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運命のつがいと初恋 第4章
⑦
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いつ眠ったのか、陽向は東園の寝室で目覚めた。
カーテンの隙間から陽の光がさしていて、ベッドから床まで光で線を描いている。
広いベッドに一人きりだ。
東園はもう出勤したのか、あるいは凛子を迎えに行ったのか。
壁掛け時計で時間を確認する、もう10時になるところだった。
また随分ゆっくり寝てしまった。
暖かい部屋から廊下へ出ると、裸足の足先が冷気で震えた。
付近に人の気配が感じられない。
階段から覗く一階にも誰もいないようだ。
三浦が来る時間は過ぎているけれど、と思いながら陽向はVネックのセーターとジーンズに着替え階下に降りた。
やはりそこには誰もいなかった。しかしダイニングテーブルにはランチョンマットが敷いてあり、上にベーコンと目玉焼き、トマトとアボガドのサラダ、小皿にクロワッサンと、朝食は準備済みだ。
三浦じゃなければ東園だろうか。東園にこれが作れるものかな、と思う。
もしかして陽向が寝ている間に智紀達が来たのだろうか。
首を傾げつつコーヒーメーカーをセットした陽向は連絡が来ていないか確認することにした。昨日の事を誰かにちゃんと教えて欲しかった。
スマホを見ると東園から数件届いていた。
そのメッセージには、東園は出勤していること、凛子は智紀達と一緒にいること、今回の件や今後について話し合うあいだ、智紀達の住む東園の実家にしばらく母親とともに凛子も滞在することが書かれていた。
凛子の顔を見られるのは当分先になりそうだが、とにかく凛子が安全な場所にいると分かってほっとした。
ふと、凛子がいないのに、シッターである自分がここにいていいのかなと思う。東園が帰ったらこちらも話し合い、かな。
とりあえず、腹ごしらえだ。
凛子が無事だと分かって陽向にようやく食欲が戻ってきた。
誰が作ってくれたのか分からないがせっかくあるのだから頂こうと思う。
ぴぴとコーヒーメーカーが終了の音を立てた。陽向はううんと伸びをしながらマグカップをカップボードから取り出した。
朝食を終え、やることもないから掃除洗濯をこなしていく。
昼近くになっても三浦からの連絡はなかった。昨日は遅くまでここにいてくれたし、陽向が連絡するとこちらに来るよう催促しているようで申し訳なく、連絡をしなかった。
しかし三時を過ぎる頃になると、買い物など家事の必要事項がありそうな気がして、ようやく陽向は三浦に連絡を取ることにした。
三浦の返信は早く、見ると三浦は今、東園の実家にいるという。
そちらで凛子の世話をしているとのことだった。
文面を見て、陽向は急いで三浦に電話を掛けた。
安全なのは分かっているが凛子がどうしているか、やはり気になるのだ。三浦は直ぐに出て、凛子の様子を話してくれた。そのそばで「だれ、だれ?」と聞いている凛子の無邪気な声が聞こえてきた。
「りんちゃんそこにいるんですか?」
「いますよ、ちょっと待って下さいね」
保留にせず話しているので凛子に「ひーちゃんからですよ」と優しく語りかける三浦の声もちゃんと耳に届いている。
陽向の耳に聞こえてくる凛子の声は張りがあり、元気なんだなと想像できる。
感極まって涙目になってきた。誰もいなくて良かったと思う。
「ひーた、」
「りんちゃん、元気かな?」
「うん!」
「そうか、良かった」
元気な返事にとうとうぽろりと涙がこぼれた。
凛子は昨日、おばちゃんと車に乗って、知らないおうちに着いて、遊んでいたら誠二郎と智紀が迎えに来てくれた、と陽向に教えてくれた。
凛子の話ぶりでは楽しく過ごせたようだ。
拐っていったのが母親じゃなかった可能性もあるが、凛子は昨日から一緒にいる「おばちゃん」について怖い、嫌いといった悪感情は抱いていないようだった。
凛子が拐われたことで陽向は精神的にも体力的にもすり減ったが、凛子がそれで母親に恐怖を感じていないようで良かった。拐われた自覚もなくて良かった。いつの日か凛子と両親が一緒に暮らせるようになれば嬉しいから。
陽向としては、凛子がいつも通りだと確認出来たら十分なので凛子に「三浦さんに代わってくれるかな?」と伝えた。
「りんちゃんが元気そうでほっとしました」
「私もこちらに来てほっとしました。智紀様が三田村君に申し訳ないことをしたとおっしゃっていましたよ」
三浦の声も昨日より明るい気がする。
「そんな、僕の油断もありますので。あ、三浦さんこれからずっとそちらですか?」
「あ、いえいえ。たまたま智紀様が外出の予定があるとのことで急遽こちらに呼ばれました。明日は通常通りの予定です」
こちらは元々、人員が多いですからね、と三浦がのんびりした調子で言った。
凛子は絢子と打ち解けているのだろうか、二人の様子が気になるけれど、第三者が口を挟むべき事じゃない気がして言葉を飲んだ。
「そうなんですね。あ、何か買い出ししておくものありますか?」
「なにもありませんよ」
三浦はやはり今朝こちらに立ち寄ったらしく、買いものの必要はないそうだ。
今晩だけ夕食を陽向さんにお願いしてもいいかしら、と聞かれ陽向は二つ返事で引き受けた。
しかし冷蔵庫の食材で簡単に出来る料理、のレクチャーを受けたが工程が長く、とても初心者の陽向には作れそうにないかった。
