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ルバート伯爵家。⑤
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わたしが死んだあとの世界。
「聞かせてくれる?」
周りには使用人たちがいる。
なのに誰もルドーの話を怪しんだり驚いた顔をしている人はいない。
それが不思議で……
「ルドー、ここで話しを聞いてもいいの?」
「はい、ここにいる使用人たちはわたしの話を知っている者たちです。数人はわたしと同じ記憶保持者です」
「えっ?わたしと接点がないのに?」
「あなたは姫様ですよ?」
「もう平民だけどね」
「あなたがこの国からルワナ王国へ嫁がれて幸せに暮らしていると本当に思っておりました……」
「どうしてそう思ったの?」
「ルワナ王国でのソフィア様の活躍はこの国にまで届いておりました……大きな災害で大変な時もあなたは必死で国を支えようとしておられました。リシャ国もルワナ王国の王妃であるあなたのためにと支援物資を何度かお送りしました」
「………届いてないわ」
あの頃のことは覚えている。
大災害で国の中は乱れ国民たちは王家に対して不平不満が募っていた。
貴族たちもまた王族に対して何も出来ない無能だと鼻で笑っていた。
夫であるネルヴァンは側妃のリリア様を連れて近隣諸国が集まる会議に出席していた。なんとか援助を得ようと動いていたのだった。
わたしは一人なんとか少しでも国民のために食物を余っているところから集めて配ったり、薬師を集めて薬などの配給をするようにと指示していた。
わたしが出来ることをほんの少しでも……そう思って……
でも国民の不満の矛先は王族として采配していたわたしに全て向けられた。
そしてクーデターが起こりわたしは……
『貴女はもう終わりだ。この国の混乱を招いたのは他でもない貴女だ。貴女がこの国に嫁いでからこの国はたくさんの災難に見舞われた。王妃になるはずだったリリア様は側妃として辛い立場の中過ごされた』
『陛下は愛もない貴女を受け入れるしかなかった』
心無い臣下たちの言葉。
思い出すのはネルヴァンの冷たい言葉。
『俺はお前を妻とは認めない』
それでもわたしは誰かの愛を得ようと必死だった。
ネルヴァン様に愛されたかった。
だけど、わたしを認めてくれた人たちも確かにいた。
クーデターでわたしは捕まり地下牢に入れられてしばらくそのまま放置された。
体中の痛みが意識を手放すことすら許さない。
特にお腹の痛みはひどく、痛みに声が漏れる。
『あっ………うううっ………』
わたしは何もない地下牢の中で冷たい地面に横たわり、必死で痛みに耐え続けるしかなかった。
『王妃様……大丈夫ですか?』
侍女長が地下牢へとやって来た。
『侍女長?どうしてここに来たの?危険だから早くお逃げなさい』
『王妃様、大丈夫です。王妃様が常に私達に対し演技で冷たい態度を取っていてくださったおかげで、反乱者達は私達が王妃様を嫌っていると思っております』
『ふふふっ。ずっと仲が悪くしか見えなかったものね?』
『はい……お互いとても冷たい態度を取っておりましたから。たまに本当に王妃様に嫌われているのかと思ったこともありました』
『あら?それはわたくしもよ?』
侍女長の目からは涙が溢れていた。
『私達のために必死で働きこの国をなんとかしようと一番頑張ってこられた王妃様になんて酷いことを………申し訳ございません』
『貴女達がいたからこの国を見捨てることができなかったの……』
『私達が足枷になっていたのですね?』
『違うわ、貴女達がいたから生きる希望を持てたのよ?とても感謝しているわ』
思い出す日々。
地下牢から連れ出され城壁の上に立たされた。体と手を縄で縛られ、いつ落ちてしまうかわからない状態。
下を見ると、たくさんの人々が石を投げてくる。
聞こえてくるのは怒声。
『死ね!』
『この悪女!』
『さっさと落ちてしまえ!』
悪意しか感じない罵声。わたしは体が震えていた。
そして突然後ろから剣で刺された。
血が滴る。
その後城壁の上から落とされた。
ドスンッ。
痛みすら感じなかった。
思い出すだけで胸が苦しい。
真っ青な顔になりながらもルドーの話を聞いていた。
「ソフィア様が亡くなられてから、ルワナ王国は完全に崩壊しました。確かに災害はありましたが、回復しようとしていた矢先……さらにひどい災害が起きて国としての機能を果たすことはできなくなりました。王族は全て処刑され、国民は飢えて苦しみました。それは……リシャ国にも、……聖女であるオリビア様がいてくれたはずなのに……なんの役にも立ちませんでした」
「わたしが死んでからみんな苦しんでしまったの?」
