あなたの愛はもう要りません。

たろ

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46話

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 おい起きろ!

 夢の中で誰かが私を呼んでいる気がする。

 もう!うるさいな!

 久しぶりにお母様の胸の中で眠っているのよ!邪魔しないで!
 
 う、ううん⁈

 どこかで聞いたことのある声……

 もう忘れてしまいたいのに……絶対に彼に好きだなんて言えない……好きになってもらえない……だから諦めた初恋なのに……

 やっとオリソン国に来て自分の中で踏ん切りがついて前に進もうと決めたのに。

 誰にも迷惑かけずにこれからは一人で頑張るつもりなのに………今はお祖母様に甘えてしまっているけど、落ち着いたら一人で暮らすつもりでいる。

 でも今だけはお母様が育ったこの屋敷でお母様の思い出に包まれながら眠りたいのに………

「ビアンカ!」

「おい、起きろ!」

「いつまで寝てるんだ?」

「…………いったぁ!!」

 思いっきり頬をつねられた。

「寝たふりするからだろう?」

「……………な、なんでここに居るの?」

 目を開けたらそこにいたのは……

「殿下っ?えっ?ええっ~??」

「遅いっ!いつまで寝ているんだ?」

「いやいや、花の乙女の部屋に勝手に入ってきて……私の寝顔をみ、み、見ましたぁ?」

 顔が赤くなるのがわかる。よだれが出ていなかったかしら?
 思わず口を拭いた。

 い、いびきなんて掻いていないわよね?

「ああ、口開けてアホのような顔をして寝てたぞ」

「アホ⁈そ…それは……かなり変な顔だった?」

「いや、子供の頃と変わらない、面白い顔だった……」

 殿下の顔が昔を懐かしむようにフッと笑った。

「子供の頃って………もう私は16歳です!それに……(悔しいけど、認めたくないけど)人妻なんです」

「あはははっ!人妻って、お前まだダイガットと結婚していたいのか?」

「だって離縁する前に逃げたから……」

「ダイガットの痣は25個出来ていて、あいつは今頃寝込んでいるはずだ」

「痣?25個?」

 よくわからないのだけど?

「お前には言ってなかったな。お前があいつに離縁したいと言ってきた数が25回、そしてその度に腕に痣ができるんだ。
 そして25回出来たら強制的に別れさせられるとダイガットは聞かされているんだが、本当は浮気した数なんだ。あいつはフランソアと25回も浮気をしていたんだ。
 まあ、簡単に言えば性交渉?ほんと、ビアンカのことが初恋だとか好きだとか俺には言ってたけど、目の前にいる女に簡単に手を出して、今頃ベッドの上で苦しみもがいているはずだ」

 性交渉って……

 思わず開いた口が塞がらなくて固まってしまった。

「わ、私とダイガットは、そんなふしだらな関係はありませんでしたから!」

 顔が真っ赤になって思わず叫んだ。

「わかってる。フランソアがダイガットを誘惑するように仕向けたのは俺だ。好きならビアンカから勝ち取れと裏で煽ってやったんだ」

「………煽る?裏で?」

 もう話についていけない。

 しっかり睡眠はとったけど、まだ頭は動いていないみたい。


「お前が俺に助けを求めないのがいけないんだ」

「意味がわからないんですけど?」





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