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第2話「エルフの射手」
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森を進む俺たちの前に、またしても魔物が現れた。 今度は木と同化したような姿をした植物型の魔物、トレントだ。
「カズヤさん、気をつけてください! トレントは堅いです!」
リーナが警告する。 だが、俺の視界には既に『答え』が見えていた。 トレントの太い幹の中央、樹皮の裂け目のような部分に、赤い点が灯っている。
「問題ない」
俺は『剛力の腕輪』で強化された脚力で一気に間合いを詰める。 トレントが枝を振り回して迎撃しようとするが、遅い。 俺は枝の下をくぐり抜け、赤い点めがけて剣を突き出した。
ズプッ。
硬いはずの樹皮が、まるで濡れた紙のように貫かれる。 トレントが痙攣し、次の瞬間には光の粒子となって崩れ去った。
「す、すごいです……。トレントを一撃なんて」
リーナが呆然としている。 地面には、トレントのドロップ品が転がっていた。 ただの木材ではない。革製の筒のようなものだ。
【無限の矢筒】
【レアリティ:R】
【効果:矢を一本入れると、魔力を消費して同じ矢を無限に生成する。一日に百本まで生成可能】
俺はそれを拾い上げる。 これは今の俺には必要ないが、隣にいるエルフには喉から手が出るほど欲しいものだろう。
「リーナ、これを使え」
俺は矢筒を彼女に放り投げた。 受け取ったリーナは、目を丸くしてそれを見つめる。
「こ、これって……魔道具の矢筒!? こんな高価なもの、いただけません!」
「俺は剣士だ。弓具を持っていても荷物になるだけだ。それに、お前が戦力になってくれないと俺が困る」
俺は事務的に告げる。 リーナは少し躊躇っていたが、折れた自分の弓と、空っぽに近い矢筒を見て、意を決したように頷いた。
「……わかりました。このご恩は、必ず働いてお返しします!」
彼女は腰にその矢筒を装備する。 これで矢切れの心配はなくなった。あとは弓だが、それは街に着いてから調達すればいいだろう。
俺たちは再び歩き出す。 道中、リーナがぽつりぽつりと自分のことを話し始めた。
「私は……妹を助けるためにこの森に来たんです」
「妹?」
「はい。妹は重い病気にかかっていて……それを治すには、この森の主が持つ肝が必要なんです」
森の主。 ファンタジーの定番だな。 俺は歩きながら聞き流すふりをしつつ、内心ではその情報を吟味していた。 『森の主』というくらいだ。きっとレアなドロップ品を持っているに違いない。
「でも、私一人の力じゃ森の主にたどり着くことさえできなくて……オークに襲われて、もう駄目だと思っていました」
リーナの声が沈む。 俺は足を止めた。
「その森の主ってのは、どこにいる?」
「え? こ、この道をずっと奥に進んだ、古い遺跡の近くだと思いますが……」
俺は進路を確認する。 街への道とは少し逸れるが、それほど遠回りではない。
「行くぞ」
「えっ?」
「森の主を狩る。俺もレアな素材には興味がある」
「で、でも! 危険すぎます! カズヤさんが強くても、森の主は別格です! それに、肝がドロップする確率なんて、千分の一とも言われていて……」
千分の一。 普通の冒険者なら絶望的な数字だ。 だが、俺には関係ない。 俺には『100%』を引き出す力がある。
「確率の問題じゃない。倒せば手に入る。それだけだ」
俺は言い切る。 根拠のない自信に見えただろうか。リーナは不安そうに、しかしどこか縋るような瞳で俺を見上げた。
「……本当に、行ってくれるんですか?」
「俺のためでもある。案内しろ」
