異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

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第一部 転生編

第49話 ダンジョン入口の集落の子供達

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冒険者ギルドにやってきたクレイは、お目当ての者達を見つけた。

トニー 「お、戻ってきたんだな、クレイ。ラーズ子爵に呼ばれたって? 何の用だったんだ?」

クレイ 「ああ? まぁ…。ちょっとな…」

トニー 「なんだよ、ラーズ子爵のご令嬢、美人だったよな? 何かいいことでもあったんじゃないのか?」

アレン 「トニー! 貴族の用件をペラペラ外で喋るわけには行かないだろうが…」

トニー 「ああ、そうか、そうだよな、スマン…」

ため息をつくクレイとアレン。

クレイ 「…ところで、少し時間ができたので、ここらで一度ダンジョンに行ってみようかと思っているんだが……、護衛兼案内役として雇われる気はあるか?」

本当は一人でも潜れるとクレイは思っていたのだが、せっかく一緒に行くとアレン達が言ってくれていたので、一応声を掛けたのである。

アレン 「なに水臭いことを言ってるんだ。もちろん一緒に行くに決まってるだろ、俺達はお前も黄金の風パーティのメンバーだと思っているんだぞ?」

クレイ 「正式にパーティ登録してないだろ」

アレン 「正式登録にしてもいいんだぞ?」

クレイ 「偶にしか参加しない幽霊メンバーになってしまうから悪いだろ」

アレン 「それでも構わんと言ってるだろう?」

クレイ 「まぁ考えておくよ。とりあえず、明日あたり出発でも行けるか?」

トニー 「今日からでも」

パティ 「ちょっと! 準備とかあるでしょ」

トニー 「いつでも準備はオッケーだぜ? クレイが行くって言い出すと思ってな、準備はしてたんだ」

パティ 「え、聞いてないヨー今日からなんて無理! 明日、いいえ、明後日からにして!」

クレイ 「ああ、まぁいいよ、じゃぁ明後日から」

アレン 「待てクレイ。雇われるわけじゃない、あくまで仲間として行く、いいだろう? 報酬はいつも通り、売却益をメンバーで山分けだ」

クレイ 「まぁ。そうしたいならそれでもいいけど」

アレン 「むしろこちらからお願いしたいと思ってたんだ。なにせ、クレイが運んでくれるんだろう?」

クレイ 「ああ、なるほどね」

※クレイは容量の異様に大きいマジックバッグを持っているので、素材を運ぶのに助かるのである。

アレン 「ばっちり稼がせて貰う予定だ。運搬の手数料分、クレイには報酬を上乗せするよ。少しだがな」



  * * * *



ヴァレットの街の近くにあるダンジョン “ペイトティクバ” 
古語で “古い穴” とか “深い穴” とかいう意味があるとも言われているが定かではない。

ラーズ子爵領からも行けるが、ヴァレットからのほうが近い。ヴァレット周辺が王都に近い場所であるにも関わらず魔物が多いのは、このダンジョンから魔物が漏れ出てくるからである。

にも関わらず、攻略されずに放置されているのは、採れる素材が豊富なので資源として活用されているからである。王都の近くに資源があるというのはメリットでもあるのだ。

実はヴァレット領が王都とペイトティクバの間に立ち塞がるような位置にあるのは、ヴァレット領は王都をダンジョンから守るために置かれた領地だからである。事実、過去にはなんどか魔物の氾濫スタンピードがあったが、武に優れ冒険者も多いヴァレットの街ですべて食い止められていた。

ペイトティクバはかなり昔から存在しているダンジョンであるが、未だに攻略はされていない。古いが故に攻略が困難になっているのだ。ダンジョンの階層というのは時とともにどんどん深く広がっていくため、ダンジョンが現在では深くなりすぎて、最下層が何階なのか不明となっているのだ。

だが、未攻略のダンジョンにしては完成度? が高く、最初の層は難易度が低く、階層が進むにつれ少しずつ高くなっていく。おかげで浅層であれば初級冒険者でも安心して挑戦できる。

また、どれだけ深い階層まで到達できるか、冒険者達のチャレンジの対象にもなっている。(それで無理をして戻ってこない冒険者パーティも偶に居るのだが。)そんなわけで、ダンジョン周辺の街(ヴァレットとラーズ)は冒険者達で賑わっているのである。

ペイトティクバは小さな山の中腹に入口があり、地下へ地下へと潜っていく洞窟型のダンジョンである。ただ、浅い階層は洞窟型ダンジョンだが、中層以降は草原や荒野、沼地や湖、砂漠や雪山など、バラエティ豊かなフィールドが待っている。





――
――――
――――――――
――――――――――――――――

クレイは、この世界に生まれてからずっと屋敷に籠もって魔法陣の研究の日々だったので、近場にあるのにも関わらず、来るのは初めてであった。

クレイ 「あんな子供達も冒険者なのか?」

アレン 「ん? ああ、彼らは冒険者ではないんだが、ダンジョンに潜って稼いでいる孤児たちだよ。冒険者達にくっついてダンジョンに潜り、冒険者が不要で捨てていく素材なんかを拾って売って生活してるんだ」

子供のグループの一人がアレンに近づいてきた。12~3歳くらいだろうか。確かに、孤児院で保護するには微妙な年齢ではある。

少年 「アレンさん!」

アレン 「ようパピ! 元気か?」

パピ 「また、アレンさん達と一緒に潜らせてもらってもいい? さっき別のパーティに断られてしまって困ってたんだ」

冒険者達にくっついてダンジョンに入りおこぼれを貰う子供達は、当然、馴染みの冒険者が結構いる。

アレン達はそれほど長くこのダンジョンに潜っているわけではないが、子供達は冒険者に寄ってきてすぐに仲良くなる。それが彼らの生き延びる手段なのだろう。

そして実はアレンも冒険者の子で、親が死んだあとスラムで苦労した経験があるため子供達には優しいのだ。

アレン 「ああ、構わんぞ…クレイ、構わないよな?」

クレイ 「ああ、それは構わんが……君達は孤児院の子かい?」

パピ 「違うよ、俺たちは孤児院育ちじゃない。この辺で好き勝手にやってる」

クレイ 「孤児院には行かないのか? ダンジョンに潜らなくても生活できるし、教育も受けられるぞ?」

ヴァレット領にはスラムはない。民思いの良心的な領主の街なので、フォローが充実しているのである。冒険者が多いので、どうしても孤児も出てしまうが、冒険者ギルドと領主が協力して孤児院を経営しており、親を亡くした子供達もあまり荒んだ生活に落ちるという事はない。だが、中にはどうしても孤児院が合わないという子や、他の街から流れてきて孤児院に寄り付かずダンジョン入口周辺で生活している子供も居るのである。(ダンジョンの入口付近は冒険者達向けの屋台などもあり、ちょっとした村のようになっているのだ。ある意味、そこがヴァレットとラーズの街のスラムであるとも言える。もちろん、そこも生活があまり荒まないように領主達が気を配ってケアしているのだが。)

パピ 「俺達は誰かにタダで養ってもらう気はないよ。ああもちろん(孤児院に)行きたいってヤツは止めない、むしろ行けって言ってやってるけどね。でも俺達は、自分で稼いで、自由気ままに生きるのが好きなんだ! 今はまだダンジョンに入れないけど、来年は俺も15歳だ。そしたら冒険者に登録して、バリバリ稼ぐんだ!」

アレン 「こら、お前はまだ13歳だろうが、サバを読むなよ」

パピ 「ちぇ、バレたか」


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