異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
48 / 184
第一部 転生編

第48話 魔法陣を纏う

しおりを挟む
夫人の年齢を確認すると二十七歳だそうだ。女性に年齢を聞くのはこの世界でも失礼な事なのは変わらないが、施術者の権限で患者の情報を知っておく必要があるとクレイは誤魔化した。

現在二十歳のクレイ。二十七歳の美女はクレイにはなかなか刺激が強い。もちろん晒しているのは腹部だけであるのだが。前世から含めて女性の肌に縁がほとんどなかったクレイは、妙齢の女性が肌を晒している姿にどうしてもドギマギしてしまう。努めて平静を装うクレイであったが、顔が赤くなっているのは気付かれていたかも知れない。

魔法陣を描くと言っても、いちいち手で描くわけではない。非常に緻密に作られている魔法陣をすべて手作業でミスなく描くというのは非常に難しい。魔導具を作るスキルを持った者は、転写というスキルを持っているのだが、残念ながらクレイにはそんなスキルはない。

そこでクレイは工夫して、光魔法を応用して転写する技術を編み出していた。光に反応して固まる、特殊な植物から抽出したインクを使い、クレイのスキル “クロネコ” に記録されているコンパイル済みの魔法陣を転写したい場所に光で投影し、インクを反応させて定着させるのである。

腹部に描くのは、クレイが実験してきた経験からくるものである。

最初は、描く魔法陣は一つだけにして様子を見る。

すると、ひとつだけでも徐々に魔力が溜まっていっているのをケリー自身が感じ取れたようだ。

特に身体に異常もなさそうである。

そこで、さらに魔法陣を複数描いてみたところ、かなりの魔力がケリーの体内に溜まっていくのを確認できたのであった。

どうやら、ケリーの体内の魔力生成器官は機能していないが、外から魔力を吸収すればそれを体内に保持しておく事は可能のようだ。

また、魔力が扱える体質ゆえか、魔力がかなり蓄積された状態でも、クレイのように発熱するというような事もなかった。

体質の違いは素直に羨ましいと思うクレイであったが、そこで羨んでも仕方がないとすぐに切り替える。

夫人ケリーは、これまで使えなかった魔法が使えるようになり、とても嬉しそうであった。

※当然、蓄積した魔力は使えばなくなってしまうのだが。保持できる魔力量自体はかなり多いようなので、時間が掛かるが24時間魔力吸収を続けて蓄積しておけば、いざという時にそれを放出するのは問題ない、人より回復が遅いというだけである。

吸収が遅い分は、魔法陣をたくさん描く事で補えるが、身体に描くにも限度がある。それに、魔法陣は肌の上に塗料で描いただけでは、擦れば消えてしまう。そこで消えないように皮膚に刻む必要がある。それは、クレイは魔力をチャージしてある魔石を使って瞬間的に光魔法の出力を上げ、高熱で焼き付ける、言わば焼印方式である。もちろん、微細な火傷となるのでかなり痛みがある。そして、消えてしまっては意味がないので治癒魔法や治療薬を使う事ができないので、痛みに耐えるしかないのである。

ただ、この方式の良いところは、いざとなったら高レベルの治癒魔法であれば消してしまう事ができる点であるとは言える。

焼印方式ではなく、入墨方式にしても良いのかもしれないが、それはクレイにはできないので専門家を呼んでもらう事になる。そもそもこの魔法の世界に入墨の専門家がいるのかどうかクレイは知らないのであった。

あまり体中に魔法陣の焼印があるというのも見栄えが良くないので、結局、腹部に二つ、背中に二つだけにした。

いずれは、もっと大量の魔力を吸収できる効率の良い魔法陣を開発したいとクレイも思ってはいた。そのために古代遺跡型ダンジョンに潜って古代遺物の魔導具の魔法陣を解析してみたいと考えていたのだ。

子爵家に逗留して数日様子を見たあと、クレイはヴァレットへと戻った。さらにしばらく様子を見て、ケリーに問題が出ないようであれば、その後、ケイトにも施術する話となった。

ただ、母の施術を見ていたケイトが不安そうな顔をしていたのが印象に残った。それはそうであろう、ケリーは大人だったので焼印の痛みにも黙って耐えてくれたが、ケイトはまだ6歳である。クレイも、幼女の下腹部に焼印を施術するのは気が引けるのだが、母親のケリーはケイトなら大丈夫、この子は強い子だからなどと言っていたが。

そこで、治癒魔法ではなく麻痺系の魔法や薬を使って痛みをやわらげる方法もあるとラーズ子爵に伝えると、子爵は次の時までに探して用意しておくと言ってくれた。

ここで一旦クレイはヴァレットに戻り、また冒険者活動をする事にした。


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

処理中です...