22 / 93
レイラは勉強嫌い
しおりを挟む「…………分かりません」
「きちんと課題をしていれば簡単な問題です。貴族令嬢として生きていくと決めたのですよね? それなら必死で覚えてください。貴族として生きていく事を諦めますか?」
それはいやよ! 何よ! 綺麗に着飾って美味しいお菓子を食べて平民を馬鹿にしたように生活するのが貴族なんじゃないの?
ご飯も好きに食べられないし、出される順番も決まっているし堅苦しいったらないわね。面倒だから一気に出してくれれば良いのに……お茶を飲むだけなのに、音を立てるなだの香りを楽しめだの。おしゃべりしながら好きに飲み食いすれば良いじゃないの。
でもご飯が食べられない生活はもう嫌!
「もう一度復習します」
そう言って謝る日々……字が読めるようになってからは使用人に本を勧められた。
『この本がとっても市民の間で流行っていますよ。面白いので次へ次へと読みたくなります』
自由時間にも勉強しろって言うの? 悪魔のような笑みにしか思えない。でも読み始めると面白くて、一冊を読み終えた。
悔しいけれど文字を読んだり場面を想像したり勉強になったし、何かに集中すると言う事も覚えた。
本を読むのは日課になった。
ダンスの時間ではヒールの靴で靴擦れもしたし足をひねる事もあったしドレスの裾を踏んで転ぶ事も多々あった。
貴族の令嬢って大変……
「腫れていますね。しばらくダンスの授業はお休みにしましょう。ダンスの時間は刺繍の時間に充てましょう」
刺繍にレース編みまで……指に針が刺さって血が出た。刺繍を入れていたハンカチに血がついてしまった。
練習用だし血抜きをすれば問題ないからと、最後までやりきった。レイラのLを飾り文字にして刺繍をした。出来た頃にはハンカチは血だらけだった。
そして毎日の座学をなんとか終えて学園に入学することが出来た。
男爵がアリスの父に私を紹介した。学園に入学するからと遠縁であるブラック伯爵家に挨拶に行った。するとそこには綺麗な女の子が居て寮に入るくらいなら家で一緒に過ごさない? と言ってきた。男爵は申し訳ないと断ったけれどアリスが面倒を見るのならうちは構わない。と伯爵様が言った。
男爵家は豪華な暮らしだと思っていたけれど伯爵家はもっと凄かった……だから
『アリスフィア様、お会いできて嬉しいです。よろしくお願いします』
と、可愛く甘えた。孤児院での私を知っていたようでとても嫌な思いをしたけれど、もっと上を目指すならこの家よりも更に上の階級へ。
学園でクラス発表があった。アリスはSクラスで私はBクラス……? 寝る間も惜しんで勉強したのに!
それからアリスは私の勉強の時間を邪魔するようにお茶会に誘ってくる。あんたの友達とお茶会なんてしても楽しくないっての! みんな腹の中では何を思っているか分かんないじゃない!
『素敵なドレスね』
ある令嬢が言ってきた。え? このドレス? 私あまり好きじゃないんだけど! 地味だし。心の中で舌打ちをして
『まぁ、ありがとうございます。このドレスはアリスフィア様が選んでくださったのです』
紺色のドレスなんて地味よね! 赤とか青とかのカラーが着たいのに! 嫌がらせよね! と心の中で毒づいた。センスがないと言いにかかったところ……
『とてもお似合いですわ。さすがアリスフィア様ですわ。センスがよろしいですもの』
はぁ?! 似合うって言いながらアリスを褒めるなんて意味分からないし!
『アクセサリーも素敵ですね。さりげなくダイヤモンドを取り入れてレイラ様の良さを引き出していますわね』
にこりと笑う令嬢。たかが男爵家の令嬢の分際で何が分かるって言うのよ!
ダイヤモンドが私の良さを引き出す? 意味分からないし! ダイヤモンドなんて単なる石ころで輝いているのは私自身よ。どれだけ努力をしてきたと思っているの? 血の滲む努力の賜物なんだから! お義父様ももっと大きいものを買ってくれれば良いのに!
