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第2章 宿敵の家の当主を妻に貰ってから
第109話 アークゲート三姉妹と行く、サリアの街
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金色のゲートが開いてそこからシアが出てくる。そして彼女に続くように満面の笑みのオーロラちゃんと、いつも通り無表情のユティさんもゲートから出てきた。
今日は以前から約束していた、シア達にサリアの街を案内する日だ。時刻は昼過ぎで、今日の仕事は昨日と今日の午前の内に終わらせたから一日休日となる。
シアやユティさん、オーロラちゃんも予定を合わせてくれて、三人一緒に街に行くことが出来るようになったのだ。
「ノヴァお兄様、こんにちは!」
「うん、こんにちはオーロラちゃん。ようこそ南側へ」
「来たことは数回あるけどね。でも今日は楽しみだわ!」
いつも通りのニコニコ笑顔で元気いっぱいのオーロラちゃんを見てほっこりとした気持ちになる。彼女の明るさは俺達も明るくしてくれる魔法のようなものだ、なんてことを思った。
「ユティさんも、お忙しい中来ていただいてありがとうございます」
「いえ、たまには息抜きは必要ですし、今日はそこまで立て込んでいませんから」
今ではなく今日という事は、やっぱり結構無理をして予定を空けてくれたんだと感じた。申し訳ないけど、今日は彼女の優しさに甘えさせてもらおう。
「……ところで、その格好だと暑くありませんか?」
「……そうですね。前回南側に来た時は夜だったので問題なかったのですが、今日は少し暑いかもしれません。屋敷に置いていってもいいでしょうか?」
夜に訪れたってことは、仕事が長引いたりしてそんな時間になってしまったんだろうか。相変わらず忙しい人で、少し心配になるな、と思いながらも、俺は隣に立つターニャに声をかけた。
「構いませんよ。ターニャ、お願い」
「はっ」
俺の言葉で、控えていたターニャがユティさんから上着を預かる。その様子にシアは呆れたような目を向けた。
「だから言ったではありませんか。暑いかもしれませんよと」
「我慢できると思ったのですが……」
「頑固な性格は相変わらずですね……っと、サリアの街の近くにゲートは繋ぎましたよ」
ため息を吐くシアと、無表情でじっとしているユティさん。
彼女達を見てみると準備は整ったようだ。新たに展開したゲートを通れば数時間の移動距離がなくなるなんて、本当に便利だと思う。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
「いってらっしゃいませ」
オーロラちゃんの元気な声とターニャの見送りの言葉を耳に、俺達はサリアの街へと繰り出した。
×××
サリアの街を訪れるのは、シアの事を聞いたときが最後。それからしばらく時間が経っているけど、街の様子はそこまで変わらない。
でも、俺自身は大きく変わったことがあって。
「おっ、兄ちゃん久しぶりだなぁ……あ、いや、聞きましたよ、次期当主になったって」
そう、俺が次期当主になったことをフォルス家は公表した。そのため街の人は少し畏まるようになってしまった。
「あぁ、そうなんだ。でも出来れば今までどおりだと嬉しいよ」
「そ、そうかい? そりゃあ助かるよ」
「大丈夫よおじさん。ノヴァお兄様はノヴァお兄様だもの」
「君は……」
「私はお姉様の妹のオーロラっていうの。よろしくね!」
そして街の人々も、あれから少しだけ変わったのだろう。いや、知ってしまったと言った方が正しい。オーロラちゃんの名前を聞いたおっさんは次にシアに目を向けて、気圧されるような形になる。
「や、やっぱり貴女が北のアークゲートの……」
「えっと……はい、レティシアと申します。以前はお世話になりました。あれからノヴァさんの妻になりまして……」
俺との結婚の噂を聞いたんだろう。おっさんの態度もあのときから大きく変わったけど、こればっかりは仕方がないか。
「も、申し訳ありません! お、俺、以前お偉いさんに失礼なことを……よく考えれば貴族様だってすぐ分かったはずなのに……」
