婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの

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アリスは生意気

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 ある日アリスの婚約者である第五王子殿下フランツが、ブラック伯爵家にやってきた。


 伯爵夫妻クレイグ様、ジェレミー様、私、アリスフィアが出迎えた。私はその時に初めて殿下と対面した。


 シルバーの髪の毛、ブルーの瞳はまるで朝に見る穏やかな海のように美しかった。彫りが深くて色が白くてなんて美しい人だろう。そう思った。緊張しながらもフランツ殿下に挨拶をする。


『初めまして。ブラック伯爵家でお世話になっているレイラと申します』

 カーテシーをした。緊張をして震えていたけれどそこは愛嬌よね? あれだけ練習したもの。


『あぁ。君が噂の男爵の養女とかいう?』



 ……酷いわ。アリスが関係のない殿下にまで私が養女だと悪口を叩いているなんて。すると自然とポロポロと涙が溢れ出てきた。

『なっ、どうしたと言うのだ!』

『レイラ、どうかして? 気分でも悪いの?』

 アリスが声をかけてきた。白々しい! 

『アリスフィア様が……くすん。私のことを殿下に悪く伝えているのだと思ったら自然に涙が……』


『なんのこと?』


 首を傾げアリスが私に触れてきた。私はその手を振り払った。


『私が何か不容易な発言をしたのだろうか……』


 殿下が困ったような顔をした。私は泣きながら庭へと駆けて行った。きっと追いかけてくれるわね。案の定殿下が追いかけてきた。不機嫌そうだったけれど私には優しかった。


『アリスに文句を言われたよ。私が君を養女と言ったからだろう。すまない君を傷つけるつもりはなかった』

 身分の高い人に謝られるって気分が良いものね。

『いいえ……私がナーバスになっていたんです。最近アリスフィア様には距離を取られているのかあまり話をしなくなったので……嫌われているものだとばかり。なので殿下気になさらないでください』


 涙目でにこりと微笑むと殿下は照れたようだった。不機嫌そうな顔はもう見られない。少しの嘘はスパイスだってロマンス小説にも書いてあったから少し嘘をつく。


『君は素直で良いね。アリスなんか生意気で仕方がない……先日も少し口論したが謝りもしない。アリスが母達の茶会を珍しく断るものだから私のせいになってしまい、こうやってご機嫌取りに来たくらいだ』

(王宮にしばらく来るなと言っただけだ)


 いつもは良い人ぶってるのにやっぱり生意気なんだ。ジェレミーにも教えてやらなきゃ。ジェレミーはアリスが大好きで何かにつけてアリスとの時間を作っては一緒にいる。


『まぁアリスフィア様は殿下の前ではそんな感じですのね。知りませんでしたわ』


 殿下からアリスの話を引き出す。へー。仲は良くなさそう。そういえばアリスから殿下の話聞いたことないわね。聞いても答えてくれないし。



 アリスが話をしないのは機密情報を保持しているから。書類の整理をしていたら極秘の物も中にはある。しっかりと管理されているが口端からぽろりと出ると言う可能性もあるのだが、小さい頃からそこはしっかりと王宮で教育されている事からポロリと出ることはまずない。王宮であったことは話をしないからだ。


 例えば王宮でお茶会をしたと言う事や庭園に咲くバラが美しかった。


 これは何も問題はない。


 しかし王宮に行き王族のプライベートガーデンで、誰々とどのような話をしたかだのと詳細な場所や内容は言えないし、言わない。

 王宮で出された菓子が美味しかった。は問題ない。それに誰とお茶をした。くらいなら問題はない。


 故にアリスは王宮で何をしているかという事はレイラは知らない。ただキレイなバラを見るために遊びに行っている。と思っていてもおかしくない。


『母上や義姉達と仲が良いものだから何かあったら、私達兄弟が悪くなってしまう。私なんかよりも絆が深いのだろう』


 そう言って苦笑いをする殿下の顔を見て、時が止まったように思えた。なんて素敵な方なんでしょう……もっと笑った顔が見てみたい。そう思った。

 
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