勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

文字の大きさ
142 / 398

おっさん、推挙される

しおりを挟む

「あらん。
 災難だったわね、ガリウスちゃん。
 会場にいる方々への弁解はもういいの?」
「ご苦労であった」

 俺が幼女趣味(ロリコン)であるという誤解を解く為、必死に笑顔で挨拶回りをし終えた頃――壁に寄り掛かり一息をついてるとヴィヴィとブルネッロが労わるように声を掛けてきた。
 パーティに参加してるだけあってさすがにいつもの冒険者装備ではない。
 おそらく借り受けたであろう、シックなタキシードを着込んでいる。

「――結構似合ってるんだな、二人とも」
「あら、ありがと」
「うむ。褒められて悪い気はせん」
 
 少しオネエなヴィヴィや厳ついブルネッロにそのセンスはどうなのかと思ったが……意外や意外、気負いのない自然体で着こなしていた。
 S級ともなればこういった権力者の絡む公式行事に呼ばれる事も多い。
 マナーが不得手です、常識は知りません。の脳筋バカでは務まらない故か。
 そんな事をつらつらと考えてると不思議そうにヴィヴィが尋ねてきた。

「どうしたの、ガリウスちゃん?」
「あ、ああ。
 すまない――少し惚けてた。弁解の件だったな。
 勿論、会場の方々も分かってくれたよ。
 まあ本気にしてた人がいないだけかもしれんが」
「もし本気だったら結構妬けちゃうわ。
 けど――アタシはすぐ誤解だって気付いたからね。
 ちゃんと周囲にもフォローしておいたわ」
「同感である」
「マジか。
 それは凄い助かるな」
「飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭パーティ【気紛れ明星】ですもの。
 些細な事をあげつらって面白がってるのよ、みんな。
 ただ……気を付けなさい」
「え?」
「やっかみは災厄を招くわ。
 妬み、嫉み、僻み。
 どこでトラブルになるか分からない」
「世俗には面倒な輩が多いのでな。
 吾輩も筋肉で解決できないものには弱い」
「S級の二人でもそうなのか」
「S級だからこそ、よ。
 立場とかしがらみだとかに縛れたりして、ホント面倒になっていくの。
 だからこそ――今の貴方達が眩しいし羨ましいわ。
 気の向くまま好きな事に取り組んで表彰されるって最高じゃない!
 借りもあったけど、貴方達を手伝いたいって本心から思ったのも確かよ。
 残念ながら――今回はあまりお役に立てなかったけどね」
「申し訳ない」
「何を言ってるんだか。
 二人が手伝ってくれなかったらこんな迅速にダンジョンを制覇出来なかった。
 むしろ後手に回って無垢な人々に危害が及んだかもしれない。
 そういった意味では真に表彰されるべきは――二人も同様だろう?」
「ん~やっぱりそうきたか。
 さすがアタシの見込んだ男ね、ガリウスちゃん。
 ほらね――ブルネッロ。
 ちゃんと言った通りだったでしょう?」
「――うむ。
 増長の余地はなく謙虚な対応。
 ダンジョンでの活躍もしっかり見届けさせてもらった。
 人格、能力共にこれなら問題あるまい」
「なら賛成ね」
「? 何の話だ」
「ああ――今回の功労を踏まえてね。
 冒険者ギルドに貴方達を推挙しようと思ったのよ」
「推挙?」
「そっ――S級の」
「なっ!?」
「驚いた?」
「そりゃ驚くさ」
「ウフフ……素直ね。
 そういえば――S級昇格への最低条件は知ってるかしら?」
「いや」
「それはね、現S級二人以上の推薦と災厄クラスダンジョンの討伐を二カ所。
 勿論ギルドに対する奉納点も必要だけど……一番面倒なのはこの二つね。
 この内、貴方達は一つをクリアした訳。
 残る一つも――天空ダンジョン【降魔の塔】が先程S級ダンジョンに認定された以上、あと一つ。それを突破すれば晴れてS級の仲間入りよ」
「俺が……俺達がS級に!?」

 伝説といってもいいEXランクを除く、冒険者の頂点S級ランク。
 幼い頃に夢見た立場に自分達が肉薄している。その事実に驚きを隠せない。

「ほお~何やら面白い話をしておるのぅ」
「ふむ、興味深いな」

 そんな俺達の会話に割って入ってきたのは、ハイドラントを護衛に従えたレイナとパーティの主催者の一人ノービス伯爵だ。
 グラスを片手に上機嫌で話し掛けてくるレイナ。
 いつもと変わらぬ姫巫女装束なのにこういった場所だと見栄えがいいな。

「ガリウスよ。
 此度の功績、まことに大義であった。
 この都市に住まう者として、いくら感謝を述べても足りぬ」
「いや、そんな大袈裟な。
 俺達は頼まれた事を全うしただけだ」
「追加で褒美を取らそうと思うのじゃが――」
「? 既に報酬は頂いただろう。
 さっきハイドラントから手続きが出来たと伺ったが」

 俺達が今回の報酬を基にレイナにお願いしたもの。
 それは魔導力を主軸にした風車だった。
 精霊都市の優れた建築技術を以てすれば一週間もせずに風車が完成するらしい。
 開拓村の根本的な労働力不足解消の為、風車が欲しいとはよく相談役のスコットとは話していた。
 風車があれば小麦を挽けるようになるし24時間その動力を活用できる。
 村の発展に益々役立つはずだ。
 
「ほらな、伯爵。
 これだけの偉業を為して「依頼だから」と済ます。
 そうして得た報酬は開拓村の発展の為に投資するときたものだ。
 こやつはやはり変わり者よ」
「同意せざるを得ないな。
 あまり商売上手ではない。
 ただ――我欲に塗れた者より好ましいと思う」
「ならば例の件、話してみては?」
「ああ、確かに。
 こやつなら間違いあるまい。
 なあ、ガリウスよ――」
「何でしょうか、ノービス伯爵?」
「そこのS級達との会話は余も聞いていた。
 S級昇格の為には災害クラスのダンジョン制覇が必要なのだろう?」
「ええ、そうみたいです」
「ならば挑んでみるか?
 領主代行している余が本来納める領地に眠る魔境。
 天空ダンジョンと対を為す、海深くに眠る海底ダンジョン――【静寂の祠】に」
「海底ダンジョン!?」

 初めて聞くその響きに――
 俺は本日何度目か分からぬ驚きの声を上げるのだった。
 
  


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

処理中です...