顔が真っ青だけど、シアは威圧しないように穏やかな笑みを浮かべて口を開く。
「止めてください、私はあの時のこの街が好きですよ? 私の事を彼女さんや別嬪さんって言って笑ってくれたじゃないですか。私もノヴァさんと同じで、あのままのおっさんさんが良いです」
おっさんさんってさんが二回ついているし、そもそもおっさんにさんをつけると丁寧な表現になるのか? なんて変なことを考えた。
けどおっさんはそんなことを気にしてもいられないようで、シアの言葉におずおずと口を開いた。
「えっと……い、いいんですかい?」
「はい、これまで通りでお願いします。おっさんさん」
「……そう言って頂けるなら」
おっさんは少しだけ躊躇っていたけど、ユティさん、オーロラちゃん、シア、そして最後に俺を見て、肩から力を抜いた。
「なんていうか……兄ちゃんはすげえな。いや、元々フォルス家の出身だってことは知っていたんだが……でも、良かったじゃねえか」
「え?」
「だって兄ちゃん、今心から笑ってるだろ? もちろんこれまでも街にいる時は楽しそうだったけど、いつも一人だったからな。でも今はもっと楽しそうだ」
「……おっさん」
ははっ、とにこやかに笑って、おっさんは何度も頷いた。
「兄ちゃんが楽しそうだと俺も嬉しいよ。きっと街の他の人だって同じはずだぜ。
兄ちゃん、今日は別嬪さんを三人も連れているんだ。四人でぜひ楽しんでってくれや」
「あぁ、そうするよ。ありがとうおっさん!」
「おう」
曇りのない、いつもの笑顔を浮かべるおっさん。彼の言葉通り、俺達はその日色んな人と話しながらサリアの街で楽しんだ。
街で出会う人は俺がシアと結婚したことや次期当主になったことは知っていて、最初は固い反応だったけど、次第にそう言った人も少なくなっていった。きっと遠くから俺達を見ていた人や、会話した人が話を広げてくれたんだろう。
人懐っこい小さな子供達が年の近いオーロラちゃんに懐いたり、成長途中の少女がシアの姿を見て見とれていたり、子連れのお母さんとユティさんが何やら難しい話をしたりしたけど、彼女達もまたサリアの街の人達に受け入れられていた。
最初はどうなるかと思ったけど、彼女達を案内して良かったなって、少しした後は思っていたくらいだ。
今日は以前から約束していた、シア達にサリアの街を案内する日だ。時刻は昼過ぎで、今日の仕事は昨日と今日の午前の内に終わらせたから一日休日となる。
シアやユティさん、オーロラちゃんも予定を合わせてくれて、三人一緒に街に行くことが出来るようになったのだ。
「ノヴァお兄様、こんにちは!」
「うん、こんにちはオーロラちゃん。ようこそ南側へ」
「来たことは数回あるけどね。でも今日は楽しみだわ!」
いつも通りのニコニコ笑顔で元気いっぱいのオーロラちゃんを見てほっこりとした気持ちになる。彼女の明るさは俺達も明るくしてくれる魔法のようなものだ、なんてことを思った。
「ユティさんも、お忙しい中来ていただいてありがとうございます」
「いえ、たまには息抜きは必要ですし、今日はそこまで立て込んでいませんから」
今ではなく今日という事は、やっぱり結構無理をして予定を空けてくれたんだと感じた。申し訳ないけど、今日は彼女の優しさに甘えさせてもらおう。
「……ところで、その格好だと暑くありませんか?」
「……そうですね。前回南側に来た時は夜だったので問題なかったのですが、今日は少し暑いかもしれません。屋敷に置いていってもいいでしょうか?」
夜に訪れたってことは、仕事が長引いたりしてそんな時間になってしまったんだろうか。相変わらず忙しい人で、少し心配になるな、と思いながらも、俺は隣に立つターニャに声をかけた。
「構いませんよ。ターニャ、お願い」
「はっ」
俺の言葉で、控えていたターニャがユティさんから上着を預かる。その様子にシアは呆れたような目を向けた。
「だから言ったではありませんか。暑いかもしれませんよと」
「我慢できると思ったのですが……」
「頑固な性格は相変わらずですね……っと、サリアの街の近くにゲートは繋ぎましたよ」
