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離縁してください
【16】
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「失礼致します」
ビルはさっさと部屋の中へと入って行った。
俺は……
「ビル?どうしたの?何か用事があった?ミゼルがいたから遠慮して廊下で待っていてくれたのね?ごめんなさい」
「実は明日からのお菓子作りの材料の確認に来たところだったんです」
「明日は久しぶりだから簡単なカップケーキにしようと思っているの。だから大して材料はいらないと思うわ」
「わかりました、ドライフルーツを用意しておきましょう」
「ありがとう、よろしくお願いね?」
「シルビア様が少しでも何かしようと思ってくださるだけで私達は嬉しいんです」
「心配かけたわね?ずっと部屋に閉じこもってばかりじゃいられないもの。みんなが心配して会いにきてくれたし、先輩からは手紙も届いているの。
それに負けたくない。あんなことされて怖くて眠れなかったけど、このまま負けて部屋に閉じこもったままなんて……なんだか悔しいもの」
「そうです、何も悪いことをしていないシルビア様がどうしてこれから先の人生を壊されなければいけないのでしょう?絶対そんなことはあってはいけない、シルビア様はいつものように笑って過ごさなければいけないのです」
「うん、ありがとう」
俺は動かない足を無理やり前に進めた。
「………失礼します……」
「……えっ?アレック……?」
シルビアはビルと扉の向こうで立ち話をしていた。
彼女は俺の姿を見て驚き、どう話していいのかわからず固まっていた。
俺も同じだ。
今まで彼女と会話することを避けてきた。今更何を話せばいい。ソニア殿下には吐き捨てるように言って意気込んで帰って来たのに……ミゼルの声を聞いてからの俺はあまりにも不甲斐なくどうすればいいのかわからない。
ミゼルと仲良く話していることに嫉妬した。シルビアは俺と殿下に対してこんな嫌な気持ちを一年も感じていたのかもしれない。
どれだけ辛かっただろう。俺に愛情はないかもしれない、それでも妻の立場としてどれだけ傷つけただろう。
これまでの自分勝手さに自分でも呆れてしまう。
「シルビア、すまなかった君を傷つけないようにと思っていたのに、俺が一番君を傷つけていた」
シルビアは何も返事をしない。ただ俺を黙って見つめていた。
どれだけの時間が経ったのだろう。いや、多分数分だったのだと思う。長く感じたのは俺があまりにも緊張していたから。
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎シルビア✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
アレックの顔をただ、黙って見つめていた。
彼はわたしを守ってくれていた……らしい。
なのにわたしから出た言葉は……
「離縁してください」
俯きながらなんとかその言葉を口にした。
震えるわたしは彼の顔すら見ることが出来なかった。
いつかは離縁をしよう、そう思っていた。だけどそれは今ではない。
わかっているのに、王命なんだから出来るわけががないのに、でも、もう彼を想い続けることに疲れてしまった。
「離縁………」
アレックは考え込んでいた。
突然そんなこと言われるんだもの。驚くわよね?彼だってわたしと好きで結婚した訳ではないもの。
「王命はもうすぐ取りやめられる。だから……離縁はできる」
「えっ?」
ーーまさか……本当に?ずっとこの1年間、そう思ってた……嬉しいはずの答えなのに……わたしってずるい。ショック受けてる。
「陛下がソニア殿下の頼みを受け入れたらしい。俺たちの結婚は王命ではなくなる。君が離縁したければ俺は……了承するしかない……」
「そうなんですね……あの、…………」
何をどう聞けばいいの?
あなたはわたしを守るためにソニア殿下のそばにいたの?
ソニア殿下はあなたを愛していたからわたしを襲ったの?
じゃあ、離縁を了承したら、あなたはソニア殿下と結婚するの?
だったらわたしを守るためだと団長から聞いた話しは、義務?それとも仕方なく?愛するソニア殿下がこれ以上犯罪を犯さないため?彼女のそばにいたの?
わたしのこと……好きでもないのに結婚させられて辛かった?苦しかった?