******
『アリスフィア様どちらへ行かれていたのですか?』
ある日上品で仕立てのいいドレスを着たアリスが夕食前に帰ってきた。
『王宮に行っていたのよ。王妃様にお誘いいただいて殿下達のお妃様や婚約者様とお茶会をしてきたのよ。王宮のお庭では今バラが盛りでとても美しかったわ』
そう言ってお土産で渡されたと言うバラを見せられた。一本一本が生き生きとしていて花束でこんなに美しいのなら実際の庭園はどれだけ素晴らしいのかと想像した。
アリスはいつも家にいない。外に出ていることが多いし、最近はアリスに誘われても断るようにしている。アリスの友達と会うくらいなら本を読んでいた方がずっとマシだもの。
『へぇー。そんなに美しいのなら今度私も連れて行ってね』
可愛くおねだりをしてみる。国のトップレディの王妃様のお茶会なんて素敵じゃないの。お茶の作法もバッチリだし優雅で良いわよね。それに王子様ともお近づきになれたら最高!
『うーん。ごめんね。王宮は勝手に連れていけないの。招待状がないと……』
アリスはバカなのね。招待状を貰えば良いのに。人に甘えることを覚えなきゃ世の中損するのに。私は甘えて惚けて男爵家の令嬢にまで昇り詰めたのよ? 一度美味しい思いをすると後には戻れないの。アリスには分からないんでしょうね。
130
あなたにおすすめの小説
復縁は絶対に受け入れません ~婚約破棄された有能令嬢は、幸せな日々を満喫しています~
水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のクラリスは、婚約者のネイサンを支えるため、幼い頃から血の滲むような努力を重ねてきた。社交はもちろん、本来ならしなくても良い執務の補佐まで。
ネイサンは跡継ぎとして期待されているが、そこには必ずと言っていいほどクラリスの尽力があった。
しかし、クラリスはネイサンから婚約破棄を告げられてしまう。
彼の隣には妹エリノアが寄り添っていて、潔く離縁した方が良いと思える状況だった。
「俺は真実の愛を見つけた。だから邪魔しないで欲しい」
「分かりました。二度と貴方には関わりません」
何もかもを諦めて自由になったクラリスは、その時間を満喫することにする。
そんな中、彼女を見つめる者が居て――
◇5/2 HOTランキング1位になりました。お読みいただきありがとうございます。
※他サイトでも連載しています
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません
との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗
「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ!
あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。
断罪劇? いや、珍喜劇だね。
魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。
留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。
私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で?
治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな?
聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。
我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし?
面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。
訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結まで予約投稿済み
R15は念の為・・
セラフィーヌの幸せ結婚 ~結婚したら池に入ることになりました~
れもんぴーる
恋愛
貧乏子爵家のセラフィーヌは侯爵家嫡男のガエルに望まれて結婚した。
しかしその結婚生活は幸せなものではなかった。
ガエルは父に反対されている恋人の隠れ蓑としてセラフィーヌと結婚したのだ。
ある日ガエルの愛人に大切にしていたブローチを池に投げ込まれてしまうが、見ていた使用人たちは笑うだけで拾おうとしなかった。
セラフィーヌは、覚悟を決めて池に足を踏み入れた。
それをガエルの父が目撃していたのをきっかけに、セラフィーヌの人生は変わっていく。
*前半シリアス、後半コミカルっぽいです。
*感想欄で所々ネタバレしてしまいました。
感想欄からご覧になる方はご注意くださいませm(__)m
*他サイトでも投稿予定です
【完結】「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります
恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」
「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」
十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。
再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、
その瞬間に決意した。
「ええ、喜んで差し上げますわ」
将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。
跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、
王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。
「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」
聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
お子ちゃま王子様と婚約破棄をしたらその後出会いに恵まれました
さこの
恋愛
私の婚約者は一つ歳下の王子様。私は伯爵家の娘で資産家の娘です。
学園卒業後は私の家に婿入りすると決まっている。第三王子殿下と言うこともあり甘やかされて育って来て、子供の様に我儘。
婚約者というより歳の離れた弟(出来の悪い)みたい……
この国は実力主義社会なので、我儘王子様は婿入りが一番楽なはずなんだけど……
私は口うるさい?
