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第14話:揺らぐ信頼、交差する想い
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舞踏会の翌朝、王都はまるで何事もなかったかのように穏やかな光に包まれていた。
だが、クラリス・エルフォードの胸の内は、未だ静まらぬ波に揺れていた。
毒を盛られかけた事件――
そして、そこに「カースウェル家の使用人」が関与していたという事実。
レオンの真剣な表情。
そして、“真実を突き止める”と誓った声が、何度も耳に蘇る。
(信じたい。……けれど、私の立場では“情”だけで判断はできない)
そのとき、ノックの音が響いた。
「クラリス嬢、カースウェル家の令息がお見えです」
「……通して」
しばらくして執務室に入ってきたレオン・カースウェルは、昨夜よりも一段と憔悴していた。
「調べがついた。……僕の父ではなく、叔父が独断で動いた。使用人を金で買収し、僕の婚約を潰すつもりだったらしい」
「“あなたを守るために、私を潰す”……という論理ね。貴族社会では、よくあること」
クラリスの言葉には冷たさがあった。だがそれは、彼を拒絶するためのものではない。
自身を守るための鎧だった。
「家の名に泥を塗ることになるが、僕は叔父を告発する。家名を守ることより、君との信頼を守るほうが大事だから」
「……それは、あなたにとって大きな決断でしょうね」
「君が、僕に“真実を突き止めてほしい”と望んだなら、それに応えたい。……それが、僕の誇りなんだ」
レオンの言葉に、クラリスの胸が締めつけられた。
(ああ、どうして――こんなにもまっすぐな人を、“疑わなければならない”のかしら)
けれど彼女は、静かに扇子を閉じて言う。
「あなたがすべてを正したその時、もう一度……“一市民”として、私の前に立ってください。私はそれを、受け入れる準備ができているつもりです」
レオンは驚きに目を見開き――ゆっくりと、安堵の笑みを浮かべた。
「……必ず戻る。約束する」
その背中が去ったあと、クラリスは静かに椅子に沈んだ。
――と、そのとき。扉の外から控えていたノアが、無言で入ってくる。
「全部、聞いていたの?」
「ああ。でも、君は間違ってない。……そして、正直に言うよ。あの場にいた僕は、レオンよりずっと臆病だった」
「ノア……?」
「君が“どこまで行くのか”を、見ていたかった。けれど、もうそれだけじゃいけない気がしてる。……君に手を伸ばしたいと、心から思ってる」
その声は真っ直ぐで、どこまでも優しかった。
クラリスは、胸の奥が熱くなるのを感じながら――目をそらした。
「……ずるいわ、あなたたち。どうしてどちらも、こんなに誠実なの?」
心が、揺れる。
信頼とは、こんなにも重く、こんなにも温かいものだったのか――そう痛感しながら。
(私は、きっともう、孤独ではない)
だが、クラリス・エルフォードの胸の内は、未だ静まらぬ波に揺れていた。
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「……それは、あなたにとって大きな決断でしょうね」
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レオンの言葉に、クラリスの胸が締めつけられた。
(ああ、どうして――こんなにもまっすぐな人を、“疑わなければならない”のかしら)
けれど彼女は、静かに扇子を閉じて言う。
「あなたがすべてを正したその時、もう一度……“一市民”として、私の前に立ってください。私はそれを、受け入れる準備ができているつもりです」
レオンは驚きに目を見開き――ゆっくりと、安堵の笑みを浮かべた。
「……必ず戻る。約束する」
その背中が去ったあと、クラリスは静かに椅子に沈んだ。
――と、そのとき。扉の外から控えていたノアが、無言で入ってくる。
「全部、聞いていたの?」
「ああ。でも、君は間違ってない。……そして、正直に言うよ。あの場にいた僕は、レオンよりずっと臆病だった」
「ノア……?」
「君が“どこまで行くのか”を、見ていたかった。けれど、もうそれだけじゃいけない気がしてる。……君に手を伸ばしたいと、心から思ってる」
その声は真っ直ぐで、どこまでも優しかった。
クラリスは、胸の奥が熱くなるのを感じながら――目をそらした。
「……ずるいわ、あなたたち。どうしてどちらも、こんなに誠実なの?」
心が、揺れる。
信頼とは、こんなにも重く、こんなにも温かいものだったのか――そう痛感しながら。
(私は、きっともう、孤独ではない)
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