ながながと説明を受けたので言い出しにくくなったが陽向は小さく「多分無理です」と白旗を揚げ、結局カレーを作ることに落ち着いた。
カーテンの隙間から陽の光がさしていて、ベッドから床まで光で線を描いている。
広いベッドに一人きりだ。
東園はもう出勤したのか、あるいは凛子を迎えに行ったのか。
壁掛け時計で時間を確認する、もう10時になるところだった。
また随分ゆっくり寝てしまった。
暖かい部屋から廊下へ出ると、裸足の足先が冷気で震えた。
付近に人の気配が感じられない。
階段から覗く一階にも誰もいないようだ。
三浦が来る時間は過ぎているけれど、と思いながら陽向はVネックのセーターとジーンズに着替え階下に降りた。
やはりそこには誰もいなかった。しかしダイニングテーブルにはランチョンマットが敷いてあり、上にベーコンと目玉焼き、トマトとアボガドのサラダ、小皿にクロワッサンと、朝食は準備済みだ。
三浦じゃなければ東園だろうか。東園にこれが作れるものかな、と思う。
もしかして陽向が寝ている間に智紀達が来たのだろうか。
首を傾げつつコーヒーメーカーをセットした陽向は連絡が来ていないか確認することにした。昨日の事を誰かにちゃんと教えて欲しかった。
スマホを見ると東園から数件届いていた。
そのメッセージには、東園は出勤していること、凛子は智紀達と一緒にいること、今回の件や今後について話し合うあいだ、智紀達の住む東園の実家にしばらく母親とともに凛子も滞在することが書かれていた。
凛子の顔を見られるのは当分先になりそうだが、とにかく凛子が安全な場所にいると分かってほっとした。
ふと、凛子がいないのに、シッターである自分がここにいていいのかなと思う。東園が帰ったらこちらも話し合い、かな。
とりあえず、腹ごしらえだ。
凛子が無事だと分かって陽向にようやく食欲が戻ってきた。
誰が作ってくれたのか分からないがせっかくあるのだから頂こうと思う。
ぴぴとコーヒーメーカーが終了の音を立てた。陽向はううんと伸びをしながらマグカップをカップボードから取り出した。
朝食を終え、やることもないから掃除洗濯をこなしていく。
昼近くになっても三浦からの連絡はなかった。昨日は遅くまでここにいてくれたし、陽向が連絡するとこちらに来るよう催促しているようで申し訳なく、連絡をしなかった。
しかし三時を過ぎる頃になると、買い物など家事の必要事項がありそうな気がして、ようやく陽向は三浦に連絡を取ることにした。
三浦の返信は早く、見ると三浦は今、東園の実家にいるという。
そちらで凛子の世話をしているとのことだった。
文面を見て、陽向は急いで三浦に電話を掛けた。
安全なのは分かっているが凛子がどうしているか、やはり気になるのだ。三浦は直ぐに出て、凛子の様子を話してくれた。そのそばで「だれ、だれ?」と聞いている凛子の無邪気な声が聞こえてきた。
「りんちゃんそこにいるんですか?」
「いますよ、ちょっと待って下さいね」
保留にせず話しているので凛子に「ひーちゃんからですよ」と優しく語りかける三浦の声もちゃんと耳に届いている。
陽向の耳に聞こえてくる凛子の声は張りがあり、元気なんだなと想像できる。
感極まって涙目になってきた。誰もいなくて良かったと思う。
「ひーた、」
「りんちゃん、元気かな?」
「うん!」
「そうか、良かった」
元気な返事にとうとうぽろりと涙がこぼれた。
凛子は昨日、おばちゃんと車に乗って、知らないおうちに着いて、遊んでいたら誠二郎と智紀が迎えに来てくれた、と陽向に教えてくれた。
凛子の話ぶりでは楽しく過ごせたようだ。
拐っていったのが母親じゃなかった可能性もあるが、凛子は昨日から一緒にいる「おばちゃん」について怖い、嫌いといった悪感情は抱いていないようだった。
凛子が拐われたことで陽向は精神的にも体力的にもすり減ったが、凛子がそれで母親に恐怖を感じていないようで良かった。拐われた自覚もなくて良かった。いつの日か凛子と両親が一緒に暮らせるようになれば嬉しいから。
陽向としては、凛子がいつも通りだと確認出来たら十分なので凛子に「三浦さんに代わってくれるかな?」と伝えた。
「りんちゃんが元気そうでほっとしました」
「私もこちらに来てほっとしました。智紀様が三田村君に申し訳ないことをしたとおっしゃっていましたよ」
三浦の声も昨日より明るい気がする。
「そんな、僕の油断もありますので。あ、三浦さんこれからずっとそちらですか?」
「あ、いえいえ。たまたま智紀様が外出の予定があるとのことで急遽こちらに呼ばれました。明日は通常通りの予定です」
こちらは元々、人員が多いですからね、と三浦がのんびりした調子で言った。
凛子は絢子と打ち解けているのだろうか、二人の様子が気になるけれど、第三者が口を挟むべき事じゃない気がして言葉を飲んだ。
「そうなんですね。あ、何か買い出ししておくものありますか?」
「なにもありませんよ」
三浦はやはり今朝こちらに立ち寄ったらしく、買いものの必要はないそうだ。
今晩だけ夕食を陽向さんにお願いしてもいいかしら、と聞かれ陽向は二つ返事で引き受けた。
しかし冷蔵庫の食材で簡単に出来る料理、のレクチャーを受けたが工程が長く、とても初心者の陽向には作れそうにないかった。
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