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救出
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ダイアナの元へ向かうのに公爵たちは邪魔でしかない。
「公爵、馬車で来てください、俺は先に馬で向かいます」
「場所はわかるのか?」
「公爵、馬は?」
「もちろんお前ほどではないが乗れる。ジェファは騎士達と馬車でおいで、悪いが先に行くよ」
一刻も早く彼女を見つけ出したい。一人の方が早いが場所がわからない。無闇に探し回るくらいなら多少遅くなっても一緒に行くしかない。
この人にも親としての感情はあったのだと思いながら共に馬を駆けた。
「遅い、早く!」
俺は公爵に敬意すら払わず怒鳴りながら向かった。
公爵が当たりをつけたのは船着場から1時間ほど離れた森の近くにある別荘地だった。
季節外れの今人があまり来ない場所。
確かに隠すにはちょうどいい。
よく見れば新しい車輪の跡がいくつもあった。
その後を辿れば「やはり別荘だったな」
公爵は鍵の束を取り出すと扉を開けた。
季節外で使われていないとは言え手入れはきちんとされていた。
中に人はいない。
静まり返った部屋の中、耳をよく澄ます。
しかしどこからも音は聞こえない。
もう日も落ちてきた。
「公爵、この別荘には地下とか貯蔵庫とか何かないんですか?」
「……わからない、ここは父上のものだったから」
「貴方は今公爵なんでしょう?」
「情けない話だが、この歳になっても父上の呪縛から逃れられない。ダイアナのことだって守りたいのに守れないでいる」
「一番は貴方の手から離してあげることだったのでは?」
「……君にはわからないよわたしの気持ちは」
「そうですね、でもダイアナには何も伝わっていないと思います」
「……それでいい……………うん?……確か……この別荘には…」
突然、考え込んだと思ったら別荘を飛び出した公爵は、森の中へと走り出した。
俺は黙ってついて行くことにした。
別荘の中にはいくら探してもダイアナはいなかった。
他のところにいるのか、それとも見つけられないだけなのか。今はこの人を信じるしかなかった。
森の奥には古ぼけた小屋があった。
公爵はその小屋の中に入ると中を見回した。
「確か……あった」
床には一目ではすぐにはわからない地下へ続く扉があった。床に座り込み小刀を出して小さな隙間にはを立てた。そして扉を持ち上げた。
「ここが地下になっているんだ。ここは囚人を入れたりもしもの時に隠れるように作られた地下への入り口だ」
ランプを持って地下の階段を降りると扉があった。
「ダイアナ?」名前を呼びながら公爵が持っている鍵の中から扉を開けた。
「………誰?」
か細い声が聞こえた。
「ダイアナ、怪我はないか」
「え?ま、まさか…」
ダイアナは自分の父親が助けに来るとは夢にも思っていないようだった。
「ダイアナ、立てるか?」
俺は彼女のそばへ行くとランプの灯りを足元に照らした。
怪我はないようだ。
「歩けるか?」
「はい、キース様助けにきてくれたんですね」
ダイアナは父親をチラッと見たがどう話しかけようか迷っているみたいだった。
俺は公爵のことに触れずにダイアナを立たせて抱き上げた。
「きゃっ」驚いたダイアナは「お、おろしてください。あ、歩け…ます」必死で俺の腕の中から抜け出そうとした。
「悪いが今はじっと抱っこされていてくれ。いつまた犯人が戻ってくるかわからないからな」
ダイアナをおろす気はなかったが警戒しているのは確かだった。
連れ去ったのにどうして監視する人すらいないのか。あまりにも無防備だと感じた。
ランプの灯を照らしてくれて先に階段を上がったのが公爵だった。
「な、何だ、やめなさい」
階段を上り詰めたところで揉めている声が聞こえた。
目を凝らすと公爵が男と争っているようだ。
「公爵、馬車で来てください、俺は先に馬で向かいます」
「場所はわかるのか?」
「公爵、馬は?」
「もちろんお前ほどではないが乗れる。ジェファは騎士達と馬車でおいで、悪いが先に行くよ」
一刻も早く彼女を見つけ出したい。一人の方が早いが場所がわからない。無闇に探し回るくらいなら多少遅くなっても一緒に行くしかない。
この人にも親としての感情はあったのだと思いながら共に馬を駆けた。
「遅い、早く!」
俺は公爵に敬意すら払わず怒鳴りながら向かった。
公爵が当たりをつけたのは船着場から1時間ほど離れた森の近くにある別荘地だった。
季節外れの今人があまり来ない場所。
確かに隠すにはちょうどいい。
よく見れば新しい車輪の跡がいくつもあった。
その後を辿れば「やはり別荘だったな」
公爵は鍵の束を取り出すと扉を開けた。
季節外で使われていないとは言え手入れはきちんとされていた。
中に人はいない。
静まり返った部屋の中、耳をよく澄ます。
しかしどこからも音は聞こえない。
もう日も落ちてきた。
「公爵、この別荘には地下とか貯蔵庫とか何かないんですか?」
「……わからない、ここは父上のものだったから」
「貴方は今公爵なんでしょう?」
「情けない話だが、この歳になっても父上の呪縛から逃れられない。ダイアナのことだって守りたいのに守れないでいる」
「一番は貴方の手から離してあげることだったのでは?」
「……君にはわからないよわたしの気持ちは」
「そうですね、でもダイアナには何も伝わっていないと思います」
「……それでいい……………うん?……確か……この別荘には…」
突然、考え込んだと思ったら別荘を飛び出した公爵は、森の中へと走り出した。
俺は黙ってついて行くことにした。
別荘の中にはいくら探してもダイアナはいなかった。
他のところにいるのか、それとも見つけられないだけなのか。今はこの人を信じるしかなかった。
森の奥には古ぼけた小屋があった。
公爵はその小屋の中に入ると中を見回した。
「確か……あった」
床には一目ではすぐにはわからない地下へ続く扉があった。床に座り込み小刀を出して小さな隙間にはを立てた。そして扉を持ち上げた。
「ここが地下になっているんだ。ここは囚人を入れたりもしもの時に隠れるように作られた地下への入り口だ」
ランプを持って地下の階段を降りると扉があった。
「ダイアナ?」名前を呼びながら公爵が持っている鍵の中から扉を開けた。
「………誰?」
か細い声が聞こえた。
「ダイアナ、怪我はないか」
「え?ま、まさか…」
ダイアナは自分の父親が助けに来るとは夢にも思っていないようだった。
「ダイアナ、立てるか?」
俺は彼女のそばへ行くとランプの灯りを足元に照らした。
怪我はないようだ。
「歩けるか?」
「はい、キース様助けにきてくれたんですね」
ダイアナは父親をチラッと見たがどう話しかけようか迷っているみたいだった。
俺は公爵のことに触れずにダイアナを立たせて抱き上げた。
「きゃっ」驚いたダイアナは「お、おろしてください。あ、歩け…ます」必死で俺の腕の中から抜け出そうとした。
「悪いが今はじっと抱っこされていてくれ。いつまた犯人が戻ってくるかわからないからな」
ダイアナをおろす気はなかったが警戒しているのは確かだった。
連れ去ったのにどうして監視する人すらいないのか。あまりにも無防備だと感じた。
ランプの灯を照らしてくれて先に階段を上がったのが公爵だった。
「な、何だ、やめなさい」
階段を上り詰めたところで揉めている声が聞こえた。
目を凝らすと公爵が男と争っているようだ。
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