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8話
最終話<5>
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帰国してからも希美はパリで撮った写真を見ながら、楽しかったねと言ってくれた。また希美との楽しい思い出が出来て良かった。
次の僕の目標は八度目の結婚記念日に希美と写真を撮ることだ。
結婚式を挙げたホテルの写真スタジオに予約を入れ、希美に内緒でドレスも予約した。
そして迎えた十月――。
当日は秋晴れのいい天気で、僕の体調も良かった。ホテルに行くと希美のご両親や律子さんがいたから希美は驚いていた。
「えっ、なんでみんないるの?」
希美が僕の顔を見る。
「せっかくだから、みんなにも声を掛けたんだ」
僕の両親も来ていて、みんなで家族写真も撮ることになっている。
みんな僕が末期ガンだということは知っている。
僕は希美のいない所で、お義父さん、お義母さん、律子さんに僕がいなくなった後、希美を頼みますとお願いをした。
「今さら、何言ってるのよ」
神妙な顔をした僕の肩を律子さんが叩いた。
「希美のことは心配いらないから。涼介くんは一日でも長く希美と一緒にいてあげて下さい」
逆に律子さんにお願いされ、僕は一日でも長く生きることを約束させられた。さすが律子さんだ。
お義父さんとお義母さんは僕の体調をとても気遣ってくれた。律子さんが上手く話してくれたおかげで、僕は浮気夫ではなくなっていた。
僕の両親は僕の顔を見るなり、東京に帰ってくればいいのにと、相変わらずの小言を口にした。
末期ガンであることを打ち明けた時から言われている。両親としてはすぐに駆けつけられない場所で僕が暮らしていることが心配なのだろう。申し訳ないと思うが、東京よりも千葉の田舎の家で希美と暮らしたい。
あそこは東京よりものんびりとした時間が流れている気がして、長く生きられる気がするのだ。
支度が終わると、写真スタジオに入った。
僕はグレーのタキシード姿で、希美はウェディングドレスだ。
「もう一度、ウェディングドレスを着ることになるとは思わなかった」
僕の隣に立つ希美が恥ずかしそうな顔をする。
何度見ても美しい花嫁姿だ。こんなに綺麗な人が僕の奥さんだなんて、世界一幸せだと思った。
「では、花嫁様、花婿様、撮ります」
カメラマンに言われて、僕と希美は笑顔を浮かべた。
幸せな瞬間がまたこうして写真に記録される。
希美、ありがとう。僕は世界一幸せだよ。
次の僕の目標は八度目の結婚記念日に希美と写真を撮ることだ。
結婚式を挙げたホテルの写真スタジオに予約を入れ、希美に内緒でドレスも予約した。
そして迎えた十月――。
当日は秋晴れのいい天気で、僕の体調も良かった。ホテルに行くと希美のご両親や律子さんがいたから希美は驚いていた。
「えっ、なんでみんないるの?」
希美が僕の顔を見る。
「せっかくだから、みんなにも声を掛けたんだ」
僕の両親も来ていて、みんなで家族写真も撮ることになっている。
みんな僕が末期ガンだということは知っている。
僕は希美のいない所で、お義父さん、お義母さん、律子さんに僕がいなくなった後、希美を頼みますとお願いをした。
「今さら、何言ってるのよ」
神妙な顔をした僕の肩を律子さんが叩いた。
「希美のことは心配いらないから。涼介くんは一日でも長く希美と一緒にいてあげて下さい」
逆に律子さんにお願いされ、僕は一日でも長く生きることを約束させられた。さすが律子さんだ。
お義父さんとお義母さんは僕の体調をとても気遣ってくれた。律子さんが上手く話してくれたおかげで、僕は浮気夫ではなくなっていた。
僕の両親は僕の顔を見るなり、東京に帰ってくればいいのにと、相変わらずの小言を口にした。
末期ガンであることを打ち明けた時から言われている。両親としてはすぐに駆けつけられない場所で僕が暮らしていることが心配なのだろう。申し訳ないと思うが、東京よりも千葉の田舎の家で希美と暮らしたい。
あそこは東京よりものんびりとした時間が流れている気がして、長く生きられる気がするのだ。
支度が終わると、写真スタジオに入った。
僕はグレーのタキシード姿で、希美はウェディングドレスだ。
「もう一度、ウェディングドレスを着ることになるとは思わなかった」
僕の隣に立つ希美が恥ずかしそうな顔をする。
何度見ても美しい花嫁姿だ。こんなに綺麗な人が僕の奥さんだなんて、世界一幸せだと思った。
「では、花嫁様、花婿様、撮ります」
カメラマンに言われて、僕と希美は笑顔を浮かべた。
幸せな瞬間がまたこうして写真に記録される。
希美、ありがとう。僕は世界一幸せだよ。
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