運命のつがいと初恋

鈴本ちか

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運命のつがいと初恋 第1章

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 七階の自宅を目指す。
 エレベーターの中でスマホを確認するが東園からの連絡はない。
 一人親世帯と言っていたからこまめに連絡なんて出来ないだろうなと思いつつパーカーのポケットにスマホを突っ込む。
 もしかしたら凛子の具合が良くなって、人手が要らなくなったのかもしれない。
 動くと左に抱えた花束の透明フィルムがガサガサ音をたてる。そういえば家には花瓶がない。
 ピンク系のバラ、ラナンキュラスにレースフラワー、トルコキキョウ。
 癒される色合いにほっこりしていると我が家の階についた。尻ポケットの鍵を取り出し扉を開けたところでスマホが震えた。
 東園からで自宅までの地図が添付してあった。
 ベランダのペットボトル用のゴミ箱から比較的綺麗なペットボトルを引き出し、真ん中あたりで切って簡易花瓶をつくり貰い物の花を活けた。
 何か食べていくべきだろうか。
 小腹が空いたので冷蔵庫からゼリー飲料を取り出し腹に収めた。仕事中はエプロンもしているしそもそも今日は服が汚れることはしていないのだが、上着が要らないように厚手のトレーナーに着替えた。ついでにズボン、靴下も変えて、貰った菓子折りが入った紙袋にウエットティッシュと新しいタオルを突っ込んで家を出た。
 エレベーターを待っている間にもしかしたら要るかもしれないと、一旦家へ戻り折紙と色鉛筆を紙袋に入れ再度玄関を施錠した。
 東園の住所を地図アプリに入れ、乗り換えを確認する。まずは徒歩で最寄り駅まで行って乗車し、それから一度乗り換えの必要があるようだ。
 電車を使い慣れていないから、少し不安だ。しかも東園家があるのは高級住宅地として、テレビなどでよく目にする有名な場所だが、陽向は行ったことはもちろん、通りかかったこともない。
 最寄り駅までのドラッグストアで額に貼る子供用冷却シートとスポーツドリンクを、その二軒隣のコンビニで桃ゼリーとプリンを買った。乗り換え駅までの切符を買い改札を通ると陽向は乗り場へ向かった。
 天井からぶら下がった電光掲示板が示す通りのプラットホームに来てみたものの初めて使うので合っているのか少し不安だ。案内通りだから大丈夫とひとりごち、列に並び電車を待つ。
 目的の電車が来たのでほっとしたのもつかの間、すでにすし詰め状態の車内に驚く。これ以上乗っていいのだろうか。普段使用しない陽向は戸惑うが、背後から押されあれよあれよという間に電車内部に押し込まれていた。密着どころではなく周囲と押しつ押されつしながらやっと立っている状態だ。
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