婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの

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レイラの主張

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「クレイグ様おかえりなさい。お待ちしていたんですよ。あとは伯爵様達がお帰りになるだけですね」


 レイラはにこりと笑う。レイラが着ているドレスはフランツがアリスに贈ったブルーのドレスだ。この美しいブルーのドレスは王家の瞳の色で王家から贈られたと言う証でもある。


「帰りが遅くなってしまったな。ところでレイラはなぜアリスのドレスを着ているんだ? それはアリスがフランツ殿下から贈られたものだろう?」

 といってもこのドレスはまだ袖を通していなかったな。ゴテゴテしていて趣味じゃないとぼやいていた。婚約者に贈るのなら相手の好みを取り入れるべきなのに、フリフリやらリボンやらがド派手と思われてもおかしくない。適当に注文したんだろう。と皆が思った。

「フランツに着てもいいと言う許可を得ました。似合ってるって言われましたよ」

 ドレスの裾をつまみにこりと笑うレイラ。


「勝手にアリスのドレスを着ると言うのはどうかと思う。アリスは許可したのか?」


「贈った本人がいいと言っているのですから文句はないと思いますよ。それに私の方が可憐で似合いますもの。クレイグ様もそう思うでしょう?」

「そう言う問題ではない」

「そうだわ! クレイグ様に嬉しい報告があるんですよ」

 手をパンっと叩き嬉しそうに微笑むレイラ。聞いて欲しそうにうずうずとしている。その姿を見たら淑女とは一体……などと思ってしまう。疲れる。

「私が留守の間に何かあったのか?」


 ようやく本題に入る。アリスの名を出してもスルー。答えが返ってこない。避けようのない話題なんだがなぁ……


「私フランツと婚約する事になったんです! 本当は今すぐにでも婚約したいのだけど、フランツが家族に言ってからだっていうの」


 フランツと呼んでいるのか……はぁ。どこから説明をすれば良いのだろうか。頭が痛くなってきた。こっちの気持ちも知らずにペラペラと続きを話すレイラ。


「それで陛下が帰ってきたら説明をしてくれるみたいで、」


「先ほどから口にしているフランツとはフランツ殿下の事で間違い無いか? フランツ殿下はアリスの婚約者だろう? 婚約者がいる人を名前呼びするなんてはしたない事だからやめなさい。それに王族であるフランツ殿下を呼び捨てにするなんて聞き捨てならない」

 意味わかるよな? 

「アリスなんてもうこの家に居ませんよ? 婚約破棄をされるなんてこのブラック伯爵家の恥ですもの。だから私があの女の代わりにフランツの元に嫁いであげるんですよ。可愛げのない女よりも素直で優しくて可愛くて思いやりがあって家族思いの私と婚約をするんですよ」

 ジェレミーの報告通りだな……

「アリスは大事な家族だし恥なんかではない。アリスが辛い思いをしている時に支えるのが家族だ。家族思いのレイラならば簡単にわかるだろう。アリスを犠牲にし蹴り落とした婚約者の座とはそんなに魅力的なものなのかい?」

 レイラの頭の中の構造を知りたい。

「あの女が嫉妬で私のことを虐めてきたら困りますもの。だからフランツが私たちの100キロ以内に入ってはダメだと命令をしたんですよ。かっこよかったですよ!」

 質問に対する答えが返ってこない。自分酔っている者によくある言動。

「あの女という呼び方は認めないしアリスは大事な家族だ。それに今までアリスがレイラを虐めたことがあったか? いつもアリスはレイラに優しく接していたではないか?」

 レイラがアリスに衣装の事を相談した時も女同士仲良くしていたし、母も入って三人で楽しそうだった。

 宿題も手を貸していたし友人のお茶会にも連れて行っていたし、うち伯爵家でお茶会をする時はレイラを仲間外れにする事もなかった。だから分からない。なぜアリスに虐められると言う考えになるのか。

 私が知らないだけで二人の間に何かあったとか? いやいや! それは無い。そこは使用人達がしっかりと見ていたはずだし、そんなことをすれば報告が上がってくる筈だ。


 不可解なレイラの行動に頭を悩ませる事になる。


「でもフランツが、」

殿と呼びなさい。一介の貴族が王族の名前をお呼びすることはできない。しかも呼び捨てにするだなんて」


 そこでレイラは勝ち誇ったようにふふん。と鼻を鳴らすように言った。


「フランツが呼び捨てで良いって言ったんですもの。許可は得ています。恥晒しなあの女、」

「恥晒しでは無いし、あの女では無いっ!」

 語尾を強めにレイラに言うも、意味がわからないと言った感じだ。


「クレイグ様? フランツの命令は絶対ですよ? 王族ですもの。それにクレイグ様がそんな態度を取るならフランツに言ってクレイグ様も追放してもらわなきゃ……私に嫌なことばっかり言うんだもの。クレイグ様がいなくてもジェレミーがいるから後継は問題ないわね。私とフランツの後ろ盾になってくれなきゃ肩身が狭い思いをするもの。王妃様や王子妃、婚約者達に引けを取らないようにこれからはもっともっと衣装もアクセサリーも必要だし私が王家にお嫁に行ったら親戚として利用すれば良いじゃないですか」


 うふふふふ。と笑う目の前のレイラが今までとは違って見えた。

 男爵家引き取られ、努力をし貴族社会に馴染んでいった。それを私たち家族も嬉しく思っていた。辛い過去など振り切り貴族としての教養を身につけて何不自由のない生活を手に入れたのだから。努力は報われるのだと。

 しかし今のレイラは欲に塗れギラギラした印象を受けた。


「今着ているドレスは没収だ。本当にレイラの事を思っているのならアリスに贈ったドレスなんて着せない。新調するべきだと思わないか?」

 この生地はとても良い素材を使っていて王族のみが所有する。王妃様の許可を得て使用する事が出来る特別な物。誰もが着て良い物ではない。無断で着用しているとなると盗品と疑われるだろう。


「明日フランツに言ってみようかなぁ。クレイグ様が私達の邪魔をするって」



 脅しか。好きにすれば良い。





******


  ご覧いただきありがとうございます( .ˬ.)"エールやコメントもありがとうございます! そして誤字報告もありがとうございます。確認不足です。この場を借りてお礼と感謝を申し上げます。毎日暑さが続いていますが今週は災害級の暑さになるとの事。どうかお身体ご自愛くださいませ。暑さに負けず毎日更新を続けていきますのでよろしくお願いします( .ˬ.)"










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