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兄帰還!
しおりを挟む「ただいま」
「「「「おかえりなさいませ、クレイグ様」」」」
伯爵家に到着すると大勢の使用人がいつものように出迎える。帰ってきたのはアリスフィアの兄クレイグ。
「兄上! 随分と遅かったじゃないですかっ!!」
ジェレミーは兄に詰め寄った!
「あぁ、悪いな色々トラブルがあって遅くなった。もっと早く帰ってくる予定だったんだが」
「クレイグ様、お疲れのところ少し宜しいですか?」
執事が声をかけた。
「あぁ、その顔は私が留守の間に何かあったんだな? それよりアリスはどうしている? 殿下と仲直りでもしたのか?」
邸にいるのなら出迎えるはずだ。それに帰ってくる日の連絡は入れてある。そんな日にわざわざ大したことのない用事を入れるわけがないので王宮にでも行ったのかと想像した。
「兄上、その事で話があるんです!」
ジェレミーの真剣な顔を見て了承し執事と三人で執務室へと向かった。
メイドにお茶を淹れてもらい、人払いをして三人になった。
話は長くなりそうだったので執事もソファに座らせた。
「で。何があったんだ?」
「実は────」とジェレミーが先日の王宮であった婚約破棄騒動を説明し始めた。
「……相手がレイラだと? ……正気なのか? レイラが王子妃になれるわけないだろう。教養もマナーもアリスより優れている点はない。それに言っちゃなんだがレイラは子爵家に嫁ぐ話がある。こんな良い話はないんだぞ……あのバカ!」
「えぇ。僕も何か力になれる事はないかとフェリクス殿下に相談しました。すると家でレイラさんとフランツ殿下を見張るようにと言われました。執務が忙しいと言いながらもよく我が家に来るんですよ……レイラさんと出掛ける事もありますが、王宮に呼ばれる事はないようですね」
王宮で王太子妃達に会ってから王宮で会うのはやめたようだ。
第五王子は将来外交の仕事をする事になるから、他国の言語特産、各国の王室マナー、ダンスなど多岐にわたる教師に付いて学びながら執務も行っている。わざわざ伯爵家にくる暇など無いはずだ。
アリスとケンカした時くらいは時間をとって会いにきていた。アリスは気が強いと殿下は言うが相手の事を思って注意しているだけで、皆からは可愛がられているし、王族の兄弟妃や婚約者達とも仲が良く、王妃様とも良くお茶会をしていた。
「王宮に怒鳴り込みに行きたいところだが、まずはレイラの話を聞くか……」
クレイグはアリスと同じピンクゴールドの髪をかきあげ深呼吸をした。
「ひとまずは落ち着こう。感情的になってはいけないよな」
貴族たる者感情的になってはいけない。クレイグはそう自分に言い聞かせる。幼い頃からそういう風に躾けられていた。
腹で何を思っていても顔には出さない。私はこの伯爵家の嫡男だ。私の少しのミスが家門を傷つけることになる……いや、既にレイラのせいで──
頭を左右に振る。
「アリスはクレマンではなくフェリクス殿下の誘導のもとグレマンへ行ったんだな?」
「はい、そのように聞いています。レイラさんはアリス姉様を邪魔だと……それとフランツ殿下は、アリス姉様からレイラさんに婚約者が変わるだけで問題は無いと思っているようです。レイラさんの実家の男爵家はうちの遠縁にあたりますから」
レイラは孤児で養女。養女になっているのだから建前上は貴族で問題ないのだが王族に嫁ぐように教育はさせていない。今から教育をし直すとなると数年は掛かる。それから婚約をすると適齢期が過ぎてしまう。
「レイラは何を考えているんだ……そんなに野心が高いと思ってはいなかった。アリスは今頃どの辺に居るんだろうか……ショーンとミリーがいるのなら安心だが、やはり心配だ。グレマンか……今すぐに迎えに行きたいところだが、情報がないとどうにもならない。うまくいけば今頃はテイラー伯爵領くらいか? マークに助けを求めていれば良いんだが、アリスの性格上それはないよな……」
アリスは少し天邪鬼なところがある。そして負けず嫌いでもあり、フランツにきつく当たられても華麗に無視をする。
生意気だとフランツは言うがアリスは王妃を始め王子妃、王子の婚約者達には大層可愛がられている。
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三人でアリスの今後のことを話していたらノックの音が聞こえた。
用件を聞きに執事が立つ。どうやらレイラが帰ってきたようだ。
「クレイグ様。レイラです。入りますね」
「どうぞ」
えらく着飾ったレイラが執務室へと入ってきた……そのドレスはフランツがアリスに贈ったドレスだった。
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