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王城にて⑧ ジャスティア編
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「ジャスティア様、本日のお勉強はこれで終わりです」
「ありがとうございました」
頭を下げて挨拶をした。
ーーふー……どうしてこんなことになったの?
先生が居なくなってからベッドに倒れ込んだ。
王宮から追い出されて王女としての地位を剥奪された。
お父様は「お前はもう娘じゃない」と吐き捨てられた。
わたしが何をしたと言うの?
ただ体にいいと教えてもらった薬を令嬢達に紹介しただけよ?
それがまさか違法薬物だったなんて。
みんなが喜んでくれてわたし自身もたくさんのお金が入っていい事ばかりだったのに!
お母様が幼い頃亡くなって寂しくていつも泣いていたわ。
そんなわたしにお父様は「ジャスティア泣かないでおくれ。お前の望みはなんでも叶えてやる。だからそんな悲しい顔をするな」と言ってくれた。
この国で一番偉い王様をしているお父様。
好きなものはなんでも買ってもらえた。
嫌だ、したくない!と言えば勉強だってダンスの練習だって淑女教育だって、手を抜けた。
嫌いな教師はクビにできたし、気に入らない侍女は辞めさせた。
わたしを悪く言う人たちは王宮の出入りを禁止出来たし、わたしに優しい世界を作り出すことが出来た。
我儘だとか傲慢だとか言われていたのは知っている。
でもわたしは好きなことだけをして好きなものに囲まれて過ごしてきただけ。
お義母様はそんなわたしに対していつもお小言ばかり。
「うるさいわ」「放っておいて」「わたしに関わらないで」
どれだけ反抗してきたか。
それでもしつこい。
わたしはこの人が嫌いだった。
正論をいくら言われてもわたしの心には響かない。
だってお義母様といるとイライラするのだもの。
聞きたくない、言われたくない、話しかけられたくない!
放っておいてよ!
貴女にとってわたしは義娘でしかないのだから!
ヴァレンとセリーヌがいるんだからわたしなんて気にする必要ないじゃない!
わたしには優しいお父様だけがいればいいの。
そう思っていた。なのにわたしがどうしても欲しいものはくれなかった。
お義母様の護衛騎士としていつもそばに居るキース。
お義母様の専属の侍女や騎士、使用人達はわたしのことを呆れた顔で見ていた。
でもどうでもよかった。
わたしは言いたいことを言っていた。
「うるさい!貴女にだけは言われたくないわ!わたしに話しかけないでちょうだい」
みんなが白い目で見る。そんな中彼だけは表情を変えない。憐れむでもなく呆れるでもなく、いつもお義母様を黙って護衛していた。
この人が欲しい。そばに置きたい。
そう思ってお父様にお願いした。
「キース・ネヴァンスをわたしの護衛騎士にしたいの」
だけどお父様はそれだけは認めてくれなかった。
「キースは王妃の専属だ。お前の我儘で変えることはできない」
「どうして?いつものお父様ならわたしのお願いならなんでも聞いてくださるのに」
「キースは王妃の親友の息子なんだ」
「だから?そんなの関係ないじゃない!」
「王妃には考えがあって彼を護衛に選んだんだ。だから手放すことはできないと断られた」
「……分かったわ」
納得できなかった。
キースが欲しい。駄目だと言われたらもっと欲しくなった。
そんな時、ダイアナがキースと婚約すると知った。
ただキースを護衛として欲しいと思っていただけだったはず……なのにこのズキズキする痛みは何?
偶然お義母様がお父様に頼んでいるところを見た。キースとダイアナの婚約を国王からの勧めとして話すようにお願いをしていた。
「ふうん、二人の婚約を無理強いするのね?お母様何故二人を?」
わたしは二人の話に割り込んだ。
ーーイライラする。この気持ちは何?
「ジャスティア、貴女には関係ないわ。ここから出て行きなさい」
お義母様はわたしを追い出そうとした。
「お義母様の無理なお願いは聞くのね?お義母様のお気に入りのダイアナとキースが婚約ねぇ、ふうん、何かあるのかしら?態々お父様にまで頼むなんて」
ニヤニヤしながらお義母様を見てそのあとお父様に視線を向けた。
「お父様、二人が婚約するなら同じ宮にずっと一緒だと周りがうるさいのでは?キースをわたしにください。以前からお願いしていたでしょう?彼を護衛として欲しいの」
お父様はチラリとお義母様の方へ目を向けた。
お義母様は溜息を吐きながら返事をした。
「確かにジャスティアの言う通りね。思い合う二人がずっと一緒だと周りがヤキモチ妬くかもしれないわね」
「……なっ……に、その言い方!どこから見れば思い合っていると言うのよ!」
ーー嫌な気分、キースがダイアナを好いている?信じられないわ。
まだ16歳よ?わたしより2歳も年下のくせに生意気だわ。
二人の歳の差は5つもあるのよ!
キースをわたしのそばに置いて二人の中を引き裂いてやるわ!
