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 周りの静寂の中、注目されてるこの国の王様をじっくりと見る。
 キレイな金髪に王子より少し濃い色をした青い目。
 歳を感じさせない外見をしていらっしゃる。だけどあまり私はこの人を好きじゃない。
「メリー嬢が余に教えてくれた。余は信じられなかった…だがこの場に来てそれが真実だと知ってしまった。知らぬふりはもう出来ない…!!」
 皆が同時に息を飲む。
 皆が彼に同情する。
 皆が彼に味方する。
「(これだから食えない人だ。一瞬で人を味方につけた)」
 メリーは一人心の中で舌打ちする。
 今まで私たちがどれほどカテリーナ様と王子の婚約解消を望んでも首を縦にふらずニッコリと笑っていたこいつはあっさりと息子を手放した。
「(息子を手放し、信頼を得た……か)」
 価値がないとわかったら即刻とは恐ろしい人だ。王としては頼もしい…これが正しいのかは分からないけど親子の情にとらわれず冷静なところは割りと好きだ。

 カテリーナ様との婚約が破棄されたからもういらないと捨てられた王子は放心した様子だ。
「カテリーナ嬢が無罪なことぐらい余は把握しておる。余の実の娘のようなに冤罪をかけるなどいくら息子であろうと許さん!こやつを牢獄に入れろ!」

 王の命令は全騎士に行き渡り王子の元に集まる。王子もミア(様づけしなくていいや)もどこか心ここにあらずな状態だった。
「そんな、父上!嘘…ですよね?こんなことあり得ませんよね!?」
 放心状態から戻ったロイドに一瞥もくれず王はどこかを見据えていた。

「すまんな、せっかくのパーティーを台無しにしてしまった。引き続きパーティーを楽しんでくれ」
 この言葉を最後に国王はパーティー会場を出ていった。
 そのあとは凄かった。
 王子の話に陛下の話。色々な憶測が出回っている。次の王太子は第二王子が?”元”王太子殿下が牢獄なんていったいどうなるの?等々。
 そのパーティーを私達は静かに抜け出した。










 数日後
 私達は王城に呼び出された。
 謁見なんてものじゃなくて個室の部屋に呼び出されただけだ。
「この度は本当に申し訳ない」
 国王陛下が頭を下げるとは中々に絶景である。ここにはそれを止めるのがカテリーナ様しかいないからそれもまた面白い。
「どうか頭を上げてください。もういいのです…」
 カテリーナ様は心の底からこんなことを思っているのだからここのどこが悪役令嬢か私は聞きたい。
「そうか、カテリーナ。婚約者がいないのなら余が探そうか?第二王子などどうか?」
「ご心配にも及びません。カテリーナは俺が幸せにしますから」
 懲りない王様とマウントをとっているのはセドリックだ。
 婚約破棄された次の日にはもう婚約が決定していた。仕事が早すぎだよ。
 今までの分カテリーナとイチャイチャするって意気込んでた。


 そのあとも他愛のないお話をして時を過ごす。


 一日なんてあっという間ですでに空は夕焼けだった。

 この世界に生まれて沢山のことがあった。辛いことも楽しいことも沢山…。
 本当は居ない存在のはずなのにどんな時でも隣にいてくれた彼に目を向けた。
「…どうしたの?」
「いや、幸せだなって…」
 手を握ってくれている彼に向かって言うともっと強く握られた。
 貴方に出会えて世界が色づいた気がする。
 未来はとっても変わった。変わらないこともあったけど変わることもたくさんあった。少なくとも貴方は私の側にいてくれた。
「好きだよ」
 自然と出たその言葉は初めて彼にいったかも知れない。実は主人公に少し怯えていたのかもしれない。驚いている彼の手をぎゅっと握り返す。
「うん、僕も…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 これにて本編完結です。
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