ヤンデレ王子に鉄槌を

ましろ

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5.ヤンデレに追い込んだのは私

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「……どうして?今まではそんなに病んで無かったじゃない」

そうよ。今まではずっと優しかったわ。それなのにどうしてヤンデレになってしまったの。
今までの優しい殿下に戻って欲しいっ!

「どうして、ね。今まで何度も警告したけど」
「警告?」
「ジェイドやジャスパーとの距離が近過ぎる。あれは家族である前に未婚の男性だと再三注意したはずだが」

………………ん?

「でも、お二人とも婚約者がいらっしゃいます」
「私の婚約者は婚約破棄を目論んでいるが?」

うん、確かに。……え?

「私の不貞を疑って?」
「君の心変わりは疑っている」
「え、酷いっ!」
「私の本心を知ってダッシュで逃げようとしているよね」

だってそれはエッチなことを強要しようとするからっ!

「君は随分と可愛らしい夢の国で生きているようだが、愛なんてもっとドロドロでぐちゃぐちゃで厭らしいことも含んでいるよ。キラキラした甘いものだけじゃない」

……だって。今世も前世も恋愛なんて未経験者。
ただ、男尊女卑は許せないし、16歳は淫行条例に引っ掛かる案件で、レイプは婚約者であっても犯罪なの。
だってそういうものを思い出してしまったのよ。そうしたら耐えられないんだものっ!

「私は今すぐ君を妻にしても罪にはならない」
「……ひどい……」
「それでもずっと我慢していただろう?
君が、『もし、子が出来なければ側妃を持っても責めませんから』なんて、下らない事を言うまではね」

あら?言ったかしら、そんなこと。

「私の愛はどうやら言葉だけでは伝わらないようだ。それなら体に分からせるしか無いだろう?」

………思い出した。
教えられたことがショックで、でも、それが貴方との結婚なのだと、まるで悲劇のヒロインのように涙を堪えてお伝えしてしまったわ。

「王太子妃教育で習ったんです。妃が3年間孕むことが出来なければ、側妃を娶ることになると」
「まずは5年までは引き延ばすし、どうしても側妃を娶るなら、シリンジで精液だけを提供する。絶対に抱かない。というか勃たない。性交は無理だ」
「はっ?」
「いっそジェイドの子を養子にするか、なんなら継承権を放棄すればいい」
「ありえないっ!」
「そうでなければ、精霊の怒りが爆発するよ。シャパトを甘く見たら……死ぬよ?」
「ぴゃっ!?」

え?抜け道とかあるんじゃないの?本当にガチの呪いなの!?

「君に抜け道ありの縛りなど用意するはずがないだろう。だから君は観念して私に抱かれたらいい」
「うそっ!」
「試してみる?側妃が死ぬかどうか」
「ダメダメダメっ!」
「そもそも精霊の祝福があるから君は孕みやすいと思うよ。まあ、暫くは二人だけで楽しもうか」

……死んだ。ウッキウキだわ、この人。
どうやらヤンデレを生み出したのは私みたいです。

「私を抱きたいなら、ちゃんと愛の告白をして下さいよ」
「愛してるよ、アリアネル。だから私のモノになって」
「……痛いことしないで」
「媚薬を使っていいのなら」
「ヤダ怖いっ!快楽堕ちなんて最低よっ!」
「そうだね。昨日から君の発言がおかしい理由をまず話そうか?」

ひえっ!悪魔の微笑みだわっ!

「……黙秘します」
「初体験は青姦がいいのかい?確かに今日は暖かくていいかもね」
「いや─────っっっ!!!」

それから。私が殿下に敵うはずは無く、前世?の話からゲームや小説への転生疑惑まですべて白状させられた。

「へえ、異世界転生。面白いな。あと、その知識はどう考えても国に役立てられるね。
フフッ、王宮に行こう。陛下にも伝えなくちゃ」

完っ全にアウト!死亡確定でございますっ!

「優しくして下さいっ!監禁は嫌なのぉ!」

えぐえぐと泣きながら訴えるも、殿下はご機嫌だ。

「殿下って誰のことかなぁ」
「サフィア様!もう、サフィの意地悪っ!」
「まだ君から触れてもらえてないし」
「……キス、したら優しくしてくれる?」

もう後はない。これしか私には手は無いんです!

「うん、して?」
「口を開けないで!」

なんでディープ待ちなの!

「私の妻は初心だな」

チュッ、口付けられる。

「ちょっ、私から」

キスするはずでしょう、と続くはずの言葉はすべてサフィに食べられてしまった。

……くるしい。お口の中がサフィでいっぱいだ。
ゾクゾクするし、クラクラするし、悔しくて舌を噛みちぎってやりたいのに何故か出来ない。

「くるしっ、」

ようやく開放してくれたと思ったら、今度は軽くキスをされる。順番がおかしいと思う。

「どう?気持ち悪い?」
「……悪くはない、けど好き勝手されるのは不愉快だわ」
「ふふっ、ほら。私の事が好きなくせに」
「……イケメン無罪」

そうよ。顔が狡い。そのお綺麗なお顔を蕩けさせながら口付けるなんて卑怯よ。醜男なら今度こそ目潰ししているのに。

「まだ怖い?」
「……デビュタントは出たいの。夢だったんだから」
「どんな夢?」
「…貴方に相応しい淑女になって、エスコートしてもらうの。皆が羨ましそうに眺めてくるくらい素敵なカップルになりたかった」

悔しいわ。ヤンデレ変態王子だと分かったはずなのに、犯罪者なんか嫌いだと思ったはずなのに!

「……かわいい。可愛い可愛い可愛い!あ~、食べたいな、ちょっとだけ味見してもいい?」
「前世の記憶で、エロ事のちょっとだけは信じてはいけないって。必ずペロリと食べられて骨までしゃぶり尽くされるって知ってる」 
「う~ん、否定出来ない。ひと月くらい篭りたい」
「やだ。アイツらヤリまくりだって言われるもの。恥ずかしくて死んじゃうわ」
「……君のそんな姿を想像する輩は消し去るから任せてくれ」

本気の顔で殺人予告はやめて。
ヤンデレが過ぎるのよ。

「そんなことする人は本気で嫌いになるから」
「要するに、昨日の嫌いは嘘ってことだよね」
「犯罪者は本当に嫌いだから」

サフィが嬉しそうに私の頬に口付けてくる。もう、抵抗するのも馬鹿らしくなってきた。

「一昨日までの無邪気な君も可愛らしかったけど、今の君はもっといいね」
「……愛してなかったみたいだって言ったくせに」
「私を否定するからね。同じ気持ちのお返しだよ」

サフィは本当に優しさが足りないと思う。

「ねえ。私は優しい人が好きよ」
「私は君が好きだよ」

噛み合わないなぁ。こんなおかしな人なのに、どうして嫌いになれないのかしら。






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