俺が促すと、リーナは涙を拭って強く頷いた。
「はい! 案内します!」
俺たちは進路を変え、森の深部へと足を踏み入れた。 俺の狙いは、森の主が持つであろう強力な装備か、あるいはステータスアップのアイテム。 リーナの狙いは、妹を救うための肝。 利害は一致している。
しばらく進むと、周囲の空気が変わった。 鳥の声が止み、張り詰めた静寂が辺りを支配する。 前方に、苔むした石造りの遺跡が見えてきた。 その中央に、とぐろを巻く巨大な影があった。
大蛇だ。 胴体の太さはドラム缶ほどもあり、鱗は鉄のように黒光りしている。 鎌首をもたげたその高さは、見上げるほどだった。
【種族:バジリスク(森の主)】
【討伐推奨レベル:25】
【ドロップアイテム:バジリスクの皮、猛毒の牙、森の主の肝(SSR)、石化の魔眼(UR)】
出た。 UR(ウルトラレア)。 俺の心臓が早鐘を打つ。 『石化の魔眼』。とんでもない代物だ。 そして、リーナが求めている『森の主の肝』もしっかりリストにある。
「あれが……森の主……」
リーナが恐怖で足をすくませる。 俺は彼女の肩を叩いた。
「リーナ、お前はここから援護しろ。魔法で注意を引いてくれればいい」
「で、でも……!」
「信じろ。一撃で終わらせる」
俺は剣を抜く。 バジリスクがこちらに気づき、シュルシュルと舌を出した。 その黄色い瞳が俺を捉える。 石化の視線だ。まともに見れば体が石になる。 だが、俺の『眼』には、別のものが見えていた。
バジリスクの眉間。 そこに、ひときわ強く輝く赤い点がある。
「ウィンドカッター!」
リーナが震える手で魔法を放つ。 風の刃がバジリスクの頬を掠め、わずかに傷をつけた。 バジリスクの注意がリーナに向く。
その瞬間が、合図だった。 俺は地面を蹴った。 『剛力の腕輪』の力を借りた全力の跳躍。 バジリスクが俺に気づいて顔を戻すが、俺の体は既に空中にあった。
狙いは眉間の一点。 魔眼の輝きごと、全てを貫く。
「落ちろッ!」
俺は剣を突き立てた。 確かな手応えと共に、俺の剣は赤い光の中心を深々と貫いた。
「カズヤさん、気をつけてください! トレントは堅いです!」
リーナが警告する。 だが、俺の視界には既に『答え』が見えていた。 トレントの太い幹の中央、樹皮の裂け目のような部分に、赤い点が灯っている。
「問題ない」
俺は『剛力の腕輪』で強化された脚力で一気に間合いを詰める。 トレントが枝を振り回して迎撃しようとするが、遅い。 俺は枝の下をくぐり抜け、赤い点めがけて剣を突き出した。
ズプッ。
硬いはずの樹皮が、まるで濡れた紙のように貫かれる。 トレントが痙攣し、次の瞬間には光の粒子となって崩れ去った。
「す、すごいです……。トレントを一撃なんて」
リーナが呆然としている。 地面には、トレントのドロップ品が転がっていた。 ただの木材ではない。革製の筒のようなものだ。
【無限の矢筒】
【レアリティ:R】
【効果:矢を一本入れると、魔力を消費して同じ矢を無限に生成する。一日に百本まで生成可能】
俺はそれを拾い上げる。 これは今の俺には必要ないが、隣にいるエルフには喉から手が出るほど欲しいものだろう。
「リーナ、これを使え」
俺は矢筒を彼女に放り投げた。 受け取ったリーナは、目を丸くしてそれを見つめる。
「こ、これって……魔道具の矢筒!? こんな高価なもの、いただけません!」
「俺は剣士だ。弓具を持っていても荷物になるだけだ。それに、お前が戦力になってくれないと俺が困る」
俺は事務的に告げる。 リーナは少し躊躇っていたが、折れた自分の弓と、空っぽに近い矢筒を見て、意を決したように頷いた。
「……わかりました。このご恩は、必ず働いてお返しします!」