ため息を吐くシアと、無表情でじっとしているユティさん。
彼女達を見てみると準備は整ったようだ。新たに展開したゲートを通れば数時間の移動距離がなくなるなんて、本当に便利だと思う。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
「いってらっしゃいませ」
オーロラちゃんの元気な声とターニャの見送りの言葉を耳に、俺達はサリアの街へと繰り出した。
×××
サリアの街を訪れるのは、シアの事を聞いたときが最後。それからしばらく時間が経っているけど、街の様子はそこまで変わらない。
でも、俺自身は大きく変わったことがあって。
「おっ、兄ちゃん久しぶりだなぁ……あ、いや、聞きましたよ、次期当主になったって」
そう、俺が次期当主になったことをフォルス家は公表した。そのため街の人は少し畏まるようになってしまった。
「あぁ、そうなんだ。でも出来れば今までどおりだと嬉しいよ」
「そ、そうかい? そりゃあ助かるよ」
「大丈夫よおじさん。ノヴァお兄様はノヴァお兄様だもの」
「君は……」
「私はお姉様の妹のオーロラっていうの。よろしくね!」
そして街の人々も、あれから少しだけ変わったのだろう。いや、知ってしまったと言った方が正しい。オーロラちゃんの名前を聞いたおっさんは次にシアに目を向けて、気圧されるような形になる。
「や、やっぱり貴女が北のアークゲートの……」
「えっと……はい、レティシアと申します。以前はお世話になりました。あれからノヴァさんの妻になりまして……」
俺との結婚の噂を聞いたんだろう。おっさんの態度もあのときから大きく変わったけど、こればっかりは仕方がないか。
「も、申し訳ありません! お、俺、以前お偉いさんに失礼なことを……よく考えれば貴族様だってすぐ分かったはずなのに……」
顔が真っ青だけど、シアは威圧しないように穏やかな笑みを浮かべて口を開く。
「止めてください、私はあの時のこの街が好きですよ? 私の事を彼女さんや別嬪さんって言って笑ってくれたじゃないですか。私もノヴァさんと同じで、あのままのおっさんさんが良いです」
おっさんさんってさんが二回ついているし、そもそもおっさんにさんをつけると丁寧な表現になるのか? なんて変なことを考えた。
けどおっさんはそんなことを気にしてもいられないようで、シアの言葉におずおずと口を開いた。
「えっと……い、いいんですかい?」
「はい、これまで通りでお願いします。おっさんさん」
「……そう言って頂けるなら」
おっさんは少しだけ躊躇っていたけど、ユティさん、オーロラちゃん、シア、そして最後に俺を見て、肩から力を抜いた。
「なんていうか……兄ちゃんはすげえな。いや、元々フォルス家の出身だってことは知っていたんだが……でも、良かったじゃねえか」
「え?」
「だって兄ちゃん、今心から笑ってるだろ? もちろんこれまでも街にいる時は楽しそうだったけど、いつも一人だったからな。でも今はもっと楽しそうだ」
「……おっさん」
ははっ、とにこやかに笑って、おっさんは何度も頷いた。
「兄ちゃんが楽しそうだと俺も嬉しいよ。きっと街の他の人だって同じはずだぜ。
兄ちゃん、今日は別嬪さんを三人も連れているんだ。四人でぜひ楽しんでってくれや」
「あぁ、そうするよ。ありがとうおっさん!」
「おう」
曇りのない、いつもの笑顔を浮かべるおっさん。彼の言葉通り、俺達はその日色んな人と話しながらサリアの街で楽しんだ。
街で出会う人は俺がシアと結婚したことや次期当主になったことは知っていて、最初は固い反応だったけど、次第にそう言った人も少なくなっていった。きっと遠くから俺達を見ていた人や、会話した人が話を広げてくれたんだろう。
人懐っこい小さな子供達が年の近いオーロラちゃんに懐いたり、成長途中の少女がシアの姿を見て見とれていたり、子連れのお母さんとユティさんが何やら難しい話をしたりしたけど、彼女達もまたサリアの街の人達に受け入れられていた。
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