「ジャスティア、お前の願い通りキース・ネヴァンスはお前の護衛騎士にしよう。移動は二人の婚約が整ってからだ。それまでは他言無用だ、分かったな?」
「あら?わたし、口は軽くないわ。お気に入りのモノをわたしはもらえるのよ?」
「ありがとうございました」
頭を下げて挨拶をした。
ーーふー……どうしてこんなことになったの?
先生が居なくなってからベッドに倒れ込んだ。
王宮から追い出されて王女としての地位を剥奪された。
お父様は「お前はもう娘じゃない」と吐き捨てられた。
わたしが何をしたと言うの?
ただ体にいいと教えてもらった薬を令嬢達に紹介しただけよ?
それがまさか違法薬物だったなんて。
みんなが喜んでくれてわたし自身もたくさんのお金が入っていい事ばかりだったのに!
お母様が幼い頃亡くなって寂しくていつも泣いていたわ。
そんなわたしにお父様は「ジャスティア泣かないでおくれ。お前の望みはなんでも叶えてやる。だからそんな悲しい顔をするな」と言ってくれた。
この国で一番偉い王様をしているお父様。
好きなものはなんでも買ってもらえた。
嫌だ、したくない!と言えば勉強だってダンスの練習だって淑女教育だって、手を抜けた。
嫌いな教師はクビにできたし、気に入らない侍女は辞めさせた。
わたしを悪く言う人たちは王宮の出入りを禁止出来たし、わたしに優しい世界を作り出すことが出来た。
我儘だとか傲慢だとか言われていたのは知っている。
でもわたしは好きなことだけをして好きなものに囲まれて過ごしてきただけ。
お義母様はそんなわたしに対していつもお小言ばかり。
「うるさいわ」「放っておいて」「わたしに関わらないで」
どれだけ反抗してきたか。
それでもしつこい。
わたしはこの人が嫌いだった。
正論をいくら言われてもわたしの心には響かない。
だってお義母様といるとイライラするのだもの。
聞きたくない、言われたくない、話しかけられたくない!
放っておいてよ!
貴女にとってわたしは義娘でしかないのだから!
ヴァレンとセリーヌがいるんだからわたしなんて気にする必要ないじゃない!
わたしには優しいお父様だけがいればいいの。
そう思っていた。なのにわたしがどうしても欲しいものはくれなかった。
お義母様の護衛騎士としていつもそばに居るキース。
お義母様の専属の侍女や騎士、使用人達はわたしのことを呆れた顔で見ていた。
でもどうでもよかった。
わたしは言いたいことを言っていた。
「うるさい!貴女にだけは言われたくないわ!わたしに話しかけないでちょうだい」
みんなが白い目で見る。そんな中彼だけは表情を変えない。憐れむでもなく呆れるでもなく、いつもお義母様を黙って護衛していた。
この人が欲しい。そばに置きたい。
そう思ってお父様にお願いした。
「キース・ネヴァンスをわたしの護衛騎士にしたいの」
だけどお父様はそれだけは認めてくれなかった。
「キースは王妃の専属だ。お前の我儘で変えることはできない」
「どうして?いつものお父様ならわたしのお願いならなんでも聞いてくださるのに」
「キースは王妃の親友の息子なんだ」
「だから?そんなの関係ないじゃない!」
「王妃には考えがあって彼を護衛に選んだんだ。だから手放すことはできないと断られた」
「……分かったわ」
納得できなかった。
キースが欲しい。駄目だと言われたらもっと欲しくなった。
そんな時、ダイアナがキースと婚約すると知った。
ただキースを護衛として欲しいと思っていただけだったはず……なのにこのズキズキする痛みは何?
偶然お義母様がお父様に頼んでいるところを見た。キースとダイアナの婚約を国王からの勧めとして話すようにお願いをしていた。
「ふうん、二人の婚約を無理強いするのね?お母様何故二人を?」
わたしは二人の話に割り込んだ。
ーーイライラする。この気持ちは何?
「ジャスティア、貴女には関係ないわ。ここから出て行きなさい」
お義母様はわたしを追い出そうとした。
「お義母様の無理なお願いは聞くのね?お義母様のお気に入りのダイアナとキースが婚約ねぇ、ふうん、何かあるのかしら?態々お父様にまで頼むなんて」
ニヤニヤしながらお義母様を見てそのあとお父様に視線を向けた。
「お父様、二人が婚約するなら同じ宮にずっと一緒だと周りがうるさいのでは?キースをわたしにください。以前からお願いしていたでしょう?彼を護衛として欲しいの」
お父様はチラリとお義母様の方へ目を向けた。
お義母様は溜息を吐きながら返事をした。
「確かにジャスティアの言う通りね。思い合う二人がずっと一緒だと周りがヤキモチ妬くかもしれないわね」
「……なっ……に、その言い方!どこから見れば思い合っていると言うのよ!」
ーー嫌な気分、キースがダイアナを好いている?信じられないわ。
まだ16歳よ?わたしより2歳も年下のくせに生意気だわ。
二人の歳の差は5つもあるのよ!
キースをわたしのそばに置いて二人の中を引き裂いてやるわ!
「ジャスティア、お前の願い通りキース・ネヴァンスはお前の護衛騎士にしよう。移動は二人の婚約が整ってからだ。それまでは他言無用だ、分かったな?」
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