46 / 77
46話
しおりを挟む
おい起きろ!
夢の中で誰かが私を呼んでいる気がする。
もう!うるさいな!
久しぶりにお母様の胸の中で眠っているのよ!邪魔しないで!
う、ううん⁈
どこかで聞いたことのある声……
もう忘れてしまいたいのに……絶対に彼に好きだなんて言えない……好きになってもらえない……だから諦めた初恋なのに……
やっとオリソン国に来て自分の中で踏ん切りがついて前に進もうと決めたのに。
誰にも迷惑かけずにこれからは一人で頑張るつもりなのに………今はお祖母様に甘えてしまっているけど、落ち着いたら一人で暮らすつもりでいる。
でも今だけはお母様が育ったこの屋敷でお母様の思い出に包まれながら眠りたいのに………
「ビアンカ!」
「おい、起きろ!」
「いつまで寝てるんだ?」
「…………いったぁ!!」
思いっきり頬をつねられた。
「寝たふりするからだろう?」
「……………な、なんでここに居るの?」
目を開けたらそこにいたのは……
「殿下っ?えっ?ええっ~??」
「遅いっ!いつまで寝ているんだ?」
「いやいや、花の乙女の部屋に勝手に入ってきて……私の寝顔をみ、み、見ましたぁ?」
顔が赤くなるのがわかる。よだれが出ていなかったかしら?
思わず口を拭いた。
い、いびきなんて掻いていないわよね?
「ああ、口開けてアホのような顔をして寝てたぞ」
「アホ⁈そ…それは……かなり変な顔だった?」
「いや、子供の頃と変わらない、面白い顔だった……」
殿下の顔が昔を懐かしむようにフッと笑った。
「子供の頃って………もう私は16歳です!それに……(悔しいけど、認めたくないけど)人妻なんです」
「あはははっ!人妻って、お前まだダイガットと結婚していたいのか?」
「だって離縁する前に逃げたから……」
「ダイガットの痣は25個出来ていて、あいつは今頃寝込んでいるはずだ」
「痣?25個?」
よくわからないのだけど?
「お前には言ってなかったな。お前があいつに離縁したいと言ってきた数が25回、そしてその度に腕に痣ができるんだ。
そして25回出来たら強制的に別れさせられるとダイガットは聞かされているんだが、本当は浮気した数なんだ。あいつはフランソアと25回も浮気をしていたんだ。
まあ、簡単に言えば性交渉?ほんと、ビアンカのことが初恋だとか好きだとか俺には言ってたけど、目の前にいる女に簡単に手を出して、今頃ベッドの上で苦しみもがいているはずだ」
性交渉って……
思わず開いた口が塞がらなくて固まってしまった。
「わ、私とダイガットは、そんなふしだらな関係はありませんでしたから!」
顔が真っ赤になって思わず叫んだ。
「わかってる。フランソアがダイガットを誘惑するように仕向けたのは俺だ。好きならビアンカから勝ち取れと裏で煽ってやったんだ」
「………煽る?裏で?」
もう話についていけない。
しっかり睡眠はとったけど、まだ頭は動いていないみたい。
「お前が俺に助けを求めないのがいけないんだ」
「意味がわからないんですけど?」
夢の中で誰かが私を呼んでいる気がする。
もう!うるさいな!
久しぶりにお母様の胸の中で眠っているのよ!邪魔しないで!
