おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~

月白ヤトヒコ

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それが、房中術、房閨術の真の禁忌。

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 秘された禁忌。

 房中術、房閨術は、回復魔術の一種である。その昔は、房中術、房閨術を行使する女人は『英雄の聖女』と称されたものじゃ。

 現在よりも回復魔術、治癒魔術が未発達で使い手が稀少だった時代に、魔獣被害が多い地域や紛争地帯などで自然と発生したのだという。

 ちなみに、房中術系統の回復魔術は閨事に抵抗が無く、回復や治癒魔術の素養がある者であれば、ある程度は行使ができてしまうという一面がある。

 なんせ、身体を重ねることで己が魔力と相手の魔力を直接練り合わせる術じゃ。ある種、本能に根差した回復魔術と言えよう。それを意識的に使える者、訓練して使えるようになった者が、房中術の使い手となる。

 更には、特定条件下に於いて房中術系統の魔術は回復、治癒、身体強化の効果が高いからのぅ。一人に付き、一人のパートナーの男女。ま、実はなにげに男同士でも房中術は使用できるらしいが……その、施術された側の相手が、『英雄』になる。

 代わりに、房中術の施術者は早逝する。パートナーへ戦功を上げさせ、傷を癒し……されど、自身は命を削る。悲劇的な結末。それ故に、『英雄の聖女』と称されたのじゃ。

 その、一対一のパートナーという不文律が崩れたとき、房中術は牙を剥く。まあ、当然と言えば当然よの。なんせ、元は命を削って相手に力を捧げる魔術じゃ。その代償も、命懸けになるのは然りと言ったところじゃろうて。

 その昔、『英雄』とその『聖女』である恋仲の男女が居った。

 恋人である英雄のためなればと、『聖女』は自身の命を削り、懸命に英雄へ尽くした。傷を癒し、身体能力を高めて魔獣を倒させ、戦功を上げさせた。

 そうやって、献身的に英雄を支えておった『聖女』じゃが……段々と容色が衰え出した。相手へ生命力を注ぎ、自身の寿命を削っておるのじゃから当然じゃな。

 このとき、男がさっさと『英雄』を引退するか、寿命僅かとなった『聖女』の最期を看取るまで支えればよかったのじゃが――――

 その男は、自身が『英雄』でい続けるため。または容色が衰え、寿命が少なくなり、碌に房中術の使えなくなった己のパートナーであった『聖女』を捨て、別の『聖女』……恋人へ乗り換えた。

 それが、悲劇の始まりじゃ。

 己が寿命を削り、容色を衰えさせ、必死で『英雄』を支えて来た『聖女』は、男に対して怒り狂った。ま、『聖女』の怒りも嘆きも至極当然なのじゃが……

 この『聖女』は、己がパートナーであった『英雄』へ復讐を考えた。「最期に一度だけ、あなたと夜を過ごさせて」と。『聖女』はその夜、『英雄』へ房中術を使って……『英雄』の生命力を奪いよった。

 生命力を分け与えることができるなれば、逆に奪うこともできる……と、気付いてしまったのじゃ。房中術、房閨術で他者へ分け与えた生命力が戻って来ることはない。れど、失った生命力や寿命を他者から奪う・・ことはできるのじゃ。

 そうして、命果てる寸前の『聖女』だった女は元の容色を取り戻し、いや。以前よりもより美しくなり、『英雄』である男達へ……『英雄の聖女』を使い潰し、使えなくなったらポイ捨てし、新しい『聖女』……恋人を求めるような男共へ復讐を始めた。

 クズな『英雄』に近付き、『聖女』を装い、『英雄』の生命力を奪い殺す。

 こうして、『英雄の聖女』だった女は人外に成り果て……やがては、吸精鬼や悪魔の一種であるサキュバス、サクブスと称されるようになった。男なれば、インキュバス、インクブスじゃの。

 幾人も『英雄』を殺した……元は憐れな女は、最終的には魔物として討伐された。

 それが、房中術、房閨術の真の禁忌。

 元人間のサキュバスやインキュバスは真の悪魔であるサキュバス、インキュバスには数段劣るが、それでも人外に成ったと言うても過言ではなくなる。

 なんせ、他者の寿命を吸い尽くし、人間以上の時間を生きるようになるのじゃからの。場合によっては、身体能力も人間以上になる者も居るのじゃ。

 故に、己が欲や復讐のため人に仇成す吸精鬼サキュバス、インキュバスと成った房中術の使い手は、悪魔や魔物として祓われる。そうなれば、エクソシストであるレンブラントや聖騎士であるトム爺の出番となる。

 シスター・カスリンは修道女達の監視下に置かれておるが……他者の生命力や寿命を奪えることに気付き、それを実行した、もしくは実行しようとした段階で、教会内で処分される。

 房中術の禁忌を秘するために。

 まあ、このままシスター・カスリンが脱走やよくないことを企てず、大人しく自身の生命力回復に努めてくれればいいんじゃがのぅ。唯一の救いと言えるのかは不明じゃが、シスター・カスリンは然程頭が良くなさそうなので、気付かずに済む……かもしれぬことかの。

「ところで、大叔父様」
「なんじゃ、ジークハルトよ」
「なんで、わたしの分のお菓子が少ないのですか! 娘や息子達の分の方が多かったですよ!」

――――――――

 房中術のこの重めな設定は前の短編のときからあったんですが、長くなるしテンポ悪くなるんで全カット。でも、連載するから折角なので入れておこうかなぁ……と。(*ノω・*)テヘ

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