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捕まる。
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ルドルフのところへ。
二つの異なる前世の記憶が入り混じり心を乱す。
ただルドルフに会いたかった。
この数年ずっと傍にいてくれたルドルフ。家族よりも誠実で裏切らない。
馬小屋へ着くとルドルフを探す。
「ルドルフ?」
いない。放牧場かしら?
すぐ近くにある放牧場へ行き、世話をしてくれている宿屋に雇われているおじちゃんに「ルドルフはどこかしら?」と尋ねた。
「ルドルフですか?」
驚いた顔をしたが、すぐわたしから目をそらした。
「あ、いや、あの……ルドルフは…あんたに頼まれたからと連れて行ったよ」
「わたしに頼まれて?ルドルフは抵抗しなかった?」
あの子はとても賢い。勝手に連れ去ろうとすれば暴れるはず。
「まぁ多少嫌がりましたが、『ルドルフ』と優しく声をかけた50代くらいの男の姿を見るとルドルフはすぐに大人しくなりついていきました」
50代の男の人?
「あの感じは、ルドルフを世話してきた馬丁だと思いました」
馬丁………どうして王城内で働いているおじちゃん達がルドルフを黙って連れて行ったの?
わたしに優しくしてくれた明るいおじちゃん達の顔が浮かんだ。
「………そう…わかったわ」
目の前にいるおじちゃんに文句を言っても仕方がない。
ルドルフが自分の意思でついて行ったのだ。
宿屋に戻るとベッドの上で横になり不安と闘っていた。
ルドルフを連れて行った。
それはわたしの居場所も知られてしまったということ。
いつまた城に連れ戻されるかわからない。
もうネルヴァンと結婚なんてしたくない。
もうあの城で居ない者として扱われたくない。
もう軟禁生活なんて送りたくない。
ルドルフと二人で自由に生きたい。
どうして放っておいてくれないのかしら?
また……同じことを繰り返さないといけないの?
嫌だ、絶対に嫌だ。
でも一人で逃げ出すわけにはいかない。ルドルフを探し出して連れ戻さないと。
なんだか気持ちが重たく体がだるい。
それでもベッドから起き上がり、隠し持っていた宝石の袋を握りしめて、まずはお金に換えることにした。
とにかくお金が必要だ。情報を得るためにも、人を雇うためにも、お金がなければ何もできない。
町へ出て質屋へと向かった。
わたしは気が付かなかった。
後ろから怪しい人影がずっとついて来ていたことを。
店に入ろうとした時、わたしの口を後ろから塞がれた。
「静かにしろ、黙ってついて来い」
低い声の男は威圧感がありあまりの凄みに思わず体が強張ってしまった。
仕方なく黙ってうなずくと、背中に冷たい刃が当たった。
鋭い刃がチクリと痛みを感じた。擦り傷程度だろうが刃先が服の上からでも触れると痛みを感じるようだ。
すぐ近くには大きな黒塗りの馬車が止まっていた。こんな目立つ高級な馬車に無理やり乗せられた。
誰もわたしが知らない男に拉致されているなどと思わないだろう。
道ゆく人たちは高級馬車に乗るわたしの姿を羨ましそうに見ていた。
二つの異なる前世の記憶が入り混じり心を乱す。
ただルドルフに会いたかった。
この数年ずっと傍にいてくれたルドルフ。家族よりも誠実で裏切らない。
馬小屋へ着くとルドルフを探す。
「ルドルフ?」
いない。放牧場かしら?
すぐ近くにある放牧場へ行き、世話をしてくれている宿屋に雇われているおじちゃんに「ルドルフはどこかしら?」と尋ねた。
「ルドルフですか?」
驚いた顔をしたが、すぐわたしから目をそらした。
「あ、いや、あの……ルドルフは…あんたに頼まれたからと連れて行ったよ」
「わたしに頼まれて?ルドルフは抵抗しなかった?」
あの子はとても賢い。勝手に連れ去ろうとすれば暴れるはず。
「まぁ多少嫌がりましたが、『ルドルフ』と優しく声をかけた50代くらいの男の姿を見るとルドルフはすぐに大人しくなりついていきました」
50代の男の人?
「あの感じは、ルドルフを世話してきた馬丁だと思いました」
馬丁………どうして王城内で働いているおじちゃん達がルドルフを黙って連れて行ったの?
わたしに優しくしてくれた明るいおじちゃん達の顔が浮かんだ。
「………そう…わかったわ」
目の前にいるおじちゃんに文句を言っても仕方がない。
ルドルフが自分の意思でついて行ったのだ。
宿屋に戻るとベッドの上で横になり不安と闘っていた。
ルドルフを連れて行った。
それはわたしの居場所も知られてしまったということ。
いつまた城に連れ戻されるかわからない。
もうネルヴァンと結婚なんてしたくない。
もうあの城で居ない者として扱われたくない。
もう軟禁生活なんて送りたくない。
ルドルフと二人で自由に生きたい。
どうして放っておいてくれないのかしら?
また……同じことを繰り返さないといけないの?
嫌だ、絶対に嫌だ。
でも一人で逃げ出すわけにはいかない。ルドルフを探し出して連れ戻さないと。
なんだか気持ちが重たく体がだるい。
それでもベッドから起き上がり、隠し持っていた宝石の袋を握りしめて、まずはお金に換えることにした。
とにかくお金が必要だ。情報を得るためにも、人を雇うためにも、お金がなければ何もできない。
町へ出て質屋へと向かった。
わたしは気が付かなかった。
後ろから怪しい人影がずっとついて来ていたことを。
店に入ろうとした時、わたしの口を後ろから塞がれた。
「静かにしろ、黙ってついて来い」
低い声の男は威圧感がありあまりの凄みに思わず体が強張ってしまった。
仕方なく黙ってうなずくと、背中に冷たい刃が当たった。
鋭い刃がチクリと痛みを感じた。擦り傷程度だろうが刃先が服の上からでも触れると痛みを感じるようだ。
すぐ近くには大きな黒塗りの馬車が止まっていた。こんな目立つ高級な馬車に無理やり乗せられた。
誰もわたしが知らない男に拉致されているなどと思わないだろう。
道ゆく人たちは高級馬車に乗るわたしの姿を羨ましそうに見ていた。
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