おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~

月白ヤトヒコ

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わぁ! ごはんくれるんですかっ!? ありがとうございます!

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『神竜の微睡む地で聖女を解任させられたから、その慰謝料代わりってやつー?』

 と、下位精霊達とは違う軽やかな男のような声が言う。

 なんと! 他国の聖女であったか!

『やあ、じいさんがこっちの聖者か』

 お嬢ちゃんの背後からひょっこり現れたのは、大分小さなサイズのドラゴンじゃった。通常であれば、卵から孵化したばかりの赤子ドラゴンと言うたところじゃのぅ。しかし、赤子のドラゴンがこのようにハッキリと人語を話すのは見たことがない。

 それになにより、クレメンスには見えておらぬ。つまり、この小さなドラゴン殿は通常の……実体のあるドラゴンではないということじゃな。

『おっす、ロマンシス! 天秤さまがお前らに話があるってよ。まずは、欠食娘にメシ食わしてやってくれ。チビ達が道中、そこらの野苺やら花の蜜やらやってたが、人間には足りんだろ』

 カラリと笑うのは、風の中位精霊。

「ま、そうじゃの。とりあえず、お嬢さんや。温かい食事でも食べて落ち着かれるがよかろう」
「わぁ! ごはんくれるんですかっ!? ありがとうございます!」

 と、輝かんばかりの笑顔を見せるお嬢ちゃん。

「猊下!」
「お嬢さんや、ここへ来る前に普通の食事をしたのはいつじゃったかの?」

 安心させるように、にこやかに問い掛ける。

「え~っと? 普通のごはん……は、半月くらい? 食べてない。お金持ってないからずっと野宿だったし。適当に狩りしたり、食べれる草とか採ってたべてました」
「そうかそうか、苦労したんじゃな……温かい食事を用意してあるから、ゆっくり食べて来るといい」
「え? 温かいごはんくれるのっ!? わぁ! 温かい普通のごはんとか、何年振りだろ?」

 まさかの年単位で普通の食事を食べられていなかったとはっ!? 下位精霊達の言うておった通り、ほんに不憫な子じゃのぅ……

「はい! 質問です!」
「うん? なんじゃ?」
「美味しそうなごはんを目の前に置いて、わたしの分だけわざと床に零したりとかしませんかっ?」
「っ!? そ、そんなことするはず無いでしょう!」

 お嬢ちゃんの質問に、ぎょっとした顔で答えるクレメンス。

「わざと落としたパンを踏み躙って、靴跡の付いたパンを食べろと強要したりとかは?」
「そんなことしませんからっ!? というか……はぁ、大体の事情は察しました。あなたは、もしかしなくても虐待されていたのですね。ああ、返事は結構です。とりあえず、猊下の仰る通り。まずは温かい食事を食べましょうか。案内します」

 続いての質問にも驚きと溜め息を零し、同情を宿した目でお嬢ちゃんを見て案内役を買って出るクレメンス。

「食堂はこちらです。付いて来てください」
「はーい」
「よし、俺もメシにするか」

 と、お嬢ちゃんとトマスがクレメンスに付いて行くと……

『うっわ……そりゃ、アルメリアが国に戻りたくないって言うワケか……』

 小さいドラゴン殿が、それはそれは気の毒そうな声を出す。

『はっはっは、俺が教えてやった浄化が役立ち捲りだな!』
『やー、幾ら浄化したとしても、靴で踏み躙られたパンは食いたくなくね?』
『っつってもなー。アイツ、侵略された国の孤児だし。聖女にしては、めっちゃ待遇悪かったぞ? ほぼほぼ奴隷レベルっつっても過言じゃねぇくらいの扱いだぜ?』

 どうやら、あのお嬢ちゃんはこの風の精霊が大分気に掛けておる子のようじゃな。

「ふむ……あのお嬢さんの保護をわしへ頼まれるということでしょうか?」
『ああ、違う違う』

 と、小さいドラゴン殿は小さい手をパタパタと振る。

『じいさんは知ってるだろうが、二十年程前に神竜が微睡む国が侵略されただろ?』
「ええ、当時は他の国まで侵略されるのではないかと、国際情勢がピリピリしておりましたからな」
『あそこ、力加減間違えて大陸砕いた審判の竜が、神様に怒られた後に不貞寝してる土地でさ? 実は、ストレス発散で度々発生するスタンピードを蹴散らしてたんだよね』
「はい?」
『で、更に後から来た人間が集落作って住み付き始めてさ? スタンピード蹴散らすついでに人間まで壊滅させたら、神様にまた怒られるからって、そこにいた魔力量の一番多かった人間と契約を交わした。スタンピードを蹴散らしたら、それ以上暴れず、人間の集落を傷付けずに不貞寝を続けるという感じの盟約だったかな? まあ、俺は奴本人じゃないから細かい契約は知らんけど』
「はぁ……」

 なにやら、話が大分大きくなって来おったわい。

『だけど、以前の王族の血筋は、前の侵略で途絶えた』
「成る程。審判竜様からすると、盟約は人間側から一方的に破棄されたと捉えられた、ということでしょうか?」
『いや? アイツ自身は、そんなこと気にするような細かい奴じゃない。というか、めっちゃ大雑把だから余計に問題というか……』

 やれやれとでも言いたげに、盛大に落ちる溜め息。

「どういう意味でしょうか? ドラゴン殿」

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