婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの

文字の大きさ
21 / 93

レイラは孤児である。

しおりを挟む

 先代の王の時代に隣国と同盟し敵対関係に合った国へ戦いを仕掛けその戦いは三年に渡り勝利した。


 戦争の理由なんて些細なことで、子供の喧嘩のような理由だったのだが、勝利したとは言え戦死者が多く出た。


 親が亡くなり行き場のなくなった子供達を支援するために国はもちろんのこと、貴族達からも助けを求めた。


 領地に孤児院を建て孤児院で文字や計算を教え就職先を紹介するなど国と共に貴族が面倒を見ていた。となれば就職もすんなり出来るし、親がいなくとも生活が出来るようになりその後は結婚して幸せに暮らしている子達もいる。


 孤児院で引き取った子達は使用人として働かせたり、学ばせてその後は好きな仕事に就く事も可能だ。


 ブラック伯爵家とたまたまレイラの里親である男爵がクレマン領に視察へ行った時だった。孤児院に引き取られるレイラをアリスフィアが見た。痩せっぽっちで元気がない女の子だった。

 両親が亡くなり一人になり気落ちしていたようだった。


『可哀想だわ……』

 ポツリと呟くアリスフィア。

『お父様、あの子の何か力になりたい』

 他にも孤児は何人もいるが、レイラは人一倍弱々しく見えた。


『……まずは元気にならないとな』


 ブラック伯爵はうちで引き取り教育をさせて、上手くいけばアリス付きの使用人にしても良いか。そう思っていたら、男爵が言った。


『それならうちで面倒をみましょう』


 一緒に来ていた男爵は裕福で、ブラック伯爵家の遠縁にあたる。この男も伯爵を尊敬しているようで、一緒に視察にきた事を光栄だと言っていた。


 クレマン子爵は学生時代からブラック伯爵を尊敬し、尊敬するブラック伯爵がわざわざ我が領の孤児院に訪問をしてくれるのか、胸を熱くした。

 孤児院を訪問する際は手ぶらというわけには行かず、何かしらの寄附をする事になる。お金だけではなく子供達の教育にと本やノート筆記用具などたくさんの物を持ってきてくれた。これらは伯爵令嬢アリスフィアお嬢様が自ら選んだのだ、と説明された。感服して目頭が熱い。素晴らしいお嬢様だ。一緒にいた息子はアリスフィアお嬢様に見惚れている。



 一方レイラはクレマン子爵家で今まで食べたことのないようなご馳走を目にして驚いた。両親が亡くなってから食事を取ることができない日さえあったから。

 ここでいうご馳走とは貴族の食事ではないのだが、レイラからしたらスープや新鮮な野菜、焼きたてのパンは贅沢品だった。

 着古した服も綺麗なワンピースを与えられた。そして男爵の屋敷に着く頃には、弱々しかったレイラが元気なりつつあった。


『ここが男爵家だ。君はここで今日から生活する事になる。分からないことがあればなんでも聞きなさい』

 男爵が言った。レイラが連れて来られた先は本邸とは別の離れの使用人が住む棟だった。

 レイラは、このキラキラした人たちが私のになるんだ! 自分もこの中の一員になれる! と喜んだ。


 しかし現実は違った。キラキラした家族の元から離された。


 しばらくして男爵はレイラの生活を見に行ったところ、男爵の顔を見るなりポロポロと涙を流した。レイラは孤児だがどことなく品があり、着飾ればそれなりに見れるようになる。
 
 男爵は孤児という過酷な環境で生活をしてきたレイラに同情しチャンスを与える事にした。


『それでは養子縁組をしよう。男爵令嬢としての教育を受けなさい。そのかわり貴族にはルールがある。それをしっかり学び、今日から貴族として生きなさい。音を上げるようならこの生活は諦めることだ』


 そう男爵家に言われ家族として迎えられたレイラはラッキーだった。貴族としての教育を受け、時には厳しく躾けられたが元は孤児。食事をする事もままならない状況よりかはずっと良かった。綺麗なドレス美味しい食事。

 養女としてレイラが家に入ることを妻である男爵夫人はNOと言わなかったし、問題があれば切り捨てれば良いだけだと思った。

 それに孤児を養女として迎え、立派に令嬢として育てるとなると我が家は称賛される事になる。そう言う打算もあった。





 そんな男爵家の気持ちは他所にレイラは使用人の手によって、世話をされ気分が良かった。だって私は貴族令嬢だもの! 使用人はみんな私に傅くわ。


 文字を覚え本を読むようになった。主にはロマンス小説。身分が低くとも王子様と恋に落ちる物語は大好きだった! まるで自分のことのように書かれている物語もあった。

『私はヒロインなのね……』


 そうよ。私は王子様と恋に落ちるのよ。でもこの国の王子様は既にみんな婚約者がいる。




 そうだわ! 私は可愛いし立派なレディになれば王子様も私を選ぶはずよ!