彼女は腰にその矢筒を装備する。 これで矢切れの心配はなくなった。あとは弓だが、それは街に着いてから調達すればいいだろう。
俺たちは再び歩き出す。 道中、リーナがぽつりぽつりと自分のことを話し始めた。
「私は……妹を助けるためにこの森に来たんです」
「妹?」
「はい。妹は重い病気にかかっていて……それを治すには、この森の主が持つ肝が必要なんです」
森の主。 ファンタジーの定番だな。 俺は歩きながら聞き流すふりをしつつ、内心ではその情報を吟味していた。 『森の主』というくらいだ。きっとレアなドロップ品を持っているに違いない。
「でも、私一人の力じゃ森の主にたどり着くことさえできなくて……オークに襲われて、もう駄目だと思っていました」
リーナの声が沈む。 俺は足を止めた。
「その森の主ってのは、どこにいる?」
「え? こ、この道をずっと奥に進んだ、古い遺跡の近くだと思いますが……」
俺は進路を確認する。 街への道とは少し逸れるが、それほど遠回りではない。
「行くぞ」
「えっ?」
「森の主を狩る。俺もレアな素材には興味がある」
「で、でも! 危険すぎます! カズヤさんが強くても、森の主は別格です! それに、肝がドロップする確率なんて、千分の一とも言われていて……」
千分の一。 普通の冒険者なら絶望的な数字だ。 だが、俺には関係ない。 俺には『100%』を引き出す力がある。
「確率の問題じゃない。倒せば手に入る。それだけだ」
俺は言い切る。 根拠のない自信に見えただろうか。リーナは不安そうに、しかしどこか縋るような瞳で俺を見上げた。
「……本当に、行ってくれるんですか?」
「俺のためでもある。案内しろ」
俺が促すと、リーナは涙を拭って強く頷いた。
「はい! 案内します!」
俺たちは進路を変え、森の深部へと足を踏み入れた。 俺の狙いは、森の主が持つであろう強力な装備か、あるいはステータスアップのアイテム。 リーナの狙いは、妹を救うための肝。 利害は一致している。
しばらく進むと、周囲の空気が変わった。 鳥の声が止み、張り詰めた静寂が辺りを支配する。 前方に、苔むした石造りの遺跡が見えてきた。 その中央に、とぐろを巻く巨大な影があった。
大蛇だ。 胴体の太さはドラム缶ほどもあり、鱗は鉄のように黒光りしている。 鎌首をもたげたその高さは、見上げるほどだった。
【種族:バジリスク(森の主)】
【討伐推奨レベル:25】
【ドロップアイテム:バジリスクの皮、猛毒の牙、森の主の肝(SSR)、石化の魔眼(UR)】
出た。 UR(ウルトラレア)。 俺の心臓が早鐘を打つ。 『石化の魔眼』。とんでもない代物だ。 そして、リーナが求めている『森の主の肝』もしっかりリストにある。
「あれが……森の主……」
リーナが恐怖で足をすくませる。 俺は彼女の肩を叩いた。
「リーナ、お前はここから援護しろ。魔法で注意を引いてくれればいい」
「で、でも……!」
「信じろ。一撃で終わらせる」
俺は剣を抜く。 バジリスクがこちらに気づき、シュルシュルと舌を出した。 その黄色い瞳が俺を捉える。 石化の視線だ。まともに見れば体が石になる。 だが、俺の『眼』には、別のものが見えていた。
バジリスクの眉間。 そこに、ひときわ強く輝く赤い点がある。
「ウィンドカッター!」
リーナが震える手で魔法を放つ。 風の刃がバジリスクの頬を掠め、わずかに傷をつけた。 バジリスクの注意がリーナに向く。
その瞬間が、合図だった。 俺は地面を蹴った。 『剛力の腕輪』の力を借りた全力の跳躍。 バジリスクが俺に気づいて顔を戻すが、俺の体は既に空中にあった。
狙いは眉間の一点。 魔眼の輝きごと、全てを貫く。
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