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ソワソワする少女
しおりを挟むリリーとの面談? 途中で席を立った。可愛いお腹の音が鳴り恥ずかしそうに泣きそうな顔をしたから。たまらないあの顔が……意地悪を言って泣かせたくなりそうになった!
これではいかん! と思い自分を落ち着かせるようにと思い席を立った。
リリーは今頃何をしているだろうか? 隣の部屋に入り、扉から外に出てリリーがいる部屋を覗いた。
するとそこには幸せそうな顔をしてスイーツを食べるリリーの姿が!
なんだ。我慢していたのか……
リリーと最後にあった数年前は淡い色のふわっとしたドレスを着ていた。これがまたよく似合っていたのに、久しぶりに会ったリリアンのドレスは紺色に、パールがふんだんに使われている大人が着ているようなドレスだった。
肩周りが強調されアップにセットされた髪型、後毛が色っぽく見えた。
サラサラヘアーのリリアンは可愛かったのにどう言った心境の変化だろうか? それにあの話し方はなんだろう? 面白いからしばらく様子を見てみようと思った。
それにしてもよく食べるな。見ていて飽きないが時計が目に入った。
そろそろ10分経つ頃か。戻らないとな!
「リリー待たせて悪かった。先ほどの執務で急に思い出したことがあって、」
姿勢良く座り直すリリーだが、口元にクリームが付いていた。
「まぁ! お忙しい中わたくしの為に時間を割いて下さりありがとう存じます。わたくしお邪魔でしたら今日は退出致しますわ!」
そうはいかない! リリーは帰りたいんだろうか? 私はリリーに会えて嬉しいのに!
「そう言うわけにはいかないよ」
立ち上がりリリーに近寄り口元に付いたクリームをそっと拭った。
「きゃぁ!」
何が起きたのか理解できなかったリリーは、ハンカチを見てクリームがついていた事に気がついたらしい。
「あ、こ、これは、その」
あたふたするリリー。顔が赤くなっていた。首元まで……露出しすぎではないだろうか!
可愛いリリーがこんなドレスを着ていたら子息という名の狼どもに狙われてしまうではないか! 侯爵はなぜこんなドレスの着用を許したんだろうか。
「いや、待たせた私が悪かった。すまないね。お茶も冷めてしまったようだし、少し散歩にいかないか? リリーはバラ園が好きだっただろう? 私が留学に行っている間に新種のバラを植えたらしくて、今が見頃なんだ」
見事なバラよ! と母が言っていたがリリーが来るから一緒に見ようとまだ確認していなかったから私も実際目にするのは初めてだ。
「いえ。殿下は執務がお忙しいと聞きましたもの。バラ園に興味はありますけど、どうぞ執務にお戻りください」
作り笑顔のリリー。なんだその顔は、そう言う顔をするから意地悪したくなるんだろうが! っと、いけない。リリーといるとそんな感情が湧いてくる。困った。平常心ではいられない。
一呼吸して落ち着かせる。ふぅ。
「案内しますよリリアン嬢。それとも私と居てはつまらないからそんなつれない態度をされるのですか?」
平常心、平常心……
「そう言うわけではありませんわ」
「それではお付き合い下さい」
そっと手を出し笑顔を見せると、おずおずと手を乗せてきた。
小さな手だな。立ち上がらせてリリーの全体を装いを改めて見た。
あれだ! 大人に憧れて背伸びする少女と言った感じだな。そう見ると微笑ましいではないか!
「ここは足元が悪いから、ちゃんと腕に捕まって」
ちょこんと捕まる腕をしっかりと組ませた。
「懐かしいね。リリーとこうやって散歩するのは」
「そうですわね」
「あの木覚えている? リリーが泣きながら必死で私の後を追って登ってきたね。あそこから見る風景が私は好きだったんだよ。リリーにも見せたくて無理を言ったね。あぁ、懐かしいな」
色褪せないリリーとの思い出の日々……
「そうですわね。その後両親に怒られて3日間部屋から出る事を許されませんでしたわ……懐かしいですわね」
これか! カサール嬢が言っていた思い違いとは!
「すまなかった! 私はあの木の上から眺める街の様子を見るのが好きで、とっておきの場所だったんだ! リリーにも見せたくて……そうだよな。木登りをしてドレスの裾が破れて降りられなくなって……あの時もリリーは泣いていたか……そこまで考えていなかった。私のせいだな」
「たしかに景色は美しかったような気もしますわね。昔のことですわ」
つん。と顔を背けるリリアン
「……悪かった。今度ドレスをプレゼントするよ」
リリアンには淡い色が似合う! 絶対! プレゼントとしたドレスを着て一緒に夜会に行けたら幸せだろうな。
「結構ですわ。先日お父様にたくさん買ってもらいましたもの。ドレスは間に合っています」
そんなことを言われると意地悪したくなる……ダメだなぁ。
「今日のドレスもその中の1枚かな?」
「えぇ。そうですけど、なにか?」
ニヤリと笑う。リリーの態度が悪いから仕方がない。
「わざわざドレスを新調してくるなんてリリーは私に会うのを楽しみにしてくれていたんだね。成長した事を見せたかったが為に背伸びをして大人びたドレスを着て私に会いにきてくれて嬉しいよ」
リリーが私の腕を組んでいた手とは違う方の手を取ってキスを落とした。
「な、そんな、違いますわ」
「リリアンは可愛いね。そんなに否定しなくとも私は分かっているよ。さぁ、バラ園に到着だ」
「わぁーー綺麗ーー!」
笑った顔は16歳の少女らしい。昔と変わらない屈託のない笑顔。
泣いた顔は唆るけど笑顔の方がいいに決まっている。
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