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません

との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗 「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ! あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。 断罪劇? いや、珍喜劇だね。 魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。 留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。 私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で? 治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな? 聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。 我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし? 面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。 訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結まで予約投稿済み R15は念の為・・

【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。 (さて、さっさと逃げ出すわよ) 公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。 リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。 どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。 結婚を申し込まれても・・ 「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」 「「はあ? そこ?」」 ーーーーーー 設定かなりゆるゆる? 第一章完結

復縁は絶対に受け入れません ~婚約破棄された有能令嬢は、幸せな日々を満喫しています~

水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のクラリスは、婚約者のネイサンを支えるため、幼い頃から血の滲むような努力を重ねてきた。社交はもちろん、本来ならしなくても良い執務の補佐まで。 ネイサンは跡継ぎとして期待されているが、そこには必ずと言っていいほどクラリスの尽力があった。 しかし、クラリスはネイサンから婚約破棄を告げられてしまう。 彼の隣には妹エリノアが寄り添っていて、潔く離縁した方が良いと思える状況だった。 「俺は真実の愛を見つけた。だから邪魔しないで欲しい」 「分かりました。二度と貴方には関わりません」 何もかもを諦めて自由になったクラリスは、その時間を満喫することにする。 そんな中、彼女を見つめる者が居て―― ◇5/2 HOTランキング1位になりました。お読みいただきありがとうございます。 ※他サイトでも連載しています

幼馴染に振られたので薬学魔法士目指す

MIRICO
恋愛
オレリアは幼馴染に失恋したのを機に、薬学魔法士になるため、都の学院に通うことにした。 卒院の単位取得のために王宮の薬学研究所で働くことになったが、幼馴染が騎士として働いていた。しかも、幼馴染の恋人も侍女として王宮にいる。 二人が一緒にいるのを見るのはつらい。しかし、幼馴染はオレリアをやたら構ってくる。そのせいか、恋人同士を邪魔する嫌な女と噂された。その上、オレリアが案内した植物園で、相手の子が怪我をしてしまい、殺そうとしたまで言われてしまう。 私は何もしていないのに。 そんなオレリアを助けてくれたのは、ボサボサ頭と髭面の、薬学研究所の局長。実は王の甥で、第二継承権を持った、美丈夫で、女性たちから大人気と言われる人だった。 ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。 お返事ネタバレになりそうなので、申し訳ありませんが控えさせていただきます。 ちゃんと読んでおります。ありがとうございます。

【完結】幼い頃からの婚約を破棄されて退学の危機に瀕している。

桧山 紗綺
恋愛
子爵家の長男として生まれた主人公は幼い頃から家を出て、いずれ婿入りする男爵家で育てられた。婚約者とも穏やかで良好な関係を築いている。 それが綻んだのは学園へ入学して二年目のこと。  「婚約を破棄するわ」 ある日突然婚約者から婚約の解消を告げられる。婚約者の隣には別の男子生徒。 しかもすでに双方の親の間で話は済み婚約は解消されていると。 理解が追いつく前に婚約者は立ち去っていった。 一つ年下の婚約者とは学園に入学してから手紙のやり取りのみで、それでも休暇には帰って一緒に過ごした。 婚約者も入学してきた今年は去年の反省から友人付き合いを抑え自分を優先してほしいと言った婚約者と二人で過ごす時間を多く取るようにしていたのに。 それが段々減ってきたかと思えばそういうことかと乾いた笑いが落ちる。 恋のような熱烈な想いはなくとも、将来共に歩む相手、長い時間共に暮らした家族として大切に思っていたのに……。 そう思っていたのは自分だけで、『いらない』の一言で切り捨てられる存在だったのだ。  いずれ男爵家を継ぐからと男爵が学費を出して通わせてもらっていた学園。 来期からはそうでないと気づき青褪める。 婚約解消に伴う慰謝料で残り一年通えないか、両親に援助を得られないかと相談するが幼い頃から離れて育った主人公に家族は冷淡で――。 絶望する主人公を救ったのは学園で得た友人だった。   ◇◇ 幼い頃からの婚約者やその家から捨てられ、さらに実家の家族からも疎まれていたことを知り絶望する主人公が、友人やその家族に助けられて前に進んだり、贋金事件を追ったり可愛らしいヒロインとの切ない恋に身を焦がしたりするお話です。 基本は男性主人公の視点でお話が進みます。 ◇◇ 第16回恋愛小説大賞にエントリーしてました。 呼んでくださる方、応援してくださる方、感想なども皆様ありがとうございます。とても励まされます! 本編完結しました! 皆様のおかげです、ありがとうございます! ようやく番外編の更新をはじめました。お待たせしました! ◆番外編も更新終わりました、見てくださった皆様ありがとうございます!!

【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ

との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。 「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。  政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。  ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。  地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。  全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。  祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済。 R15は念の為・・

辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~

紫月 由良
恋愛
 辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。  魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。   ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています

【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?

鏑木 うりこ
恋愛
 父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。 「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」  庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。  少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *) HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい! 色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー! ★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!  これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい! 【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)

処理中です...