おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
31 / 55

聖剣と魔剣の完成に乾杯じゃ!

しおりを挟む




 おっす、わしロマ爺。

 月が満ち、魔力も満ちた夜……というか、もう既に朝方なのじゃがの。

 薬品と甘い匂いの漂うラボにて――――

「くっくっく……フッ、フハハハハハハハハハハっ!!」

 現在テンション爆上がり中じゃ!

「その笑い声は……とうとうやったのかっ!?」
「そうじゃ、グレゴリーよ! とうとう、完成したのじゃっ!? イフリートに、ゆっくりと熱を冷ましてもらえば完成じゃっ!!」

 長きに渡る研究と研鑽の成果。

 そう、ここまで来るのに随分と時間が掛かってしもうた。つい最近は、後始末死の行軍デスマーチで研究が何週間も中断されたしの。

 じゃが漸く、優秀な薬師であり、錬金術師でもあるグレゴリー。そして、満月と上位精霊達の力を借り、これまでに膨大な魔力を注ぎ込み、魔力回復薬をがぶ飲みし、果てなく繰り返した試行錯誤の数々を経て・・・やっと完成したのじゃっ!!

「見よ、この黄金に輝く透き通るような美しい刀身を。まさしく、聖剣と称するに相応しい見事な神々しさじゃ!」

 気泡一つ無く、光を反射させる滑らかで美しい黄金の刀身。

「ふっ、シス殿よ。こちらも見るんじゃ。光吸い込みし、凪いだ漆黒の水鏡の如く艶やかな刀身」

 波紋すら無く、漆黒の闇のようで、れど鏡のように周囲をはっきりと映し出す艶やかな刀身。

「なんとっ!! 魔剣の方も完成したのかっ!?」
「おうよ。長年に渡る、我らが研究が実を結んだんじゃ」
「グレゴリー!」
「シス殿!」

 と、わしらは互いを讃え合い、固く握手を交わしたのじゃ。

 黄金の刀身を持つ神々しい聖剣。そして、漆黒の水鏡の如く麗しい魔剣。

 上位精霊が聖剣と魔剣の欠片を対価として、満足げな笑みを浮かべて消えて行った。わしとグレゴリーは、甘い匂いの漂うラボで乾杯の魔力回復薬を酌み交わした。

「聖剣と魔剣の完成に乾杯じゃ!」
「我らの研究の成果に!」
「うむ! ところで、銘はなんとするかの?」
「ふむ……わし、そういうの苦手じゃし。シス殿が付ければよかろ」
「よいのかの?」
「わし、ネーミングセンス無いからの」
「で、では……僭越ながら……聖剣『レイズ・クリスタル』と魔剣『ビター・スクリーム』というのはどうじゃろうか?」

 聖剣曙光の結晶レイズ・クリスタル。魔剣苦悶の悲鳴ビター・スクリーム。我ながら、なかなかの命名だと思うんじゃが……

「まさしく、名は体を表すというやつじゃな」

 うんうんと頷いてくれるグレゴリー。

 早朝のラボでの出来事じゃった。

「それでの、グレゴリーよ」
「なんじゃー? シス殿」
「聖剣と魔剣が完成したのはいいのじゃが。問題は・・・鞘をどうするか、じゃ」
「確かに・・・鞘にまで気が回らんかったのー」
「うむ。この美しき刀身を全き損なわぬ上、尚且つ相応しい鞘じゃ」
「至極難題じゃのー」
「うむ。下手な鞘に入れようもんなら、この美しき輝きが失われてしまうであろう」
「・・・鞘、要るか? なんだったら、ガラスケースに保管しといた方がいいんじゃね?」
「しかしのぅ……聖剣と魔剣じゃぞ? 鞘から引き抜く瞬間とか、めっちゃカッコイイとは思わぬか?」
「つーても、鞘に入れて刀身が損なわれんなら、意味なくね?」
「う~む……難しい問題じゃのぅ」
「そもそも、耐久性の問題もあるじゃろ。ガワが聖剣と魔剣に見えるとして、どれ程の硬度を持っているかは不明じゃしのー。下手したら、振り回した瞬間に崩れる可能性もあるぞ」
「その辺りは、地の上位精霊と水の上位精霊、火の上位精霊に頼んで耐久性を上げてもらっておるはずじゃが……」
「言うても、実験はしとらんじゃろ。長年の研究成果であるこの二振りを、壊れるつもりで耐久性の実験をするか、新しく魔剣と聖剣を作り出すか……」
「そう、じゃな」

