【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ

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ミリア編   馬車の中。

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 馬車の中、ダイアナが目覚めたようだ。

「……ここは?」

「あら?目が覚めたの?」

「ミリア様……」

「貴女には外国へ行ってもらうわ、この国から消えてもらうの。誰も知らない国で嫁ぐの」

「そんなことしたらお父様が貴女を疑うと思います」

 ーー馬鹿な子。わたしがそんなヘマをすると思うの?

「わたし?わたしもこの国からやっと出ていくわ。貴女のお祖父様から子供を産むように命令されたわ、そして貴女をこの国から連れ出してやっとわたしも解放されるの」

 あのクソジジイ、ずっとわたしに監視をつけていた。わたしは夫のダニエルとダイアナを監視していた。そしてわたしが逃げ出さないように監視を別の者がしていた。

 もし逃げようものならわたしの愛する彼は殺される。
 だからわたしは逃げられなかった。

「命令?」

「そうよ、わたしの実家は借金で首が回らなかったの。貴女のお父様の子供を産むのが条件だった。解放されると思ったら今度は貴女の監視を命令されて……ほんとムカつくしかなかった。やっとこんな国おさばらよ」
 最初は実家の借金。領民のためだった。
 わたしの愛する従兄が守りたいと言ったから。

「弟達は?どうするのですか?」

「わたしは産めと命令されたの。仕方なく公爵夫人としてその間過ごしてあげたの。もう十分でしょう?」

 ダイアナはわたしを見て驚き目を大きく見開いていた。

 良き母、良き妻を演じていた。

 それも全て愛する従兄のため。だけどもうそれもおしまい。
 だってあの人はわたしを裏切って他の女と結婚して今では幸せな日々を送っているもの。

 わたしの若さと時間を犠牲にして心を殺して過ごしたのに、わたしには何も残っていない。

 だからあのクソジジイにダイアナを連れ出せと命令された時、これで最後にして欲しいと頼んだ。
 もう実家への仕送りは不要。
 彼が殺されようとあんなところどうなろうと関係ない。
 わたしだけがずっと犠牲になって残ったのは虚しさと恨みだけ。

 だからダイアナを引き渡したらわたしは貯めたお金で外国へ行く。

 本で読んだたくさんの憧れの世界。
 ずっと夢見ていた世界へ旅立つ。

 ダイアナ?
 知らないわ、この子の黒髪、容姿、翠色の瞳、若さ。欲しがる馬鹿な男は沢山いるわ、クソジジイがその中から自分にとって少しでも利益になる男に売るのだろう。

 ダニエルが必死で守ろうとしてきたダイアナ。
 わたしを寄せ付けないように、お祖父様に会わせないように、ダイアナが屋敷にいる時は常に監視を増やして自分も屋敷から離れなかった。

 手放せばいいのに、エレファ様の忘形見、手放すこともできず見守ることしかできない馬鹿な男。
 だからこんなことになったのよ。わたしは何も悪くはないわ。

 あんな男大嫌い、薬で無理やりその気にさせて抱かれたけど本当はずっと嫌だった。

 やっと全てから解放される。

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