燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 逞しい男が頬を染め、恥じらいながら、切なげにうなじをそらして叫ぶ様は、見物みものである。マヌグスは嗜虐のよろこびに背をふるわせた。
「まだ、まだ、」
 すぐ近くに立つエリニュスの表情をうかがってみると、満足そうに微笑んでいる。勝ち誇って唇に冷笑を込めて、かつて自分に恥をかかせた男に何千倍もの恥をかかせることで、勝利感に酔いしれているのだ。
 その冷ややかな瑠璃の瞳はマヌグスを慫慂しょうようしているようだ。
 マヌグスは主の友人でもある女のご機嫌取りも兼ねて、おおいに己の欲望を発散させることにした。
「どうだ、これは?」
「ううっ!」
 指で敏感な先端をいじってやると、相手は堪らないらしく、身をよじる。だが、下肢はしっかりと後方の貴族の青年と繋がれており、逃げようもない。
 貴族の青年の方を観察すると、こちらも相変わらず白い肌に露のしずくのような汗を浮かべ、その横顔は苦悶と恥辱に色を失っている。マヌグスが手に力を入れるたびにトュラクスが動くものだから、彼までも小さな喘ぎ声を薔薇色の唇からもらす。鳶色の髪の毛先が、汗粒に潤って光をふくみ白い頬に張りついている様子は、夢のように美しい。マヌグスは二人を見ていて発熱しそうになった。
「どうだ?」 
 ますます調子に乗って手の動きを速めてみた。
「ううっ、うっ、うぐっ……」
 トュラクスの剝きだしの臀部や太腿がふるえる。
 トュラクスの動きに合わせて、背後のリィウスの白い背も揺れる。
「あっ、ああっ、や、やめ……!」
 まるで二人一緒に弄んでいるようで、マヌグスははげしく興奮した。
 これほど面白い遊びは生まれて初めてだ。安酒場や鳩小屋で買った娼婦や男娼を抱いたときの安っぽくあっけない快楽などとは、まるでちがう。そもそも、場末の娼婦男娼などとはくらべることなどできない、極上の上玉ふたりを、文字どおりてのひらでもてあそび、手玉に取ることのできるこの痛快感。今まで生きていて良かったとすら思う。マヌグスは本気でそう思っていた。
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