う、ううん⁈
どこかで聞いたことのある声……
もう忘れてしまいたいのに……絶対に彼に好きだなんて言えない……好きになってもらえない……だから諦めた初恋なのに……
やっとオリソン国に来て自分の中で踏ん切りがついて前に進もうと決めたのに。
誰にも迷惑かけずにこれからは一人で頑張るつもりなのに………今はお祖母様に甘えてしまっているけど、落ち着いたら一人で暮らすつもりでいる。
でも今だけはお母様が育ったこの屋敷でお母様の思い出に包まれながら眠りたいのに………
「ビアンカ!」
「おい、起きろ!」
「いつまで寝てるんだ?」
「…………いったぁ!!」
思いっきり頬をつねられた。
「寝たふりするからだろう?」
「……………な、なんでここに居るの?」
目を開けたらそこにいたのは……
「殿下っ?えっ?ええっ~??」
「遅いっ!いつまで寝ているんだ?」
「いやいや、花の乙女の部屋に勝手に入ってきて……私の寝顔をみ、み、見ましたぁ?」
顔が赤くなるのがわかる。よだれが出ていなかったかしら?
思わず口を拭いた。
い、いびきなんて掻いていないわよね?
「ああ、口開けてアホのような顔をして寝てたぞ」
「アホ⁈そ…それは……かなり変な顔だった?」
「いや、子供の頃と変わらない、面白い顔だった……」
殿下の顔が昔を懐かしむようにフッと笑った。
「子供の頃って………もう私は16歳です!それに……(悔しいけど、認めたくないけど)人妻なんです」
「あはははっ!人妻って、お前まだダイガットと結婚していたいのか?」
「だって離縁する前に逃げたから……」
「ダイガットの痣は25個出来ていて、あいつは今頃寝込んでいるはずだ」
「痣?25個?」
よくわからないのだけど?
「お前には言ってなかったな。お前があいつに離縁したいと言ってきた数が25回、そしてその度に腕に痣ができるんだ。
そして25回出来たら強制的に別れさせられるとダイガットは聞かされているんだが、本当は浮気した数なんだ。あいつはフランソアと25回も浮気をしていたんだ。
まあ、簡単に言えば性交渉?ほんと、ビアンカのことが初恋だとか好きだとか俺には言ってたけど、目の前にいる女に簡単に手を出して、今頃ベッドの上で苦しみもがいているはずだ」
性交渉って……
思わず開いた口が塞がらなくて固まってしまった。
「わ、私とダイガットは、そんなふしだらな関係はありませんでしたから!」
顔が真っ赤になって思わず叫んだ。
「わかってる。フランソアがダイガットを誘惑するように仕向けたのは俺だ。好きならビアンカから勝ち取れと裏で煽ってやったんだ」
「………煽る?裏で?」
もう話についていけない。
しっかり睡眠はとったけど、まだ頭は動いていないみたい。
「お前が俺に助けを求めないのがいけないんだ」
「意味がわからないんですけど?」
2,570
あなたにおすすめの小説
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
戦場からお持ち帰りなんですか?
satomi
恋愛
幼馴染だったけど結婚してすぐの新婚!ってときに彼・ベンは徴兵されて戦場に行ってしまいました。戦争が終わったと聞いたので、毎日ご馳走を作って私エミーは彼を待っていました。
1週間が経ち、彼は帰ってきました。彼の隣に女性を連れて…。曰く、困っている所を拾って連れてきた です。
私の結婚生活はうまくいくのかな?
心を失った彼女は、もう婚約者を見ない
基本二度寝
恋愛
女癖の悪い王太子は呪われた。
寝台から起き上がれず、食事も身体が拒否し、原因不明な状態の心労もあり、やせ細っていった。
「こりゃあすごい」
解呪に呼ばれた魔女は、しゃがれ声で場違いにも感嘆した。
「王族に呪いなんて効かないはずなのにと思ったけれど、これほど大きい呪いは見たことがないよ。どれだけの女の恨みを買ったんだい」
王太子には思い当たる節はない。
相手が勝手に勘違いして想いを寄せられているだけなのに。
「こりゃあ対価は大きいよ?」
金ならいくらでも出すと豪語する国王と、「早く息子を助けて」と喚く王妃。
「なら、その娘の心を対価にどうだい」
魔女はぐるりと部屋を見渡し、壁際に使用人らと共に立たされている王太子の婚約者の令嬢を指差した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる