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24話 揃う力
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──翌日。
「お招きくださり感謝致します、ゼーファ殿下。」
「スレードル侯爵、よく来てくれた。」
「リエラ殿も、謁見の間でのことを除けば、こうして対面で会うのはご招待した時以来ですね。」
「はい。頂いた魔道具は、重宝させて頂いています。」
「それは良かったです。」
今日は早速スレードル侯爵との対談だ。ソファにはゼーファ様が、対面にスレードル侯爵が座っている。そしてゼーファ様のすぐ後ろに私が立ち、そのさらに後ろにリリアナとメイド姿のヴィーレが立っていた。
ディールト兄様は用事が入り、結局選別にさ参加しない事となった。その代わり貴族視点で、その貴族が信頼できるか否か、持っている情報を全てゼーファ様に話していた。
「侯爵とリエラは、付き合いがあるのであろう?」
「はい。リエラ殿には、よく依頼させていただいているのです。ギルドを介さない個人的な魔物素材の取引もしていますね。」
この後ゼーファ様は、店ではどのようなものを扱っているのか、何処の都市や場所などに何の店を置いているのかなど、商人としてのスレードル侯爵に様々な質問をしていた。商人やその土地の客層に興味を持ってしまった様子…。
それに対し、スレードル侯爵は質問一つ一つに丁寧に答えていた。何かを試されているとでも思っているようだ。ゼーファ様が単純に興味を持っただけな気もするが…。
「──つい色々と聞いてしまったが…、お陰でお主の人となりや能力の高さがよく分かった。妾としては是非その力を貸してもらいたいところじゃが、もう一つ質問がある。」
先程までとは違い、ゼーファ様の雰囲気が変わった。同時に室内も少し緊張した空気となっている。
本命の質問をされるのだと分かり、スレードル侯爵も再度気を引き締めた様子だ。
「何故妾の下に付こうと決めた?スレードル侯爵家は、代々王位継承争いには関わっておらぬはずじゃ。」
「……確かに、我が侯爵家は王族個人に付いたことはありません。」
「ならば何故…。」
「我々スレードル侯爵家の者は、貴族である前に商人です。そして王国の経済を牛耳っていると言っても過言ではないでしょう。そんな財力と情報収集力を持つ我々が個人に仕えるとなれば、王位継承争いの均衡は容易に崩れます。」
「何事を行うにも先ずは情報、第二に金銭…。侯爵家は両方を桁違いに有している……と。」
「仰る通りです。故に我々は、これまで関与してこなかったのです。」
スレードル侯爵が財力と情報収集力を桁違いに有していると言い切れるのは、決して大言壮語などではなく、紛れもない事実なのだ。この王国を経済的に支配しようと思えば、できてしまうだろう。
そして侯爵が言っていることは至極尤もだ。行動を起こす際、情報が無ければ正しい判断、或いは有利な判断ができない。そして情報を掴んでいたとしても、行動を起こせるだけの人または物が必要だ。それらを用意するためには金銭が必要となる場合がある。
つまり、スレードル侯爵家が味方に付いたのならば、それだけで公爵家と同等、或いはそれ以上の力を得るということなのだ。
「ですが今回は状況が状況ですので、このような判断をいたしました。」
「状況、とな?」
「はい。現在の王国の経済は、国王陛下のお力によってとても良い方向へと向かっております。ですがこの状況下で王太子殿下が王となられた場合、優秀な貴族が数人居たところで、王国は廃れていくでしょう。」
「…そうであろうな……。」
「先程も申し上げた通り、我々は貴族である前に商人です。経済状況の悪化による影響は避けたいところ…。故に、王太子殿下が王になることは好ましくないのです。」
ジルファーが王となれば、貴族が好き勝手できる環境となっていくだろう。それも自己利益しか考えていない貴族が有利な環境となってしまう。
当然、税は上がり、民達の生活が苦しくなろうがお構い無しの政策を幾つも通せるようになるのだ。物価も上がるだろう。
「しかしゼーファ殿下は、隣国の経済状況を一変させるほどの知識と手腕があります。このまま何もせず王国が廃れていく様を見ているだけならば、ゼーファ殿下が王になられる為の協力した方が良いと判断したのです。」
「……侯爵を少し甘く見ていたようじゃ。まさか隣国での動きが知られていたとはな。」
「商人にとって、情報は第二の命とも言えるほど大切なのです。それが経済に関することであれば、より敏感にもなりますよ。」
流石はスレードル侯爵だ。隣国の発展にゼーファ様が関与していることを知るためには、かなりの情報収集力がいる。そしておそらく侯爵であれば、知りたいと思った情報は確実に手に入れることができるのだろう。やはり敵には回したくない方だ。
「そして決め手となったのは、リエラ殿がゼーファ殿下に付いたことです。武力を持たなかった殿下が武力を得て、さらには王太子殿下の仕事を代わりに行っていることにより、一部の権力も保持されています。」
「…確かに、一部とはいえ妾は権力を持っておるな。」
「権力で比べれば、王太子殿下と差異がないほどになっているでしょう。リエラ殿が居るだけで、武力はそれ以上です。何より広い見識と膨大な知識をお持ちの殿下であれば、王位を取ることは夢ではありませんから。」
「……スレードル侯爵よ、お主の意思は十分理解した。その上で言わせてもらおう。──是非とも妾に協力して欲しい。」
「…!ありがたき幸せにございます。」
ゼーファ様はスレードル侯爵を味方に付けると決めた。予想通りだ。
これでゼーファ様は、権力はジルファーと同等、武力・財力・情報収集力はジルファー以上の力を持つ事になる。王位継承争いには十分過ぎる力が揃ったという訳だ。
