歩いて、歩いて、ぐるぐると広い庭園を巡る。
 薔薇の香りに誘われるように歩いて行く。
「君は…」
 間抜けな声が出てしまう。
 サラサラとした金色の髪が丁寧に結われていてつり上がっている赤色の瞳はキラキラと光っているように見えた。
 胸の高鳴りが収まらない。
「…貴方は?」
 一瞬、意識がなかったように感じたがその子の声でハッと目が覚めたような気がする。
「僕は…「セドリック。先生方が貴方を探していたわ。早く戻りなさい。カテリーナ様、お相手をして下さってありがとうございました」
 姉の言葉を素直に聞いて戻ってもそれはどこか夢心地で胸の高鳴りはいつまでも収まらなかった。
「(彼女はカテリーナと言うのか)」
 これが恋だと気づいたのは早かった。

「セドリック。最近、勉学に集中出来てないらしいけれどどうかしたの?」
 僕の無言にはぁ、とお姉様は息を吐いた。
「カテリーナ様に恋をしたの?」
 直球。
 普段の姉なら考えられない言い方に戸惑いもあったけれどそれは本当のことだった。
「うん。僕はカテリーナ様のことが好き」
 だけど真実を告げた。自分の気持ちに正直になったらすんなりと言葉が出た。
「カテリーナ様は王太子殿下の婚約者よ」
 無情にも返されたのは悲しい現実だった。社交界に出れば誰でも分かるような事実を信じたくなかった。
 すぐに分かった。彼女が皇太子殿下の婚約者だってことぐらい。
「奪えばいい」
 姉が告げたのは王家や貴族が聞いたら即刻、罪が罰せられるような内容だった。
 姉は僕の戸惑いを気にせず話続ける。
「セドリック。貴方はカテリーナ様のことが好きだと告げた。貴族としては間違った行動だけれど私はその行動に好感を持った。」

「私はカテリーナ様に幸せになって欲しい。だからセドでも王太子でもどっちでもいいの」

 姉の王太子発言から姉には考えられない言葉遣い。そんなことは気にならない。
「どうする?」なんて聞いてくる姉に答える。答えは一つに決まってるから。

「殿下からカテリーナ様を奪ってやる。彼女を幸せにするのは僕がいい」

 あり得ない話が現実になるか分からない。だけど僕が彼女を幸せにしたい。
 だからよろしくね

 そのあと、姉さんのスパルタ修行で完璧な王子様になったセドリックとカテリーナがくっついたのは……また、別の機会にでも。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 カテリーナは初めからセドが好きだった訳じゃありません。押しに押された感じ。
 メリー&セドを魅了するフェロモンでも出してるのかな? 
 あと、「悪役令嬢に転生したら溺愛された(なぜだろうか)」の後日談みたいなやつかきはじめました。よろしくお願いします(*´∇`*)
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生先は推しの婚約者のご令嬢でした

真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。 ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。 ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。 推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。 ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。 けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。 ※「小説家になろう」にも掲載中です

頭頂部に薔薇の棘が刺さりまして

犬野きらり
恋愛
第二王子のお茶会に参加して、どうにかアピールをしようと、王子の近くの場所を確保しようとして、転倒。 王家の薔薇に突っ込んで転んでしまった。髪の毛に引っ掛かる薔薇の枝に棘。 失態の恥ずかしさと熱と痛みで、私が寝込めば、初めましての小さき者の姿が見えるようになり… この薔薇を育てた人は!?

助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした

Karamimi
恋愛
15歳のフローラは、ドミスティナ王国で平和に暮らしていた。そんなフローラは元公爵令嬢。 約9年半前、フェザー公爵に嵌められ国家反逆罪で家族ともども捕まったフローラ。 必死に無実を訴えるフローラの父親だったが、国王はフローラの父親の言葉を一切聞き入れず、両親と兄を処刑。フローラと2歳年上の姉は、国外追放になった。身一つで放り出された幼い姉妹。特に体の弱かった姉は、寒さと飢えに耐えられず命を落とす。 そんな中1人生き残ったフローラは、運よく近くに住む女性の助けを受け、何とか平民として生活していた。 そんなある日、大けがを負った青年を森の中で見つけたフローラ。家に連れて帰りすぐに医者に診せたおかげで、青年は一命を取り留めたのだが… 「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」 そうフローラを怒鳴りつける青年。そんな青年にフローラは 「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!」 そう伝え、大けがをしている青年を献身的に看護するのだった。一緒に生活する中で、いつしか2人の間に、恋心が芽生え始めるのだが… 甘く切ない異世界ラブストーリーです。

本当に現実を生きていないのは?

朝樹 四季
恋愛
ある日、ヒロインと悪役令嬢が言い争っている場面を見た。ヒロインによる攻略はもう随分と進んでいるらしい。 だけど、その言い争いを見ている攻略対象者である王子の顔を見て、俺はヒロインの攻略をぶち壊す暗躍をすることを決意した。 だって、ここは現実だ。 ※番外編はリクエスト頂いたものです。もしかしたらまたひょっこり増えるかもしれません。

【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します

凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。 自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。 このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく── ─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─

攻略対象者の婚約者を持つ姉の代わりに、エンディングを見てきました

犬野きらり
恋愛
攻略対象者の婚約者を持つ姉の代わりに、エンディングを見てきました… というタイトルそのままの話です。 妹視点では、乙女ゲームも異世界転生も関係ありません。 特に私(主人公)は出しゃ張たりしません。 私をアピールするわけでもありません。 ジャンルは恋愛ですが、主人公は恋愛していません、ご注意下さい

やさしい・悪役令嬢

きぬがやあきら
恋愛
「そのようなところに立っていると、ずぶ濡れになりますわよ」 と、親切に忠告してあげただけだった。 それなのに、ずぶ濡れになったマリアナに”嫌がらせを指示した張本人はオデットだ”と、誤解を受ける。 友人もなく、気の毒な転入生を気にかけただけなのに。 あろうことか、オデットの婚約者ルシアンにまで言いつけられる始末だ。 美貌に、教養、権力、果ては将来の王太子妃の座まで持ち、何不自由なく育った箱入り娘のオデットと、庶民上がりのたくましい子爵令嬢マリアナの、静かな戦いの火蓋が切って落とされた。

【完結】双子の入れ替わりなんて本当に出来るのかしら、と思ったら予想外の出来事となりました。

まりぃべる
恋愛
シェスティン=オールストレームは、双子の妹。 フレドリカは双子の姉で気が強く、何かあれば妹に自分の嫌な事を上手いこと言って押し付けていた。 家は伯爵家でそれなりに資産はあるのだが、フレドリカの急な発言によりシェスティンは学校に通えなかった。シェスティンは優秀だから、という理由だ。 卒業間近の頃、フレドリカは苦手な授業を自分の代わりに出席して欲しいとシェスティンへと言い出した。 代わりに授業に出るなんてバレたりしないのか不安ではあったが、貴族の友人がいなかったシェスティンにとって楽しい時間となっていく。 そんなシェスティンのお話。 ☆全29話です。書き上げてありますので、随時更新していきます。時間はばらばらかもしれません。 ☆現実世界にも似たような名前、地域、名称などがありますが全く関係がありません。 ☆まりぃべるの独特な世界観です。それでも、楽しんでいただけると嬉しいです。 ☆現実世界では馴染みの無い言葉を、何となくのニュアンスで作ってある場合もありますが、まりぃべるの世界観として読んでいただけると幸いです。

処理中です...