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ありがとうございます、大叔父様。大好きです。それと、妖精さん達にも『いつもお手紙ありがとう』とお伝えください。
しおりを挟む「なんで、わたしの分のお菓子が少ないのですか! 娘や息子達の分の方が多かったですよ!」
「当然じゃろ。菓子は、可愛い子にこそ多くあげるものじゃ。こ~んなでっかい成りしたいいおっさんがなに言うとんじゃ。」
「くっ、わたしも可愛い又甥っ子ではないのですかっ?」
「ああん? 人の都合も考えず、菓子の催促しよる大人げない大の男が可愛いワケあるまいて。ほれ、用が済んだなればさっさと帰って執務に励むのじゃ」
まあ、安全に食べられる食糧が切れるというのは、心許ないのかもしれぬがの。
食料が手に入らずに餓えて、毒でも構わぬと手を出すか。毒が入っておるやもしれぬと、目の前の食べ物に手を出せずに自ら餓えるか……どちらがつらい、などとは軽々しくは言えぬことじゃからのぅ。
「大叔父様がつれない……昔は、『ジークハルトは可愛いのぅ』と言ってとても可愛がってくれたのに」
「二十年以上前のこと言われてもの? ほれほれ、国王陛下のお帰りじゃ。準備せい」
パンパンと手を叩くと、
「では、お送り致します。ジークハルト国王陛下」
クレメンスがにっこりと笑顔で言う。
「……大叔父様、ではせめてわたしにリジェネを掛けてください!」
「お主、若いんじゃから必要無いじゃろ」
「王族は激務なんですよ!」
「ぁ~、はいはい。リジェネの。ほれ掛けたぞ。これでいいじゃろ」
さっとリジェネを掛けてやる。
「もっと気合を入れたリジェネがいいです」
「我儘じゃのぅ。面倒だからイヤじゃ」
「大叔父様にしか我儘は言いません。というワケで、次のお菓子はブランデーをたっぷり効かせたブラウニーが食べたいです」
「それだと、子供らが食えぬであろうに」
「妻と二人で楽しみます。材料は手配しますので、お願いします」
「仕方ないのぅ」
「ありがとうございます、大叔父様。大好きです。それと、妖精さん達にも『いつもお手紙ありがとう』とお伝えください」
伝えるもなにも、精霊はそこらをよく飛び回っておるからの。直接聞いておるであろう。
「では、至極名残惜しく、本当はもっとサボっ……ではなく、もっとゆっくり大叔父様と過ごしたかったのですが、本日はこれで失礼致します」
「うむ。本音が出掛かっておるぞ。では、次はもっと身軽に来るがよい」
「はい! あ、そうです。大叔父様」
「なんじゃ?」
「『教皇猊下』を辞めたくなったら、いつでも仰ってくださいね。わたしがどうにか致します」
にこりとジークハルトが告げるが・・・
「それを国王陛下が言っちゃいかんじゃろ。政教は分離が望ましい。故に、要らぬ手を出すでないぞ」
本音を言うと、今すぐ辞めたいわっ!! じゃが、これは譲れぬ。政と宗教が蜜月になっては立ち行かなくなってしまうのじゃ。
「ふっ、大叔父様ならそう仰ると思ってました。ですが、お年もお年です。呉々も無理はなさらないでくださいね? クレメンスさん、大叔父様に無理は強いませんよう、お気を付けください」
「承知しております」
わしへと向けたにこやかな笑顔から一転。スッと、冷ややかな瞳で圧を掛けたジークハルトに、クレメンスがすんと応じる。なにやらこの二人、仲が悪そうじゃのぅ。
「では、お菓子楽しみにしてますね~!」
と、ジークハルトは慌ただしく帰って行きおった。
まあ、今回は房中術の使い手の処遇を探るため。そして、元王太子ゲスナーの動向を伝えるため。あとは・・・純粋に菓子の催促じゃな。
いきなり、思い立ったら行動……というか、直ぐに会いに来るところは姉上を思い出すわい。
翌日。かなり上質なブランデーやチョコレート、胡桃など。ブラウニーの材料が大量に届けられた。
こういうところも似ておるのぅ・・・
仕方ない。ブランデーたっぷりのブラウニーを作ってやるかの。ついでに、ブランデー無しのも作って持たせるのじゃ。
✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧
大叔父様大好きっ子? の三十路半ばの又甥っ子国王ジークハルト襲来。多分、クレメンスに嫉妬してんじゃないかなぁ……と。
あとなんか、誰も気にしてなさそうな、短編に出て来たゲスナー王太子&シスター・カスリンの顛末。ついでに、房中術の秘された禁忌。
微妙にシリアス回な感じでした。
ジークハルト(どこの馬の骨ともわからぬ輩が大叔父様のお側に侍るなどと……)( ・`д・´)
クレメンス(幾ら親族で、尚且つ国王陛下であらせられようとも、猊下をお好きにできるとは思わないでください!)(; ・`д・´)
ジークハルト(他の連中よりマシなので、大叔父様に危害を加えないのであれば、しばらく見逃しておいてやる)( ◜◡◝ )
という感じの睨み合い。(*`艸´)
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