 この美しい二振りの聖剣と魔剣を壊すつもりで実験、か。

「くっ、わしにはできぬ! 数十年もの歳月を掛け、漸く完成したのじゃ!」
「そじゃのー。んじゃ、成功第一号の二本は保管っつーことで、新しい魔剣と聖剣を作って実験するかの。幸い、シス殿の伝手で材料は入手可能なんじゃろ?」
「伝手というてものぅ……原材料はかなりの高級品じゃからの。自前で用意するとなれば、懐が痛むわい」
「ふむ……つか、このサイズを作るんじゃなくて、もっとちっこいサイズにすればよかろ?」
「しかし、聖剣と魔剣じゃぞ?」
「耐久実験するんじゃろ? ミニサイズで十分じゃろー」
「確かに。壊れる前提であれば、ちっこいサイズでもよいかのぅ……ちと残念じゃが」
「あと、鞘もミニサイズで作ればよかろ」
「成る程の。さすが、グレゴリーじゃ」
「つーても、今日のとこはもうシス殿も魔力すっからかんじゃろ?」
「そうじゃのぅ。今日はもう、上位精霊を複数召喚したからのぅ」

しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

『これも「ざまぁ」というのかな?』完結 - どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他

こうやさい
ファンタジー
 短い話を投稿するのが推奨されないということで、既存のものに足して投稿することにしました。  タイトルの固定部分は『どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他』となります。  タイトルやあらすじのみ更新されている場合がありますが、本文は近いうちに予約投稿されるはずです。  逆にタイトルの変更等が遅れる場合もあります。  こちらは現状 ・追放要素っぽいものは一応あり ・当人は満喫している  類いのシロモノを主に足していくつもりの短編集ですが次があるかは謎です。  各話タイトル横の[]内は投稿時に共通でない本来はタグに入れるのものや簡単な補足となります。主観ですし、必ず付けるとは限りません。些細な事に付いているかと思えば大きなことを付け忘れたりもします。どちらかといえば注意するため要素です。期待していると肩透かしを食う可能性が高いです。  あらすじやもう少し細かい注意書き等は公開30分後から『ぐだぐだ。(他称)』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/878859379)で投稿されている可能性があります。よろしければどうぞ。 URL of this novel:https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/750518948

「ざまぁしないで下さい」とヒロインが土下座してきた

こうやさい
ファンタジー
 学園の特待生がいきなり土下座してきてそう叫んたとき、どう対処するのが貴族として正しいのでしょう?  さっさと婚約破棄されるべきなのかしら?  タグとタイトルである意味完結してる話(爆)。悪役令嬢は悪役にはなってませんが貴族として教育を受けているのであまり影響は見えないという設定。  うーん、ここはヒロインは利用されてるだけで、利用しているヤツが転生者がパターンかな? ……面白そう(おい)。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

醜悪令息レオンの婚約

オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。 ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、 しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。 このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。 怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました

ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。 王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。 しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。

断罪イベントの夢を見たから、逆ざまあしてみた

七地潮
ファンタジー
学園のパーティーで、断罪されている夢を見たので、登場人物になりきって【ざまぁ】してみた、よくあるお話。 真剣に考えたら負けです。 ノリと勢いで読んでください。 独自の世界観で、ゆるふわもなにもない設定です。 なろう様でもアップしています。

処理中です...