聞きたいことはたくさんあるのに離縁を了承すると言われてもう何も聞けない。
自分が言ったくせに頭の中がぐちゃぐちゃで、どうすればいいのかわからない。
「明日からはお菓子作りをしないといけない……ので、離縁は……住む場所が決まってからでもいいですか?」
なんとか絞り出せた言葉は、これだけだった。
ビルはさっさと部屋の中へと入って行った。
俺は……
「ビル?どうしたの?何か用事があった?ミゼルがいたから遠慮して廊下で待っていてくれたのね?ごめんなさい」
「実は明日からのお菓子作りの材料の確認に来たところだったんです」
「明日は久しぶりだから簡単なカップケーキにしようと思っているの。だから大して材料はいらないと思うわ」
「わかりました、ドライフルーツを用意しておきましょう」
「ありがとう、よろしくお願いね?」
「シルビア様が少しでも何かしようと思ってくださるだけで私達は嬉しいんです」
「心配かけたわね?ずっと部屋に閉じこもってばかりじゃいられないもの。みんなが心配して会いにきてくれたし、先輩からは手紙も届いているの。
それに負けたくない。あんなことされて怖くて眠れなかったけど、このまま負けて部屋に閉じこもったままなんて……なんだか悔しいもの」
「そうです、何も悪いことをしていないシルビア様がどうしてこれから先の人生を壊されなければいけないのでしょう?絶対そんなことはあってはいけない、シルビア様はいつものように笑って過ごさなければいけないのです」
「うん、ありがとう」
俺は動かない足を無理やり前に進めた。
「………失礼します……」
「……えっ?アレック……?」
シルビアはビルと扉の向こうで立ち話をしていた。
彼女は俺の姿を見て驚き、どう話していいのかわからず固まっていた。
俺も同じだ。
今まで彼女と会話することを避けてきた。今更何を話せばいい。ソニア殿下には吐き捨てるように言って意気込んで帰って来たのに……ミゼルの声を聞いてからの俺はあまりにも不甲斐なくどうすればいいのかわからない。
ミゼルと仲良く話していることに嫉妬した。シルビアは俺と殿下に対してこんな嫌な気持ちを一年も感じていたのかもしれない。
どれだけ辛かっただろう。俺に愛情はないかもしれない、それでも妻の立場としてどれだけ傷つけただろう。
これまでの自分勝手さに自分でも呆れてしまう。
「シルビア、すまなかった君を傷つけないようにと思っていたのに、俺が一番君を傷つけていた」
シルビアは何も返事をしない。ただ俺を黙って見つめていた。
どれだけの時間が経ったのだろう。いや、多分数分だったのだと思う。長く感じたのは俺があまりにも緊張していたから。
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎シルビア✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
アレックの顔をただ、黙って見つめていた。
彼はわたしを守ってくれていた……らしい。
なのにわたしから出た言葉は……
「離縁してください」
俯きながらなんとかその言葉を口にした。
震えるわたしは彼の顔すら見ることが出来なかった。
いつかは離縁をしよう、そう思っていた。だけどそれは今ではない。
わかっているのに、王命なんだから出来るわけががないのに、でも、もう彼を想い続けることに疲れてしまった。
「離縁………」
アレックは考え込んでいた。
突然そんなこと言われるんだもの。驚くわよね?彼だってわたしと好きで結婚した訳ではないもの。
「王命はもうすぐ取りやめられる。だから……離縁はできる」
「えっ?」
ーーまさか……本当に?ずっとこの1年間、そう思ってた……嬉しいはずの答えなのに……わたしってずるい。ショック受けてる。
「陛下がソニア殿下の頼みを受け入れたらしい。俺たちの結婚は王命ではなくなる。君が離縁したければ俺は……了承するしかない……」
「そうなんですね……あの、…………」
何をどう聞けばいいの?
あなたはわたしを守るためにソニア殿下のそばにいたの?
ソニア殿下はあなたを愛していたからわたしを襲ったの?
じゃあ、離縁を了承したら、あなたはソニア殿下と結婚するの?
だったらわたしを守るためだと団長から聞いた話しは、義務?それとも仕方なく?愛するソニア殿下がこれ以上犯罪を犯さないため?彼女のそばにいたの?
わたしのこと……好きでもないのに結婚させられて辛かった?苦しかった?
聞きたいことはたくさんあるのに離縁を了承すると言われてもう何も聞けない。
自分が言ったくせに頭の中がぐちゃぐちゃで、どうすればいいのかわからない。
「明日からはお菓子作りをしないといけない……ので、離縁は……住む場所が決まってからでもいいですか?」
なんとか絞り出せた言葉は、これだけだった。
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