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2章
第26話
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「クレスディア殿下……、何故…ライラを?」
「いいじゃないか、君の義妹なんだ。ここに連れてきても問題は無いだろう?」
数日後、ライラが2年の生徒会室に入ってきた。それも連れて来たのはクレスディア殿下だったわ。
定例会には5人以外は入れないという決まりがあるにも関わらず、居ることが普通かのように入ってきたのよ。それも殿下の腕にぴったりとしがみついて…。
婚約者であられるメリーア様がいらっしゃるというのに、何のつもりかしら。……嫌がらせや見せつける為としか思えないわね。
「今日は定例会です。この場には5人以外誰も入れてはならないという決まりのはずですが…。」
「学年首席の私が許可するから、大丈夫さ。」
「……。」
あれだけ警戒していたクレスディア殿下が……。これはどう見ても魅了にかかっている状態ね。ゼルヴィーサ様の魔道具を今も身に付けていらっしゃるのに何故…。
その理由は、クレスディア殿下をよく見ると直ぐに分かった。
「……殿下、とても綺麗なペンダントですね。」
「クレスにお似合いですよ…。」
「それはありがとう。ライラがくれたのさ。」
やはりそうね。魔道具の上から、別のペンダントを付けているのが見て取れた。
クレスディア殿下が、貰いものだからといって直ぐに付けるとは思えない。それに私はライラからプレゼントされたものには気を付けるようにと、注意喚起もしているわ。
ならば何故身に付けているのか……。その答えは、ライラが言い放った言葉で理解した。
「城下で見つけて、絶対に似合うと思ったのですっ。それで驚かすつもりで、後ろからかけたのです!」
全員が察した。不意打ちを食らって無理やり付けられたのだ…と。
魅了魔法には思考を鈍化させる効果がある。つまりは、正常な判断が出来なくなるということ。
クレスディア殿下がライラ側につくとなると、かなり厄介ね…。
王太子の権限は絶大。それを分かっていて、ライラは真っ先に狙ったのでしょう。
「……定例会は中止だ。」
「何故だい、ドーフェン。ライラが居るからか?」
「クレス…。」
「私は構わないと思っているよ。」
「『定例会は原則、選ばれた5名のみで行うこと』、これは学園で定められた規則だ。許可をするしない以前に、定例会中は何人たりともこの部屋に入れてはならないのさ。」
ドーフェンの言う通りね。カイルに外で待機してもらっていたのもこの為だもの。
正論を言われた殿下は、少し悲しそうな表情で突っ立っている。どれだけ思考が鈍っているのかは分からないけれど、我儘を言う程ではないようね。
「大事な定例会なのでしょう?ならば行うべきではありませんかぁ?」
「……悪いが、君が居るから出来ないんだ。君が出て行ってくれるなら、今すぐにでも始めるんだけどね。」
上から目線でライラに言い切ったドーフェン。こういう所は本当に頼りになるわね。
それにしても、我儘を言ってきたのはライラの方だったわ。まぁ予想はしていたけれど…。
「酷いですわっ。私は協力しようと思って…!」
「フェン!あまりライラを虐めるな!」
「はぁ……。」
……まずいわね…。ライラの魔力が、部屋に充満してきている。いくら全員の耐性が強いと言っても、限度があるはず。
退室して欲しいところだけれど、それは無理でしょうね。ならばどうするか……
「…!」
ゼルヴィーサ様が私を睨んできた。どうやら気付かれたようね。
しかし皆を守る為ならば仕方がないもの。
私は魔力を闇属性に変え、ライラとクレスディア殿下を除く全員を軽く包み込んだ。気付かれないよう薄く、慎重に。こうすることでライラの癒しの力を持つ光属性の魔力と、相反する闇属性の魔力がぶつかり、互いに弾くようになるわ。
これで影響を受けにくくなるでしょう。
魔法上級者以外には、私の魔力を見ることが出来ない。ドーフェンとメリーア様は何も気付いていないから良かったのだけれど、さすがにゼルヴィーサ様までは誤魔化かせなかったようね…。
「ゼル様…。出来れば何も聞かないで欲しいわ。」
「今回は助けられているので、何も見なかったことにしますよ。」
「それはありがたいわね。もし誰かに言えば…。」
「言いませんよ。ベレンアの名に誓って。」
小声で話しかけてきたゼルヴィーサ様。
家名に誓ってくれるとは、十分信じても良さそうね。
もしもの時は……闇魔法で記憶を消してしまいましょうか…。
とりあえず私は、場の雰囲気を変るように手を大きく叩いた。
「折角だから、全員でお茶にしましょう?」
「え……お茶ですか?」
「定例会は出来ないけれど、楽しくお話くらいは出来るじゃない。」
私はライラに微笑みかける。
本当は定例会で何を話し合っているのかを知りたかったのでしょう。分かっているからこそ、思い通りにはさせない。
魅了されたクレスディア殿下も、ドーフェンの言葉を否定はしなかった。ならばお茶をするという提案に乗ってくるはず。
「いいね。皆で話をしよう!」
案の定乗ってきたわ。
殿下は少しクールだったのだけれど、魅了の影響で可愛さに変わっている…。正直、誰?と言いたくなるわね…。
