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25話 召喚
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※ジルファー視点
「失礼致します!」
ある日の昼過ぎ。私の部屋に断りもなく入って来た貴族がいた。かなり慌てた様子とはいえ、無礼にも程があるだろう。
その貴族は私の下に付いている者の一人だ。位は侯爵で、私の下に付く貴族の中では最も優秀だろう。
「ジルファー様、緊急事態です!!」
「何だ、騒々しい。」
「スレードル公爵が、ゼーファ王女殿下に付いたという知らせがありました!」
「なッ!?中立を守ってきた、あのスレードル侯爵がか!?」
「はい。このままでは、ジルファー様の次期国王としての地位が揺らいでしまいます!」
想定外の事が起きた……否、起きてしまった。有り得る訳がないと思っていた事が…。
スレードル侯爵と言えば、貴族でありながら商人という、変わった一家だ。しかしその影響力は凄まじく、彼らが味方に加わっただけで、王位継承争いの状況を一変させることができるだろう。
「圧倒的な財力を得たという訳か…。」
「それだけではありません。スレードル侯爵の情報収集力は、他の貴族や商人の比ではないのです。加えて、冒険者リエラという他の追随を許さない武力も得ています。ゼンキースア公爵家当主がディールト様に代替わりしたことにより、公爵家の後ろ盾すら失っている今、我々はどうすれば……。」
「チッ……。王女であるにも拘らず、王を目指すなど…!第一、女が王になる事など許されないだろう!」
「殿下……、そのお言葉には私も賛同いたします。ですが王国の法律や仕来りに、『女が王になってはならない』というものはございません。『王太子』という名称は現国王陛下の嫡男に与えられますが、『次期国王』と認められるために性別は関係ないのです。」
「馬鹿な…。」
これでは本当に、姉上が王になってしまう。何か手はないのだろうか…。
先日、姉上やリエラに向けて暗殺者を差し向けようとしたことがあった。しかし暗殺者共は、あの二人だけは無理だと断ってきたのだ。どれほど金を積もうと、怯えた様子で首を横に振るのみ。
聞けば、冒険者リエラが関わっている依頼は、暗殺者全員が一切受けないことにしているらしい。さらには皆一様に、『悪夢を見せられる』と言っていた。リエラは暗殺者共に何をしたのか…。考えても仕方がない、忘れることにしよう。
姉上を毒殺する計画は失敗に終わり、直接出向いて亡き者にしようともしたが、それも失敗に終わった。そして現状、私の姉上への行いが噂として流れ、事実として広まっている。最悪な状況だ。
「これ以上、私が姉上に危害を加えようとすれば、冒険者リエラが黙ってはいないだろう。次こそは消されるかもしれん…。」
「……ならば、リエラを王女殿下から引き離せば良いのでは?災害級の魔物が現れたならば、彼女も討伐に向かわざるを得ないでしょう。」
「…!それは名案だ!だが災害級の魔物など、探して見つかるものか…?」
「いないなら呼び出せば良いのです。」
「召喚魔法か。──よし、私が持っている金はいくら使っても構わん。魔法使いを集められるだけかき集め、より強い魔物を呼び出せるようにしろ!」
「承知致しました。」
こうして数日後、王都から少し離れた村近くの森で、十二名の魔法使いが召喚魔法を使用した。報告によると、召喚されたのは悪魔や上位悪魔よりさらに上の存在、《悪魔族》だという。
悪魔族は召喚による強制力に抵抗し、使い魔として使役することは不可能だったとのこと。そして近隣の村の破壊を始めようとした時、召喚してくれたからという理由で、魔法使い達だけは逃がしたようだ。
これで冒険者リエラは悪魔族を相手するために王城から離れ、王都に被害が及ぶ前に討伐してくれるはずだ。だが帰ってきた時には、守るべき主がこの世に居ない…。正に、完璧な計画だろう。
