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ルバート伯爵家。⑥
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「オリビア様が逃げた?」
信じられなかった。だって彼女は聖女様でこの国の王女様なのに?
確かにちょっと……怪しい人だったけど。
『形ではないわ。ここにいる、それが力なの』
そんなわけあるかい!と思ったけど、さっさと逃げたのね。
ここにいるだけで聖女の力が発揮されるなら逃げるわけがないわよね。
「リシャ国の国王は?」
「陛下は最後までこの国を守ろうとしましたが、災いは次から次へとやってきて……わたし自身も病に倒れ、その先は……」
ルドーが先のことはわからないと首を横に振った。
なんて悲しい話なんだろう。
これから先また災いが起こるのかな?
それともわたしがルワナ王国に嫁がなければ何も起こらないのかしら?
ふと思い出す。
わたしが捕まったあの頃、貴族達に悲壮感なんてなかった。
リシャ国からの支援物資は多分彼らの懐に入っていたのだろう。
国民のために送られてきた物を自分たちだけのために食べていたのだと思うと腹が立った。
ううん、何も見えていなかったあの頃のことを思うと悔しくて自分自身に一番腹が立つ。
ただ愛されようと必死で、周りが見えていなかった。
もっとしっかり周りを見ていれば、貴族達が勝手に国民のための支援物資を横取りすることもなかったはず。
オリビア様だってどう考えても怪しすぎるのに、疑うことすらしなかった。
でもそれを信じて養女にしたのもわたしを疎かにしたのも両陛下が決めたこと。
わたしは冷たいのだと思う。
「ルドー、わたし……もう平民なの。以前の弱くてただ誰かに愛されたいと思っているだけのソフィアはいないの。貴方は伯爵様、わたしは平民のソフィア」
わたしはルドーの前に立ち深々と頭を下げた。
「伯爵様、どうか賤しい平民でしかないわたしをお見逃しください」
「姫様……頭を下げるのだけはおやめください……貴女にこの国を守って欲しいなどと思っていません……貴女には今度こそ幸せになってほしいのです。貴女をお守りできなかったわたしにもう一度守らせてほしいのです」
「わたしを自由にさせてください、お願いします。もう突き落とされて殺されるのは嫌なんです」
2回も突き落とされた。
今度こそ殺されるのではなく生を全うしてから死にたい。
「……姫様にとって守られることも、縛られてしまうことなのですね」
「ごめんなさい」
「もし、わたしの力が必要になったら絶対声をかけてください」
「ええ、その時は助けてね」
そんなことは絶対にないと思う。
「弟は貴女を守ってきたのに……わたしは守ることすらできないなんて……」
ルドーの悔しそうな声に足を止めそうになったけど振り返らずに部屋を出た。
わたしがルドーに頼れば何かしら問題に巻き込んでしまう。彼は伯爵の地位も家族も捨ててわたしを守ろうとする。
ルドーはそんな人だった。わたしに対して忠誠を誓った彼は今もなおその誓いを守ろうとしている。
だから突き放す。
彼がわたしを守ろうとするのと同じ。わたしだってルドーの幸せを壊したくない。
それにわたしは前世と同じように動きたくない。わたしが変われば前世とは違うかもしれない。
災害なんて起きてほしくない。
みんなが苦しむ姿なんて見たくない。
でも今度はどこへ行けばいいのかしら?
やっと落ち着いて暮らせるかもしれないと思ったのに。
ルドルフに会いたい。
ルドルフを抱きしめたい。
わたしは急ぎ宿屋へと帰って行った。
信じられなかった。だって彼女は聖女様でこの国の王女様なのに?
確かにちょっと……怪しい人だったけど。
『形ではないわ。ここにいる、それが力なの』
そんなわけあるかい!と思ったけど、さっさと逃げたのね。
ここにいるだけで聖女の力が発揮されるなら逃げるわけがないわよね。
「リシャ国の国王は?」
「陛下は最後までこの国を守ろうとしましたが、災いは次から次へとやってきて……わたし自身も病に倒れ、その先は……」
ルドーが先のことはわからないと首を横に振った。
なんて悲しい話なんだろう。
これから先また災いが起こるのかな?
それともわたしがルワナ王国に嫁がなければ何も起こらないのかしら?
ふと思い出す。
わたしが捕まったあの頃、貴族達に悲壮感なんてなかった。
リシャ国からの支援物資は多分彼らの懐に入っていたのだろう。
国民のために送られてきた物を自分たちだけのために食べていたのだと思うと腹が立った。
ううん、何も見えていなかったあの頃のことを思うと悔しくて自分自身に一番腹が立つ。
ただ愛されようと必死で、周りが見えていなかった。
もっとしっかり周りを見ていれば、貴族達が勝手に国民のための支援物資を横取りすることもなかったはず。
オリビア様だってどう考えても怪しすぎるのに、疑うことすらしなかった。
でもそれを信じて養女にしたのもわたしを疎かにしたのも両陛下が決めたこと。
わたしは冷たいのだと思う。
「ルドー、わたし……もう平民なの。以前の弱くてただ誰かに愛されたいと思っているだけのソフィアはいないの。貴方は伯爵様、わたしは平民のソフィア」
わたしはルドーの前に立ち深々と頭を下げた。
「伯爵様、どうか賤しい平民でしかないわたしをお見逃しください」
「姫様……頭を下げるのだけはおやめください……貴女にこの国を守って欲しいなどと思っていません……貴女には今度こそ幸せになってほしいのです。貴女をお守りできなかったわたしにもう一度守らせてほしいのです」
「わたしを自由にさせてください、お願いします。もう突き落とされて殺されるのは嫌なんです」
2回も突き落とされた。
今度こそ殺されるのではなく生を全うしてから死にたい。
「……姫様にとって守られることも、縛られてしまうことなのですね」
「ごめんなさい」
「もし、わたしの力が必要になったら絶対声をかけてください」
「ええ、その時は助けてね」
そんなことは絶対にないと思う。
「弟は貴女を守ってきたのに……わたしは守ることすらできないなんて……」
ルドーの悔しそうな声に足を止めそうになったけど振り返らずに部屋を出た。
わたしがルドーに頼れば何かしら問題に巻き込んでしまう。彼は伯爵の地位も家族も捨ててわたしを守ろうとする。
ルドーはそんな人だった。わたしに対して忠誠を誓った彼は今もなおその誓いを守ろうとしている。
だから突き放す。
彼がわたしを守ろうとするのと同じ。わたしだってルドーの幸せを壊したくない。
それにわたしは前世と同じように動きたくない。わたしが変われば前世とは違うかもしれない。
災害なんて起きてほしくない。
みんなが苦しむ姿なんて見たくない。
でも今度はどこへ行けばいいのかしら?
やっと落ち着いて暮らせるかもしれないと思ったのに。
ルドルフに会いたい。
ルドルフを抱きしめたい。
わたしは急ぎ宿屋へと帰って行った。
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