それはそうと、この6人での会話……。
私が言い出したけれど、一体何の話をするかしらね──
「いいじゃないか、君の義妹なんだ。ここに連れてきても問題は無いだろう?」
数日後、ライラが2年の生徒会室に入ってきた。それも連れて来たのはクレスディア殿下だったわ。
定例会には5人以外は入れないという決まりがあるにも関わらず、居ることが普通かのように入ってきたのよ。それも殿下の腕にぴったりとしがみついて…。
婚約者であられるメリーア様がいらっしゃるというのに、何のつもりかしら。……嫌がらせや見せつける為としか思えないわね。
「今日は定例会です。この場には5人以外誰も入れてはならないという決まりのはずですが…。」
「学年首席の私が許可するから、大丈夫さ。」
「……。」
あれだけ警戒していたクレスディア殿下が……。これはどう見ても魅了にかかっている状態ね。ゼルヴィーサ様の魔道具を今も身に付けていらっしゃるのに何故…。
その理由は、クレスディア殿下をよく見ると直ぐに分かった。
「……殿下、とても綺麗なペンダントですね。」
「クレスにお似合いですよ…。」
「それはありがとう。ライラがくれたのさ。」
やはりそうね。魔道具の上から、別のペンダントを付けているのが見て取れた。
クレスディア殿下が、貰いものだからといって直ぐに付けるとは思えない。それに私はライラからプレゼントされたものには気を付けるようにと、注意喚起もしているわ。
ならば何故身に付けているのか……。その答えは、ライラが言い放った言葉で理解した。
「城下で見つけて、絶対に似合うと思ったのですっ。それで驚かすつもりで、後ろからかけたのです!」
全員が察した。不意打ちを食らって無理やり付けられたのだ…と。
魅了魔法には思考を鈍化させる効果がある。つまりは、正常な判断が出来なくなるということ。
クレスディア殿下がライラ側につくとなると、かなり厄介ね…。
王太子の権限は絶大。それを分かっていて、ライラは真っ先に狙ったのでしょう。
「……定例会は中止だ。」
「何故だい、ドーフェン。ライラが居るからか?」
「クレス…。」
「私は構わないと思っているよ。」
「『定例会は原則、選ばれた5名のみで行うこと』、これは学園で定められた規則だ。許可をするしない以前に、定例会中は何人たりともこの部屋に入れてはならないのさ。」
ドーフェンの言う通りね。カイルに外で待機してもらっていたのもこの為だもの。
正論を言われた殿下は、少し悲しそうな表情で突っ立っている。どれだけ思考が鈍っているのかは分からないけれど、我儘を言う程ではないようね。
「大事な定例会なのでしょう?ならば行うべきではありませんかぁ?」
「……悪いが、君が居るから出来ないんだ。君が出て行ってくれるなら、今すぐにでも始めるんだけどね。」
上から目線でライラに言い切ったドーフェン。こういう所は本当に頼りになるわね。
それにしても、我儘を言ってきたのはライラの方だったわ。まぁ予想はしていたけれど…。
「酷いですわっ。私は協力しようと思って…!」
「フェン!あまりライラを虐めるな!」
「はぁ……。」
……まずいわね…。ライラの魔力が、部屋に充満してきている。いくら全員の耐性が強いと言っても、限度があるはず。
退室して欲しいところだけれど、それは無理でしょうね。ならばどうするか……
「…!」
ゼルヴィーサ様が私を睨んできた。どうやら気付かれたようね。
しかし皆を守る為ならば仕方がないもの。
私は魔力を闇属性に変え、ライラとクレスディア殿下を除く全員を軽く包み込んだ。気付かれないよう薄く、慎重に。こうすることでライラの癒しの力を持つ光属性の魔力と、相反する闇属性の魔力がぶつかり、互いに弾くようになるわ。
これで影響を受けにくくなるでしょう。
魔法上級者以外には、私の魔力を見ることが出来ない。ドーフェンとメリーア様は何も気付いていないから良かったのだけれど、さすがにゼルヴィーサ様までは誤魔化かせなかったようね…。
「ゼル様…。出来れば何も聞かないで欲しいわ。」
「今回は助けられているので、何も見なかったことにしますよ。」
「それはありがたいわね。もし誰かに言えば…。」
「言いませんよ。ベレンアの名に誓って。」
小声で話しかけてきたゼルヴィーサ様。
家名に誓ってくれるとは、十分信じても良さそうね。
もしもの時は……闇魔法で記憶を消してしまいましょうか…。
とりあえず私は、場の雰囲気を変るように手を大きく叩いた。
「折角だから、全員でお茶にしましょう?」
「え……お茶ですか?」
「定例会は出来ないけれど、楽しくお話くらいは出来るじゃない。」
私はライラに微笑みかける。
本当は定例会で何を話し合っているのかを知りたかったのでしょう。分かっているからこそ、思い通りにはさせない。
魅了されたクレスディア殿下も、ドーフェンの言葉を否定はしなかった。ならばお茶をするという提案に乗ってくるはず。
「いいね。皆で話をしよう!」
案の定乗ってきたわ。
殿下は少しクールだったのだけれど、魅了の影響で可愛さに変わっている…。正直、誰?と言いたくなるわね…。
それはそうと、この6人での会話……。
私が言い出したけれど、一体何の話をするかしらね──
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