「さて、姉上の居る部屋に向かうとしよう。」
「失礼致します!」
ある日の昼過ぎ。私の部屋に断りもなく入って来た貴族がいた。かなり慌てた様子とはいえ、無礼にも程があるだろう。
その貴族は私の下に付いている者の一人だ。位は侯爵で、私の下に付く貴族の中では最も優秀だろう。
「ジルファー様、緊急事態です!!」
「何だ、騒々しい。」
「スレードル公爵が、ゼーファ王女殿下に付いたという知らせがありました!」
「なッ!?中立を守ってきた、あのスレードル侯爵がか!?」
「はい。このままでは、ジルファー様の次期国王としての地位が揺らいでしまいます!」
想定外の事が起きた……否、起きてしまった。有り得る訳がないと思っていた事が…。
スレードル侯爵と言えば、貴族でありながら商人という、変わった一家だ。しかしその影響力は凄まじく、彼らが味方に加わっただけで、王位継承争いの状況を一変させることができるだろう。
「圧倒的な財力を得たという訳か…。」
「それだけではありません。スレードル侯爵の情報収集力は、他の貴族や商人の比ではないのです。加えて、冒険者リエラという他の追随を許さない武力も得ています。ゼンキースア公爵家当主がディールト様に代替わりしたことにより、公爵家の後ろ盾すら失っている今、我々はどうすれば……。」
「チッ……。王女であるにも拘らず、王を目指すなど…!第一、女が王になる事など許されないだろう!」
「殿下……、そのお言葉には私も賛同いたします。ですが王国の法律や仕来りに、『女が王になってはならない』というものはございません。『王太子』という名称は現国王陛下の嫡男に与えられますが、『次期国王』と認められるために性別は関係ないのです。」
「馬鹿な…。」
これでは本当に、姉上が王になってしまう。何か手はないのだろうか…。
先日、姉上やリエラに向けて暗殺者を差し向けようとしたことがあった。しかし暗殺者共は、あの二人だけは無理だと断ってきたのだ。どれほど金を積もうと、怯えた様子で首を横に振るのみ。
聞けば、冒険者リエラが関わっている依頼は、暗殺者全員が一切受けないことにしているらしい。さらには皆一様に、『悪夢を見せられる』と言っていた。リエラは暗殺者共に何をしたのか…。考えても仕方がない、忘れることにしよう。
姉上を毒殺する計画は失敗に終わり、直接出向いて亡き者にしようともしたが、それも失敗に終わった。そして現状、私の姉上への行いが噂として流れ、事実として広まっている。最悪な状況だ。
「これ以上、私が姉上に危害を加えようとすれば、冒険者リエラが黙ってはいないだろう。次こそは消されるかもしれん…。」
「……ならば、リエラを王女殿下から引き離せば良いのでは?災害級の魔物が現れたならば、彼女も討伐に向かわざるを得ないでしょう。」
「…!それは名案だ!だが災害級の魔物など、探して見つかるものか…?」
「いないなら呼び出せば良いのです。」
「召喚魔法か。──よし、私が持っている金はいくら使っても構わん。魔法使いを集められるだけかき集め、より強い魔物を呼び出せるようにしろ!」
「承知致しました。」
こうして数日後、王都から少し離れた村近くの森で、十二名の魔法使いが召喚魔法を使用した。報告によると、召喚されたのは悪魔や上位悪魔よりさらに上の存在、《悪魔族》だという。
悪魔族は召喚による強制力に抵抗し、使い魔として使役することは不可能だったとのこと。そして近隣の村の破壊を始めようとした時、召喚してくれたからという理由で、魔法使い達だけは逃がしたようだ。
これで冒険者リエラは悪魔族を相手するために王城から離れ、王都に被害が及ぶ前に討伐してくれるはずだ。だが帰ってきた時には、守るべき主がこの世に居ない…。正に、完璧な計画だろう。
「さて、姉上の居る部屋に向かうとしよう。」
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