「……はい……オリビア様は……さっさとこの国を見捨てて逃げてしまわれました」
「聞かせてくれる?」
周りには使用人たちがいる。
なのに誰もルドーの話を怪しんだり驚いた顔をしている人はいない。
それが不思議で……
「ルドー、ここで話しを聞いてもいいの?」
「はい、ここにいる使用人たちはわたしの話を知っている者たちです。数人はわたしと同じ記憶保持者です」
「えっ?わたしと接点がないのに?」
「あなたは姫様ですよ?」
「もう平民だけどね」
「あなたがこの国からルワナ王国へ嫁がれて幸せに暮らしていると本当に思っておりました……」
「どうしてそう思ったの?」
「ルワナ王国でのソフィア様の活躍はこの国にまで届いておりました……大きな災害で大変な時もあなたは必死で国を支えようとしておられました。リシャ国もルワナ王国の王妃であるあなたのためにと支援物資を何度かお送りしました」
「………届いてないわ」
あの頃のことは覚えている。
大災害で国の中は乱れ国民たちは王家に対して不平不満が募っていた。
貴族たちもまた王族に対して何も出来ない無能だと鼻で笑っていた。
夫であるネルヴァンは側妃のリリア様を連れて近隣諸国が集まる会議に出席していた。なんとか援助を得ようと動いていたのだった。
わたしは一人なんとか少しでも国民のために食物を余っているところから集めて配ったり、薬師を集めて薬などの配給をするようにと指示していた。
わたしが出来ることをほんの少しでも……そう思って……
でも国民の不満の矛先は王族として采配していたわたしに全て向けられた。
そしてクーデターが起こりわたしは……
『貴女はもう終わりだ。この国の混乱を招いたのは他でもない貴女だ。貴女がこの国に嫁いでからこの国はたくさんの災難に見舞われた。王妃になるはずだったリリア様は側妃として辛い立場の中過ごされた』
『陛下は愛もない貴女を受け入れるしかなかった』
心無い臣下たちの言葉。
思い出すのはネルヴァンの冷たい言葉。
『俺はお前を妻とは認めない』
それでもわたしは誰かの愛を得ようと必死だった。
ネルヴァン様に愛されたかった。
だけど、わたしを認めてくれた人たちも確かにいた。
クーデターでわたしは捕まり地下牢に入れられてしばらくそのまま放置された。
体中の痛みが意識を手放すことすら許さない。
特にお腹の痛みはひどく、痛みに声が漏れる。
『あっ………うううっ………』
わたしは何もない地下牢の中で冷たい地面に横たわり、必死で痛みに耐え続けるしかなかった。
『王妃様……大丈夫ですか?』
侍女長が地下牢へとやって来た。
『侍女長?どうしてここに来たの?危険だから早くお逃げなさい』
『王妃様、大丈夫です。王妃様が常に私達に対し演技で冷たい態度を取っていてくださったおかげで、反乱者達は私達が王妃様を嫌っていると思っております』
『ふふふっ。ずっと仲が悪くしか見えなかったものね?』
『はい……お互いとても冷たい態度を取っておりましたから。たまに本当に王妃様に嫌われているのかと思ったこともありました』
『あら?それはわたくしもよ?』
侍女長の目からは涙が溢れていた。
『私達のために必死で働きこの国をなんとかしようと一番頑張ってこられた王妃様になんて酷いことを………申し訳ございません』
『貴女達がいたからこの国を見捨てることができなかったの……』
『私達が足枷になっていたのですね?』
『違うわ、貴女達がいたから生きる希望を持てたのよ?とても感謝しているわ』
思い出す日々。
地下牢から連れ出され城壁の上に立たされた。体と手を縄で縛られ、いつ落ちてしまうかわからない状態。
下を見ると、たくさんの人々が石を投げてくる。
聞こえてくるのは怒声。
『死ね!』
『この悪女!』
『さっさと落ちてしまえ!』
悪意しか感じない罵声。わたしは体が震えていた。
そして突然後ろから剣で刺された。
血が滴る。
その後城壁の上から落とされた。
ドスンッ。
痛みすら感じなかった。
思い出すだけで胸が苦しい。
真っ青な顔になりながらもルドーの話を聞いていた。
「ソフィア様が亡くなられてから、ルワナ王国は完全に崩壊しました。確かに災害はありましたが、回復しようとしていた矢先……さらにひどい災害が起きて国としての機能を果たすことはできなくなりました。王族は全て処刑され、国民は飢えて苦しみました。それは……リシャ国にも、……聖女であるオリビア様がいてくれたはずなのに……なんの役にも立ちませんでした」
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「……はい……オリビア様は……さっさとこの国を見捨てて逃げてしまわれました」
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