侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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フレデリック殿下にお会いします!

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「お久しぶりでございます。リリアン・サレットでございますわ」

 と言って淑女の礼をした。


******


 はぁっ。ここまでくるだけで疲れたのっ! あれは家を出る時の事……


「リリアン! なんだ! そのドレスは! 似合わないから違うものに着替えなさい!」

 朝っぱらからギャンギャンと煩くてよ! お父様


「リリーには少し早い色合いではなくて? リリーは色が白くて可愛いのだからピンクとか可愛い色合いが似合うのに! 今しか着られないドレスというのがあってね、」


 お母様も朝からお疲れ様です。


「あら! せっかくアドバイスをいただいたのに、もう時間だわ。急がないと約束の時間に遅れてしまいますわ! それではごきげんよう」

 お母様直伝の完璧な淑女の礼をして両親の前から足速に立ち去った!


 グロスの効いた赤のリップに紺色のドレスよ! パールがふんだんに使われていてエレガント!

 髪は後毛が色っぽくアップに! 首周りが少しセクシー! のはず!


******


「リリアン、頭を上げてくれ。しばらく見ないうちに……? 成長したようだね」

 扇子を取り出し、口元を隠しておほほほほ。と笑った。

「嫌ですわ。わたくしももう16歳ですもの。成長もいたしますわ」


 フレデリック殿下も身長が伸びて、落ち着いた声になっていた。顔つきも変わったし、大人っぽい雰囲気だ。



「なんだろう? 雰囲気がかわったというか……ドレスの趣味が変わったのかい?」

 視線を感じるけれど、不躾な感じもない。


「あら、似合いませんか? 最近のお気に入りですのに、殿下の趣味ではありませんでしたのね。残念ですわ」


 これでさらに嫌われたわね! ドレス効果よ!


「うーーん。5、6年後にそのドレスが似合うような年頃になると思う。まだドレスに着られている。って感じかな。個人的には嫌いではないよ」

 褒めているつもり? な訳ないか。


「さて、今日はリリアンの好きなものを聞いて用意しておいたんだ」

 奥にあるテーブルに案内された。するとそこには……


 ごくんっ! 目の前にはフルーツがふんだんに使われているスイーツ達がキラキラと輝くように並んでいる。宝石が並べてあるより価値があるわ……


「まぁ、わたくしの為にありがとう存じます」


 うぅっ……食べたい。脳が欲しいと叫んでいる! でも我慢よ! 

 幼い頃に餌付けされていた事を思い出した。大人に怒られた後もスイーツを出されて泣きながら食べたわ。

 泣きながら食べたものだから、涙で甘くてしょっぱくて……あまじょっぱい? と言う味を覚えたの! 嫌な思い出ね。


「どうかした? 甘いものが好きだっただろう?」


「幼い頃の話ですわ。今は、」

 きゅるるるる……とお腹が鳴った! なんて言うタイミング!!


「くっくっくっ……。体が欲しがっているようだけどね。無理強いはしないよ」


 かぁぁ……っと顔が赤くなる。うっ。泣きそうだわ



「わ、悪かった! そんな顔をしないでくれ……私は少し席を離れるっ! 急な用事を思い出した。10分後に戻るから楽にしててくれ! いいね!?」

 フレデリック殿下が席を立ち扉が閉められた。お腹が鳴ったのは不可抗力よ! 




 でも……せっかくだからちょっとだけ味見しようかな。



 殿下もいないし良いよね?
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