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お父様。
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普段の俺なら監視を減らすことなんてしなかった。
この時本当にたまたま、ダイアナの部屋に何もないことに驚き俺の手の内の者たちに調べるように言ったのが悪かった。
まさかその隙にダイアナが連れ去られるなんて……
父上がミリアと繋がっているのはわかっていた。
だからこそ常にダイアナがいる時は監視を強化していた。
俺の動揺が、目を違うところに向けた一瞬の隙にダイアナはいなくなっていた。
しかもミリアも一緒に姿を消していた。
「ジェファ、お母様はどこへいくと言っていた?」
「お母様ですか?」
ジェファは何も知らないようだった。
この屋敷の半分は父上の息のかかった者達だ。
俺のために動いてくれる信頼できる者は半分しかいない。
つねに疑って過ごすしかない屋敷の中。
「ミリアがどこへ行ったか教えろ!ダイアナをどこへ連れて行った?知っている者は前へ出ろ」
俺は屋敷の使用人を集めて怒鳴りつけた。
目線を逸らす者、心配そうにしている者、ただ驚いている者。
執事のトムが驚いたように言った。
「旦那様、ダイアナ様はどこへも出てはいないと思いますが?」
「何故そう言える?」
「屋敷の外に馬車が出た気配などありませんでした」
ーーおかしい。
トムが気が付かないはずはない。
この屋敷のどこかに俺の知らない抜け道でもあるのだろうか。
確かにこの屋敷も父上のものだった。
今は隠居して別邸へ移り住んでいるが、この屋敷を建てたのは父上の代だ。
「この家の設計図を持ってこい」
トムは慌てて取りに行く。
その間に俺はミリアの部屋に入り何かないか、探して回った。
この時本当にたまたま、ダイアナの部屋に何もないことに驚き俺の手の内の者たちに調べるように言ったのが悪かった。
まさかその隙にダイアナが連れ去られるなんて……
父上がミリアと繋がっているのはわかっていた。
だからこそ常にダイアナがいる時は監視を強化していた。
俺の動揺が、目を違うところに向けた一瞬の隙にダイアナはいなくなっていた。
しかもミリアも一緒に姿を消していた。
「ジェファ、お母様はどこへいくと言っていた?」
「お母様ですか?」
ジェファは何も知らないようだった。
この屋敷の半分は父上の息のかかった者達だ。
俺のために動いてくれる信頼できる者は半分しかいない。
つねに疑って過ごすしかない屋敷の中。
「ミリアがどこへ行ったか教えろ!ダイアナをどこへ連れて行った?知っている者は前へ出ろ」
俺は屋敷の使用人を集めて怒鳴りつけた。
目線を逸らす者、心配そうにしている者、ただ驚いている者。
執事のトムが驚いたように言った。
「旦那様、ダイアナ様はどこへも出てはいないと思いますが?」
「何故そう言える?」
「屋敷の外に馬車が出た気配などありませんでした」
ーーおかしい。
トムが気が付かないはずはない。
この屋敷のどこかに俺の知らない抜け道でもあるのだろうか。
確かにこの屋敷も父上のものだった。
今は隠居して別邸へ移り住んでいるが、この屋敷を建てたのは父上の代だ。
「この家の設計図を持ってこい」
トムは慌てて取りに行く。
その間に俺はミリアの部屋に入り何かないか、探して回った。
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