好きな人ができた?
……婚約破棄承りました。
全二十四話の、五万字ちょっとの執筆済みになります。完結まで毎日更新します( .ˬ.)"
幼馴染に振られたので薬学魔法士目指す
MIRICO
恋愛
オレリアは幼馴染に失恋したのを機に、薬学魔法士になるため、都の学院に通うことにした。
卒院の単位取得のために王宮の薬学研究所で働くことになったが、幼馴染が騎士として働いていた。しかも、幼馴染の恋人も侍女として王宮にいる。
二人が一緒にいるのを見るのはつらい。しかし、幼馴染はオレリアをやたら構ってくる。そのせいか、恋人同士を邪魔する嫌な女と噂された。その上、オレリアが案内した植物園で、相手の子が怪我をしてしまい、殺そうとしたまで言われてしまう。
私は何もしていないのに。
そんなオレリアを助けてくれたのは、ボサボサ頭と髭面の、薬学研究所の局長。実は王の甥で、第二継承権を持った、美丈夫で、女性たちから大人気と言われる人だった。
ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。
お返事ネタバレになりそうなので、申し訳ありませんが控えさせていただきます。
ちゃんと読んでおります。ありがとうございます。
【完結】幼い頃からの婚約を破棄されて退学の危機に瀕している。
桧山 紗綺
恋愛
子爵家の長男として生まれた主人公は幼い頃から家を出て、いずれ婿入りする男爵家で育てられた。婚約者とも穏やかで良好な関係を築いている。
それが綻んだのは学園へ入学して二年目のこと。
「婚約を破棄するわ」
ある日突然婚約者から婚約の解消を告げられる。婚約者の隣には別の男子生徒。
しかもすでに双方の親の間で話は済み婚約は解消されていると。
理解が追いつく前に婚約者は立ち去っていった。
一つ年下の婚約者とは学園に入学してから手紙のやり取りのみで、それでも休暇には帰って一緒に過ごした。
婚約者も入学してきた今年は去年の反省から友人付き合いを抑え自分を優先してほしいと言った婚約者と二人で過ごす時間を多く取るようにしていたのに。
それが段々減ってきたかと思えばそういうことかと乾いた笑いが落ちる。
恋のような熱烈な想いはなくとも、将来共に歩む相手、長い時間共に暮らした家族として大切に思っていたのに……。
そう思っていたのは自分だけで、『いらない』の一言で切り捨てられる存在だったのだ。
いずれ男爵家を継ぐからと男爵が学費を出して通わせてもらっていた学園。
来期からはそうでないと気づき青褪める。
婚約解消に伴う慰謝料で残り一年通えないか、両親に援助を得られないかと相談するが幼い頃から離れて育った主人公に家族は冷淡で――。
絶望する主人公を救ったのは学園で得た友人だった。
◇◇
幼い頃からの婚約者やその家から捨てられ、さらに実家の家族からも疎まれていたことを知り絶望する主人公が、友人やその家族に助けられて前に進んだり、贋金事件を追ったり可愛らしいヒロインとの切ない恋に身を焦がしたりするお話です。
基本は男性主人公の視点でお話が進みます。
◇◇
第16回恋愛小説大賞にエントリーしてました。
呼んでくださる方、応援してくださる方、感想なども皆様ありがとうございます。とても励まされます!
本編完結しました!
皆様のおかげです、ありがとうございます!
ようやく番外編の更新をはじめました。お待たせしました!
◆番外編も更新終わりました、見てくださった皆様ありがとうございます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる