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キースVSお祖父様③
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使用人達は俺の顔を見て目を逸らさない。
みんな信頼してきた人たちだ。
疑ったことが内心「すまない」と思ってしまう。
そんな中、俺を見てほんの少し目を逸らした者がいた。
執事見習いのサムと侍女数人だった。
「みんな疑ってすまなかった」
俺はみんなより先に外に出た。
使用人達は執事に「解散してください。それぞれの仕事場に戻ってください」と言われ部屋を出て行った。
俺はサムの後ろをそっとついて行った。
サムは自分の仕事を始めた。
執事見習いのサムは、屋敷の保管庫に行き物品のチェックをしていた。
「アン、そこにある箱を取ってください」
侍女に話しかけていた。
「はい……あ、あの……キース様にはバレていませんよね?」
「大丈夫だ、キース様は使用人を疑ったわけではない、ただ確かめただけだ。俺たちはおかしな態度は取っていない」
「……よかった……ダイアナ様を連れ出す助けをしただけで死刑なんて……一瞬どうしようかと思いました」
「証拠はない。まさかダイアナ様を洗濯物を入れる台車に隠して裏口から屋敷の外に連れ出したなんて誰も思わないはずだ。これは使用人だから出来たことだ。屋敷の旦那様達には考えつかないことさ」
「それならいいんですが……もしバレたら……他の使用人達には見られてはいないと思うのですが、3階から1階までの階段は使用人専用でしたよね?ダイアナ様を抱えて階段を下りたので誰かが見ている可能性はないのか心配で……」
「階段では誰にもすれ違わなかった。いいか、堂々としているように他の者にも言っておけ。少しでも怪しい行動は取るな。キース様にはバレていない」
「なるほど、お前達はダイアナをそうやって屋敷から連れ出したんだな?」
「「キ、キース様……」」
二人が振り返り真っ青な顔をして目をギョッとさせていた。
すぐに捕らえて全てを白状させた。
「コイツらは後で騎士団に引き渡す。縄で縛り上げて地下牢に入れておけ」
侯爵家の護衛騎士達にあとは任せて俺はダイアナを連れて行ったホテルへと急いだ。
王都では有名な高級ホテル。
部屋番号も聞き出していたが、鍵はない。
ホテルの受付で騎士証であるブローチを見せて「近衛騎士副団長のキース・ネヴァンスだ。このホテルの804号室に泊まっている客室の鍵を渡して欲しい。その客は連れ去られて監禁されているんだ」
俺は数人の近衛騎士達とホテルに来ていた。
戸惑いながらも俺たちの服装と騎士証を見て、ホテルマンが鍵を渡してくれた。
「急ごう」
俺たちは急いで階段を駆け上がった。
部屋の前に着くと扉に耳を当て中の様子を伺ってから鍵をそっと開けた。
「きゃっ、貴方達は一体何ですか?」
「鍵を開けていきなり入ってくるなんて!」
侍女達が俺たちに向かって文句を言い始めた。
それを無視して部屋の中に入り、綺麗に着飾ったダイアナを見つけた。
ダイアナはソファに座って驚いた顔をして振り返り俺を見た。
「キース様?」
「ダイアナ、助けに来た」
ダイアナは張り詰めていたのだろう。俺の顔を見た瞬間涙をポロポロと流し始めた。
そしてソファから立ち上がると俺に向かって走ってきて抱きついた。
「……うっ……もう嫌だ……何でこんな目に遭うの?」
俺にギュッと抱きついて泣くダイアナの頭をそっと撫でた。
「迎えが遅くなってごめん、俺の屋敷は安全だと思っていた。まさか裏切り者がいるなんて……怖がらせてすまなかった」
ダイアナは頭を横に振った。
「キース様が悪いわけではないわ、全てお祖父様が元凶なの」
他の騎士達がここにいた使用人達を捕らえて連行した。
ダイアナの屋敷の侍女長も何も知らずに部屋に帰って来て俺たちを見て慌てて逃げ出そうとした。
女一人簡単に捕まえられた。
「触らないで!わたしを誰だと思っているの?バーランド公爵家の侍女長よ!大旦那様がお許しにならないわ」
「その大旦那様はもうすぐ捕まる。貴女は黙って牢で大旦那様を待っていろ、すぐに牢に入れるから」
「大旦那様はこの国で一番高貴なお方よ?王族だって大旦那様には何も言えないの!捕まえるなんてできるはずがないわ」
「悪いことをすれば捕まる。貴女はそんな当たり前のことも知らないのか?」
「大旦那様がなさることは全て正しいわ」
侍女長と呼ばれるこの女の目は視線が定まることなくギラついてどこか遠い目をしていた。
部屋から連れ出されるまで大きな声で叫んでいた。
「ダイアナ様は大旦那様のものよ!勝手に触らないでください、穢らわしい」
「ダイアナ様、早くその男から逃げてください。貴女は今から幸せになるために嫁がれるのです」
ダイアナは両手で耳を塞ぎ俺の胸の中で震えていた。
「ダイアナ、大丈夫。もうすぐ全てを終わらせる。そしたら二人でゆっくりと過ごそう、もう二度と君に怖い思いはさせない」
本当は震えるダイアナのそばにずっと一緒にいてあげたかった。だけどあのクソジジイだけは俺が捕まえて牢にぶち込んでやりたかった。
「キース様、お祖父様は恐ろしい人です。わたし忘れてしまっていた記憶を思い出したんです」
そう言って子供の頃の忘れてしまいたかった記憶を話してくれた。
ある程度は調べていたがダイアナの話は聞いていて不愉快でしかなかった。
外国の王族であるエレファ様を脅して犯した男。それを孫に見せつけていた。
息子のことも逆らわないように洗脳していたようだし、うちの侯爵家の使用人まで金の力で言いなりにさせていた。
俺は安心して任せられる部下にダイアナを委ねた。
「ダイアナを王妃様のそばに連れて行ってくれ」
俺はダイアナをもう一度抱きしめた。
「ダイアナ、王妃様のそばに居てくれ。あそこなら安心だ」
「キース様……待ってます」
か細い声で返事をしたダイアナに俺は優しく微笑んだ。
そして急ぎホテルを出て、前公爵の元へ向かった。
抵抗されては困るのであらかじめ団長に頼み前公爵の屋敷に騎士隊を向かわせておいた。
ーークソジジイ、絶対に許さない。
みんな信頼してきた人たちだ。
疑ったことが内心「すまない」と思ってしまう。
そんな中、俺を見てほんの少し目を逸らした者がいた。
執事見習いのサムと侍女数人だった。
「みんな疑ってすまなかった」
俺はみんなより先に外に出た。
使用人達は執事に「解散してください。それぞれの仕事場に戻ってください」と言われ部屋を出て行った。
俺はサムの後ろをそっとついて行った。
サムは自分の仕事を始めた。
執事見習いのサムは、屋敷の保管庫に行き物品のチェックをしていた。
「アン、そこにある箱を取ってください」
侍女に話しかけていた。
「はい……あ、あの……キース様にはバレていませんよね?」
「大丈夫だ、キース様は使用人を疑ったわけではない、ただ確かめただけだ。俺たちはおかしな態度は取っていない」
「……よかった……ダイアナ様を連れ出す助けをしただけで死刑なんて……一瞬どうしようかと思いました」
「証拠はない。まさかダイアナ様を洗濯物を入れる台車に隠して裏口から屋敷の外に連れ出したなんて誰も思わないはずだ。これは使用人だから出来たことだ。屋敷の旦那様達には考えつかないことさ」
「それならいいんですが……もしバレたら……他の使用人達には見られてはいないと思うのですが、3階から1階までの階段は使用人専用でしたよね?ダイアナ様を抱えて階段を下りたので誰かが見ている可能性はないのか心配で……」
「階段では誰にもすれ違わなかった。いいか、堂々としているように他の者にも言っておけ。少しでも怪しい行動は取るな。キース様にはバレていない」
「なるほど、お前達はダイアナをそうやって屋敷から連れ出したんだな?」
「「キ、キース様……」」
二人が振り返り真っ青な顔をして目をギョッとさせていた。
すぐに捕らえて全てを白状させた。
「コイツらは後で騎士団に引き渡す。縄で縛り上げて地下牢に入れておけ」
侯爵家の護衛騎士達にあとは任せて俺はダイアナを連れて行ったホテルへと急いだ。
王都では有名な高級ホテル。
部屋番号も聞き出していたが、鍵はない。
ホテルの受付で騎士証であるブローチを見せて「近衛騎士副団長のキース・ネヴァンスだ。このホテルの804号室に泊まっている客室の鍵を渡して欲しい。その客は連れ去られて監禁されているんだ」
俺は数人の近衛騎士達とホテルに来ていた。
戸惑いながらも俺たちの服装と騎士証を見て、ホテルマンが鍵を渡してくれた。
「急ごう」
俺たちは急いで階段を駆け上がった。
部屋の前に着くと扉に耳を当て中の様子を伺ってから鍵をそっと開けた。
「きゃっ、貴方達は一体何ですか?」
「鍵を開けていきなり入ってくるなんて!」
侍女達が俺たちに向かって文句を言い始めた。
それを無視して部屋の中に入り、綺麗に着飾ったダイアナを見つけた。
ダイアナはソファに座って驚いた顔をして振り返り俺を見た。
「キース様?」
「ダイアナ、助けに来た」
ダイアナは張り詰めていたのだろう。俺の顔を見た瞬間涙をポロポロと流し始めた。
そしてソファから立ち上がると俺に向かって走ってきて抱きついた。
「……うっ……もう嫌だ……何でこんな目に遭うの?」
俺にギュッと抱きついて泣くダイアナの頭をそっと撫でた。
「迎えが遅くなってごめん、俺の屋敷は安全だと思っていた。まさか裏切り者がいるなんて……怖がらせてすまなかった」
ダイアナは頭を横に振った。
「キース様が悪いわけではないわ、全てお祖父様が元凶なの」
他の騎士達がここにいた使用人達を捕らえて連行した。
ダイアナの屋敷の侍女長も何も知らずに部屋に帰って来て俺たちを見て慌てて逃げ出そうとした。
女一人簡単に捕まえられた。
「触らないで!わたしを誰だと思っているの?バーランド公爵家の侍女長よ!大旦那様がお許しにならないわ」
「その大旦那様はもうすぐ捕まる。貴女は黙って牢で大旦那様を待っていろ、すぐに牢に入れるから」
「大旦那様はこの国で一番高貴なお方よ?王族だって大旦那様には何も言えないの!捕まえるなんてできるはずがないわ」
「悪いことをすれば捕まる。貴女はそんな当たり前のことも知らないのか?」
「大旦那様がなさることは全て正しいわ」
侍女長と呼ばれるこの女の目は視線が定まることなくギラついてどこか遠い目をしていた。
部屋から連れ出されるまで大きな声で叫んでいた。
「ダイアナ様は大旦那様のものよ!勝手に触らないでください、穢らわしい」
「ダイアナ様、早くその男から逃げてください。貴女は今から幸せになるために嫁がれるのです」
ダイアナは両手で耳を塞ぎ俺の胸の中で震えていた。
「ダイアナ、大丈夫。もうすぐ全てを終わらせる。そしたら二人でゆっくりと過ごそう、もう二度と君に怖い思いはさせない」
本当は震えるダイアナのそばにずっと一緒にいてあげたかった。だけどあのクソジジイだけは俺が捕まえて牢にぶち込んでやりたかった。
「キース様、お祖父様は恐ろしい人です。わたし忘れてしまっていた記憶を思い出したんです」
そう言って子供の頃の忘れてしまいたかった記憶を話してくれた。
ある程度は調べていたがダイアナの話は聞いていて不愉快でしかなかった。
外国の王族であるエレファ様を脅して犯した男。それを孫に見せつけていた。
息子のことも逆らわないように洗脳していたようだし、うちの侯爵家の使用人まで金の力で言いなりにさせていた。
俺は安心して任せられる部下にダイアナを委ねた。
「ダイアナを王妃様のそばに連れて行ってくれ」
俺はダイアナをもう一度抱きしめた。
「ダイアナ、王妃様のそばに居てくれ。あそこなら安心だ」
「キース様……待ってます」
か細い声で返事をしたダイアナに俺は優しく微笑んだ。
そして急ぎホテルを出て、前公爵の元へ向かった。
抵抗されては困るのであらかじめ団長に頼み前公爵の屋敷に騎士隊を向かわせておいた。
ーークソジジイ、絶対に許さない。
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