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星空
しおりを挟むとにかく此処にいては危険だ。と、リアンさんが言って展望台に戻った。危険物でもあるのかな?
「あれ? さっきと何か違うね」
「あぁ。すぐに覗けるようにセットしてくれたんだろう。親父が大事にしてるから俺が変に触るより良いよ」
お義父様が執事さんに私たちが来るからと指示してくれたんだろうってリアンさんは言った。
「今日は空気が澄んでいて、裸眼でも流れ星が良く見える」
「わぁ。本当だキレイだね。星空をこんな風に見るなんて懐かしいね! 昔住んでいた山で見た以来だよ。マリアの初めてはリアンさんが教えてくれる事ばっかりだよ」
「誤解を招きそうな言い方だが……まぁ、そうだな……俺も人に何かを教えると言う経験は初めてだった。それにマリアに教えられた事もある」
? 私がリアンさんに教えた事? 全く見当がつかない。眉間に皺を寄せ天を仰ぐような形になる。考えても答えは出ない。うん。ない!
「……リアンさんの思い違いじゃないのかな?」
「こんなに人の幸せを願ったのは初めてだし、誰かの為に身を引くことも初めてだった。それに手放したくない。と思ったのも初めてだよ。マリアは俺の辛い時に一緒にいてくれて生活をしていく中で……まぁなんていうか、守るべき対象……いや愛情ってのを教わった。それにマリアも俺のことを好きでいてくれるしな」
「……だよ」
「なんだ?」
「誉め殺しだよー! もうこのままリアンさんのお嫁さんになる」
リアンさんにぎゅっと抱きついた!
「……いや、それはダメだろ」
何で急に真顔! そこはオッケーしてくれなきゃ!
「なんでっ。結婚してくれるんでしょう? もうリアンさんの、っくしゅ」
マリアベルがくしゃみをした。
「さすがに夜着じゃ冷えたか? 戻ろう」
……はじめての夜ふかしで少し眠たくなってきたし、冷えたのかな。話の途中なのに……星もまだ見たいよー。
「ちゃんと掴まっておけよ」
ひょいっと横抱きにされた。昔はよくおんぶしてくれたよね。リアンさんは背が高いからおんぶされると視線が高くなって楽しかったなぁ。
心地よい揺れで瞼が重たくなってきたよ……手がぶらんってなった。
******
「おやすみ、良い夢を……」
マリアをベッドに寝かせて頬にキスを落とすと、ふにゃっと笑った。寝ている顔はあどけなく昔の面影が残る。
「そんな顔誰にも見せるなよ……」
******
あれ……ベッドで寝ている。昨日星空を見てリアンさんに抱っこされて……そのまま寝ちゃったの?! どれだけ寝つきが良いんだか……
昨日リアンさんとキス……したよね? 唇と唇が重なったよね? あれは夢じゃない、よね? 唇に指を当ててみた。きゃぁ……ベッドで足をバタつかせて悶絶していた。
コンコンコン……
「お嬢様。お目覚めですか?」
「はい、どうぞ」
体を起こして自然体を心掛けるけれど、にまにましていると思う。
メイド達が部屋に入ってきて朝の準備を手伝ってくれた。
「お食事はどうなさいますか? フロリアン様はそろそろ出仕されるお時間です」
時計を見るとまだ早い時間だった。
「お見送りに行くわ」
「はい。喜ばれると思いますよ。その後に朝食にされますか?」
「うん。そうするね、ありがとう」
ギリギリまで寝かせてくれたんだよね。あと少し起きるのが遅かったら起こしてくれたんだろうね。着替えも全部用意してくれていたし、本当によく出来たメイド達だよね。
階段を降りるとちょうど出掛けるようで、行き違いにはならなかった!
「リアンさん」
「起きたのか? まだ寝てて良いんだぞ」
「リアンさんこそ私より遅く寝ているだろうし、早く起きているのに私がそんなわけに行かないよ。それにいってらっしゃい。って言いたかったから……」
少しだけ照れもあるんだけど、ちゃんとお見送りしたいと思う気持ちの方が強い。
「……行ってくるよ。寝顔も良いけれどやはり起きている顔の方が良いな」
なんて事をっ! 使用人達が微笑ましい様子でこちらを見ているが、気を遣って扉の前でお見送りのようだ。
「寝顔だなんて、はずかしいよっ!」
「他の男に寝顔を見られるんじゃないぞ。襲ってくれ。と言っているようなもんだからな」
「……そうなの?」
「そりゃそうだろう。なんだ? その顔は」
「気をつけるね。あまり気にしたことがなかった」
「どういう意味だ?」
「学園で馬車を待つ間に本を読んで、ついそのままうとうと……して声をかけられてハッとする事があったけど……友達だから大丈夫だね」
「……男か?」
「アレックスとかピノ伯爵子息だよ。伯父さまの夜会で紹介したよね?」
「……馬車を待つ時は仲の良い令嬢と待て。おしゃべりをしていたら、あっという間だろ。学園では居眠り禁止だ」
「気をつけるね!」
「はぁっ……行ってくるよ。なるべく早くに帰って来られるようにするから、夕飯は一緒に取ろう」
夕飯までに帰ってくるんだ! これはやる気に繋がったよ。
「待っているね。気をつけて」
リアンさんは行ってくる。と言い歩を進めたが、ピタッと立ち止まり戻ってきて、頬にキスを落としてさっさっと行ってしまった。
もっとして欲しいのになんて言うと、はしたないよね……
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