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グリファー伯爵家の屋敷に戻った私は汚れた服を着替えると伯爵家に昔から仕えているメイドのアンナと応接室で会話をするのでした。
「そんな扱いをされたのですか??」
「ええ、それで戻ってきたのです。」
「なんという事でしょうか?ローラ様にそのようなひどい仕打ちを!!すぐにブリテルス公爵家に抗議をいたしましょう。」
「いえ別にしなくてもいいですよ。」
「そうはいきません。お嬢様が大恥をかかされたのです。たとえ相手が公爵家であろうとも言わなければなりません。」
「あっ!!それはそうとアンナ聞きましたか?お父様の鉱山開発が成功したのですよ。」
「そうなのですか?」
「ええ。しかも魔法石の埋蔵量がとても多い鉱山だったとか。これで魔法石不足も解消できます。これで多くの人達に魔法石を安く供給できるはずです。」
「そうですね今この国では魔法石が大いに不足していますから。」
「しかしお嬢様は本当に先見の明がございますね。王家から鉱山開発の話がきた時はどうなるかと思ったものです。魔物がゴロゴロいる場所での鉱山開発などできるわけないと公爵様はお考えでしたし、私もそう思っておりました。ですがお嬢様は是非やりましょうと言いました。伯爵様はお嬢様に説得されて鉱山開発のお話しを受けたのですし。」
「少し褒めすぎではないですか?褒めても何も出ませんよ。」
「いえお嬢様は本当にすごいお人なのです。伯爵様も過ぎた娘だといつも仰せになっていますし。全くこれほど聡明なお嬢様を追い出すなどブリテルス公爵家も落ちたものです。」
アンナは昔から仲がいいメイドなのですが、私をすぐに持ち上げようとします。
もちろん私を気づかって言ってくれているのでしょうが。
するとアンナは私の顔をじっと見つめると、その少し後で私に尋ねてきました。
「お嬢様一つ宜しいですか?」
「何ですか?」
「お嬢様は悔しがるどころかどこか安心しているようにすら見えるのですが、気のせいでしょうか?」
私は少しため息をしてアンナに言いました。
「やはりアンナに隠し事はできませんね。ええ私はとても安心しています。なにせ婚約破棄をしてくれましたからね。正直な所ベルグの所に残り続ければ恐らく破滅しかなかったでしょうから。まあ私を追い出してベルグ達は大喜びしていましたけど。」
「お嬢様それはどういう意味でしょうか??」
「今は止めておきます。まだ憶測の域を出ませんから。」
すると応接室の外からコンコンとノックがされた。
私はそのノックをした人に言いました。
「開いてますので、どうぞ。」
すると年配の男性使用人が入ってきたのでした。
うちで長年使用人として仕えているトーマスが入ってきたのです。
「お嬢様失礼致します。お嬢様に会いたいというお客様が参られました。」
「お客様??どなたですか??」
「セドリック様とヨーゼル様がお越しになっています。」
「分かりました。」
すぐにローザは二人の待つ大広間に向かったのだった。
「そんな扱いをされたのですか??」
「ええ、それで戻ってきたのです。」
「なんという事でしょうか?ローラ様にそのようなひどい仕打ちを!!すぐにブリテルス公爵家に抗議をいたしましょう。」
「いえ別にしなくてもいいですよ。」
「そうはいきません。お嬢様が大恥をかかされたのです。たとえ相手が公爵家であろうとも言わなければなりません。」
「あっ!!それはそうとアンナ聞きましたか?お父様の鉱山開発が成功したのですよ。」
「そうなのですか?」
「ええ。しかも魔法石の埋蔵量がとても多い鉱山だったとか。これで魔法石不足も解消できます。これで多くの人達に魔法石を安く供給できるはずです。」
「そうですね今この国では魔法石が大いに不足していますから。」
「しかしお嬢様は本当に先見の明がございますね。王家から鉱山開発の話がきた時はどうなるかと思ったものです。魔物がゴロゴロいる場所での鉱山開発などできるわけないと公爵様はお考えでしたし、私もそう思っておりました。ですがお嬢様は是非やりましょうと言いました。伯爵様はお嬢様に説得されて鉱山開発のお話しを受けたのですし。」
「少し褒めすぎではないですか?褒めても何も出ませんよ。」
「いえお嬢様は本当にすごいお人なのです。伯爵様も過ぎた娘だといつも仰せになっていますし。全くこれほど聡明なお嬢様を追い出すなどブリテルス公爵家も落ちたものです。」
アンナは昔から仲がいいメイドなのですが、私をすぐに持ち上げようとします。
もちろん私を気づかって言ってくれているのでしょうが。
するとアンナは私の顔をじっと見つめると、その少し後で私に尋ねてきました。
「お嬢様一つ宜しいですか?」
「何ですか?」
「お嬢様は悔しがるどころかどこか安心しているようにすら見えるのですが、気のせいでしょうか?」
私は少しため息をしてアンナに言いました。
「やはりアンナに隠し事はできませんね。ええ私はとても安心しています。なにせ婚約破棄をしてくれましたからね。正直な所ベルグの所に残り続ければ恐らく破滅しかなかったでしょうから。まあ私を追い出してベルグ達は大喜びしていましたけど。」
「お嬢様それはどういう意味でしょうか??」
「今は止めておきます。まだ憶測の域を出ませんから。」
すると応接室の外からコンコンとノックがされた。
私はそのノックをした人に言いました。
「開いてますので、どうぞ。」
すると年配の男性使用人が入ってきたのでした。
うちで長年使用人として仕えているトーマスが入ってきたのです。
「お嬢様失礼致します。お嬢様に会いたいというお客様が参られました。」
「お客様??どなたですか??」
「セドリック様とヨーゼル様がお越しになっています。」
「分かりました。」
すぐにローザは二人の待つ大広間に向かったのだった。
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