魔法のせいだから許して?

ましろ

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「まぁ、断罪?何かのお芝居かしら」

「そうですね、空想の物語だったらどれだけよかったかと思っていますわ。でも、現実ですの。今回の事件をここまで大事にして下さった影の功労者に文句の一つでも言わないといけないでしょう?」


陛下達はとりあえず見守って下さるみたいね。不敬罪は存在しないものとして言わせていただこう。


「面白いことを言うのね。私が何をしたというのかしら。魔法を掛けたのはマルティナ。それに便乗したのは学園の生徒。私は何もしていないわよ?」

「なぜ何もしなかったのですか?陛下に、殿下に関わることだからご自分で責任を持つと言って調査団を管理していたのですよね?」

「まぁ、陛下と仲良しなのね。でもね、残念ながら魔法の調査は難しいのよ。頑張った調査員を責めないであげて?」


信じられない。調査員のせいにするつもり?


「そんなこと考えもしませんでしたわ。だって。すべての罪が王妃様にあるのは明白ですもの」

「……可哀想だと思って優しくしてあげていたら。ずいぶんと生意気を言うようになったみたいね」


あらあら怖いこと。でも脅すということは真実だということよね?


「ふふ、きっと王妃様の教育のおかげです」


あなたの脅しくらい笑顔で躱してみせますよ。だって怒っていいのは私の方だ。


「ねぇ知ってます?子供は親の分身なんかじゃないんですよ?」

「……なんですって?」

「ですから、子供は子供。親は親。まったくの別人だということです。ご理解いただけましたか?」


まったく理解できていないようね。内容ではなく、なぜ今そのような話になったかを理解できていない。


「なぜこんな話をするか分かりませんか?王妃様がジークハルト様をご自分の分身のように思っていらっしゃるようなので、その間違いを指摘させていただいたのですよ」

「何を言ってるの?そんなはずないでしょう」


もしかして無自覚だったのかしら。一番迷惑なタイプね。


「では、なぜ殿下の心を決めつけているのですか?まさか王妃殿下も魔法が使えるとか?」

「な!私がいつ!」

「私は母だから分かるのです!でしたっけ?
凄いですね。母親になると魔法が使えるようですわ。でもそのわりに世間には知られていませんね。もしかして!これも禁忌魔法でしたか?」


あら、陛下と王太子殿下の頬が引きつってるわ。ここまで不敬な発言をするとは思わなかったのね。
残念ながら私は怒ってますので!


「……私は間違っていないわ。あの子は!気を付けないと愛のために他を傷付けることを厭わない化物になってしまうのよ!」

「それこそどこの物語ですか?殿下は確かに溺愛体質ですよ。彼の中で愛はかなりの上位ランクです。それでも、彼は自分が王子だという意識を常に持っていました。間違っても愛に狂う人ではないんです。
付き合って5年の私が知っていることをどうして魔法使いの母親は知らないのですか?」

「だから!あなたが理解できないだけよ!!
あの子を愛してるから信じられないのは分かるわ。でも大丈夫。いつかあなたも子供を産めば分かるようになるわ」


凄いな。見事に話が通じない。


「では、魔法使いの王妃様に質問です。今、王太子殿下は何を思っているでしょうか。母親魔法で教えてくださいませ」

「え?」

「同じ大切なご子息です。もちろん分かりますよね?」


殿下を見ながら気不味そうに目を逸らす。分からないのよね。私は分かるけどなぁ。母親がヤバイ人だった!これ一択でしょう。


「おかしいですね。分からないのですか?そうなると、母親は魔法を使えないということですね。では、あなたが言う恋愛狂いのジークハルト様は妄想ということです。そんな妄想の彼を隠す為に調査妨害をしていたのですか?」

「違うわ!本当に分かるのよ!」

「ではなぜジーク様はここにいないの?」

「あの子は……自分の真実の姿を知って傷付いてしまったのよ」

「母上、違いますよ。あなたのその狂った考えのせいで自分の人生まで狂わされたのを知って出て行ったのですよ」


王太子殿下がとうとう我慢出来なくなったようだ。二人は仲の良い兄弟だから腹も立つだろう。


「アルブレヒト、何を言ってるの」

「自分の母親に狂ってると思われて平然としていられるとでも?そのせいで大切な婚約者を傷付けるまでに至ったんだ。あなたの顔も見たくないだろう」

「私は!」

「妨害しただろう?調査を。あいつの残酷な姿を他に知られたくないからだと?
あなたがそんなことをしなかったら、もっと早くに解決出来たんですよ。そうしたら婚約白紙になんてならなかったかもしれない。先程の生徒や教師達だって、まだ踏みとどまれる状況だったかもしれない。

狂っているのはジークじゃない。あなただ」






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