ゼーファ様がこれだけの力を手にした今、物事は動き始めるだろう──
「お招きくださり感謝致します、ゼーファ殿下。」
「スレードル侯爵、よく来てくれた。」
「リエラ殿も、謁見の間でのことを除けば、こうして対面で会うのはご招待した時以来ですね。」
「はい。頂いた魔道具は、重宝させて頂いています。」
「それは良かったです。」
今日は早速スレードル侯爵との対談だ。ソファにはゼーファ様が、対面にスレードル侯爵が座っている。そしてゼーファ様のすぐ後ろに私が立ち、そのさらに後ろにリリアナとメイド姿のヴィーレが立っていた。
ディールト兄様は用事が入り、結局選別にさ参加しない事となった。その代わり貴族視点で、その貴族が信頼できるか否か、持っている情報を全てゼーファ様に話していた。
「侯爵とリエラは、付き合いがあるのであろう?」
「はい。リエラ殿には、よく依頼させていただいているのです。ギルドを介さない個人的な魔物素材の取引もしていますね。」
この後ゼーファ様は、店ではどのようなものを扱っているのか、何処の都市や場所などに何の店を置いているのかなど、商人としてのスレードル侯爵に様々な質問をしていた。商人やその土地の客層に興味を持ってしまった様子…。
それに対し、スレードル侯爵は質問一つ一つに丁寧に答えていた。何かを試されているとでも思っているようだ。ゼーファ様が単純に興味を持っただけな気もするが…。
「──つい色々と聞いてしまったが…、お陰でお主の人となりや能力の高さがよく分かった。妾としては是非その力を貸してもらいたいところじゃが、もう一つ質問がある。」
先程までとは違い、ゼーファ様の雰囲気が変わった。同時に室内も少し緊張した空気となっている。
本命の質問をされるのだと分かり、スレードル侯爵も再度気を引き締めた様子だ。
「何故妾の下に付こうと決めた?スレードル侯爵家は、代々王位継承争いには関わっておらぬはずじゃ。」
「……確かに、我が侯爵家は王族個人に付いたことはありません。」
「ならば何故…。」
「我々スレードル侯爵家の者は、貴族である前に商人です。そして王国の経済を牛耳っていると言っても過言ではないでしょう。そんな財力と情報収集力を持つ我々が個人に仕えるとなれば、王位継承争いの均衡は容易に崩れます。」
「何事を行うにも先ずは情報、第二に金銭…。侯爵家は両方を桁違いに有している……と。」
「仰る通りです。故に我々は、これまで関与してこなかったのです。」
スレードル侯爵が財力と情報収集力を桁違いに有していると言い切れるのは、決して大言壮語などではなく、紛れもない事実なのだ。この王国を経済的に支配しようと思えば、できてしまうだろう。
そして侯爵が言っていることは至極尤もだ。行動を起こす際、情報が無ければ正しい判断、或いは有利な判断ができない。そして情報を掴んでいたとしても、行動を起こせるだけの人または物が必要だ。それらを用意するためには金銭が必要となる場合がある。
つまり、スレードル侯爵家が味方に付いたのならば、それだけで公爵家と同等、或いはそれ以上の力を得るということなのだ。
「ですが今回は状況が状況ですので、このような判断をいたしました。」
「状況、とな?」
「はい。現在の王国の経済は、国王陛下のお力によってとても良い方向へと向かっております。ですがこの状況下で王太子殿下が王となられた場合、優秀な貴族が数人居たところで、王国は廃れていくでしょう。」
「…そうであろうな……。」
「先程も申し上げた通り、我々は貴族である前に商人です。経済状況の悪化による影響は避けたいところ…。故に、王太子殿下が王になることは好ましくないのです。」
ジルファーが王となれば、貴族が好き勝手できる環境となっていくだろう。それも自己利益しか考えていない貴族が有利な環境となってしまう。
当然、税は上がり、民達の生活が苦しくなろうがお構い無しの政策を幾つも通せるようになるのだ。物価も上がるだろう。
「しかしゼーファ殿下は、隣国の経済状況を一変させるほどの知識と手腕があります。このまま何もせず王国が廃れていく様を見ているだけならば、ゼーファ殿下が王になられる為の協力した方が良いと判断したのです。」
「……侯爵を少し甘く見ていたようじゃ。まさか隣国での動きが知られていたとはな。」
「商人にとって、情報は第二の命とも言えるほど大切なのです。それが経済に関することであれば、より敏感にもなりますよ。」
流石はスレードル侯爵だ。隣国の発展にゼーファ様が関与していることを知るためには、かなりの情報収集力がいる。そしておそらく侯爵であれば、知りたいと思った情報は確実に手に入れることができるのだろう。やはり敵には回したくない方だ。
「そして決め手となったのは、リエラ殿がゼーファ殿下に付いたことです。武力を持たなかった殿下が武力を得て、さらには王太子殿下の仕事を代わりに行っていることにより、一部の権力も保持されています。」
「…確かに、一部とはいえ妾は権力を持っておるな。」
「権力で比べれば、王太子殿下と差異がないほどになっているでしょう。リエラ殿が居るだけで、武力はそれ以上です。何より広い見識と膨大な知識をお持ちの殿下であれば、王位を取ることは夢ではありませんから。」
「……スレードル侯爵よ、お主の意思は十分理解した。その上で言わせてもらおう。──是非とも妾に協力して欲しい。」
「…!ありがたき幸せにございます。」
ゼーファ様はスレードル侯爵を味方に付けると決めた。予想通りだ。
これでゼーファ様は、権力はジルファーと同等、武力・財力・情報収集力はジルファー以上の力を持つ事になる。王位継承争いには十分過ぎる力が揃ったという訳だ。
ゼーファ様がこれだけの力を手にした今、物事は動き始めるだろう──
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