燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

文字の大きさ
297 / 360

しおりを挟む
 やがて、トュラクスの昂りにはまだ及ばなかった若い貴族、リィウスも、徐々に追いついてきた。
「すげごいな……。おっ、こっちも立ってきたぞ」
「本当だ。見かけによらず好き者だな。見ろよ、お貴族様だけあって、綺麗な色をしているぞ」
 卑しい男たちがリィウスを指差し笑う。隠すものもなく、リィウスの繊細な肉体は下品な男たちの視線にさらされ、昂ぶる身体のすべてを見られる羽目になった。
 上気した頬の上で白く涙が光っている。羞恥に悶えるリィウスの身体とはうらはらに、哀愁に充ちたその気品のある横顔は、壮絶に美しく、例えようもなく淫らで、マヌグスをいっそう興奮させた。トュクラスも見ていたいが、リィウスも見たい。二匹の獲物をまえに迷う猛獣のように、目をあちらこちらへと向けた。
「んっ、うんん……」
 リィウスが苦しげに首を横に振り、眉を辛そうに寄せる。ふたたび限界が迫ってきているようだ。 
「可哀想に、辛いのだね。焦れったげな顔をして」
 静かに傍観していたカニディアが、リィウスに近寄ってきた。
「しかし、目移りするね。どちらもずっと見ていたいものだ」
 マヌグスとおなじ想いを口に出し、カニディアはリィウスのこわばった中心に触れようとする。
「駄目よ、ちゃんと最後まで自分たちでさせるのよ」
 相変わらず厳しさをふくんだエリニュスの声こそ、この地下牢という名の小王国の法律だった。地下牢にかぎらず、彼女が姿を見せれば、その場はすべて彼女の領土であり、女帝の言葉に男たちが異議をとなえることなどできない。復讐の女神の命令に男たちは誰ひとり――ウリュクセスでさえ――逆らえなくなるのだ。
「はぁ、ああっ、あああっ!」
「あら、どうしたの、リィウス? 今日はおまえの方がけっこうおませさんね。ここを、こんなに……して」
「あっ、ああっ!」
 エリニュスの指技にリィウスは悶絶する。すさまじい焦燥感に全身焼かれるようだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

身体検査その後

RIKUTO
BL
「身体検査」のその後、結果が公開された。彼はどう感じたのか?

処理中です...