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第49話 ようこそ、ブラック企業へ 〜本日の面接官は怪異です〜
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翌朝。
スキマが報告に来たのは、朝食の味噌汁を啜っている時だった。
「……見つけた」
畳の隙間から、白い顔がのぞく。
俺は箸を置いた。
「報告」
「……ミコシバ・エージェント。表向きは経営コンサル。実態は裏の仕事の斡旋」
スキマの声は、相変わらず囁くように低い。
だが、どこか興奮しているようにも聞こえた。
「所在地は?」
「……都内。新宿区。雑居ビルの五階」
俺は、茶を啜った。
新宿か。
「どうやって調べた」
「……隙間は、どこにでもある」
スキマが、かすかに笑った気がした。
「……壁と壁の間。床と床の間。この国の建物には、必ず隙間がある。そこから、覗ける」
なるほど。
物理的に移動する必要はない。
全国どこでも、隙間さえあれば覗き見ができる。
諜報員としては最高の能力だ。
「役員構成は」
「……代表取締役、御子柴。取締役、二名。どちらも幽霊」
幽霊というのは、実在しない人物という意味だろう。
ペーパーカンパニーに近い。
税務調査が入れば一発でアウトだ。
「……面白いもの、見つけた」
スキマが、懐から紙の束を取り出した。
プリントアウトされた書類だ。
俺は、それを手に取った。
「これは」
「……御子柴と、壊原の契約書。報酬は成功報酬。対象は『株式会社アマガミ・ラボの解体』」
なるほど。
金の流れが明確だ。
これなら、警察でも公安でも動ける。
「どうやって手に入れた」
「……デスクの引き出し。隙間から覗いて、撮った」
スキマが、小型カメラを見せた。
隙間から見えるものは、全て記録できる。
便利な能力だ。
「もう一つ」
スキマが、別の写真を差し出した。
札の画像だ。梵字が三つ書かれている。
「……同じ引き出しにあった。『先生』の置き土産」
「これは?」
「……使役怪異の呪印を消す札」
俺は、写真を見つめた。
「なぜ、こんなものが御子柴のデスクに」
「……『先生』は、最初から疑っていた。いつか捨てられると」
スキマの目が、どこか遠くを見ていた。
「……だから、保険をかけた。自分が作った怪異を、自分で止められるように。御子柴が使役怪異を使う時、必ずこの引き出しを開ける」
なるほど。
あの呪術師、御子柴を信用していなかったわけだ。
捨てられる前に、復讐の準備をしていた。
因果応報だ。
「……御子柴は気づいていない。書類の下に隠してあった」
スキマの目が、冷たく光った。
「札の実物は」
「……取れなかった。引き出しの隙間が狭くて」
そうか。
だが、画像があれば十分だ。
梵字の配置さえ分かれば、こちらで再現できる。
「ミレイ」
台所から、ミレイが顔を出した。
「はい」
「この札、作れるか」
ミレイが、写真を覗き込んだ。
マスクの下で、何かを呟いている。
「……できます。材料は、土蔵にあるもので足ります」
「頼む」
「三十分ください」
ミレイが、土蔵に向かった。
「よくやった」
スキマが、かすかにうなずいた。
俺は、茶碗を置いた。
情報は揃った。
あとは、どう動くか。
新宿まで出向くのは、リスクが高い。
依代の制限時間は1時間。
往復だけで時間切れだ。
なら、答えは一つ。
「スキマ。御子柴の連絡先は分かるか」
「……名刺がある」
そうだ。
あの男は、最初に名刺を置いていった。
「御子柴に連絡を取れ。『直接話がしたい。うちに来い』と」
スキマの目が、わずかに見開かれた。
「……呼ぶの?」
「ああ。敵を自分の領域に引き込む。それが、一番確実だ」
俺は、立ち上がった。
「あいつは焦っている。壊原は失敗した。情報源の宮脇も捕まった」
窓の外を見る。
朝日が、庭を照らしていた。
「追い詰められた人間は、判断を誤る。こっちから誘えば、必ず来る」
スキマが、壁の隙間に溶け込んでいく。
「……分かった。連絡する」
俺は、縁側に向かった。
迎撃の準備だ。
◇
昼過ぎ。
スキマから報告があった。
「……御子柴、来る。午後三時。護衛と使役怪異を連れて」
予想通りだ。
追い詰められた人間は、最後の賭けに出る。
御子柴は、直接乗り込んで決着をつけるつもりだろう。
俺は、縁側に座っていた。
全員が、庭に集まっている。
「旦那。本当に来るのかい」
ハチさんが、腕を組んで門柱の横に立っていた。
「来る」
「ぽぽぽ。やっと、あたいの出番だねえ」
ハチさんの目が、ぎらりと光った。
190cmの長身が、わずかに揺れている。
待ちきれない、という様子だ。
「ミレイ」
「はい」
ミレイが、裁ち鋏を肩に担いで近づいてきた。
懐には、先ほど作った札が入っている。
「お前は俺の横にいろ。最後の切り札だ」
「分かりました」
ミレイの目が、冷たく光った。
口元のマスクの下で、何かが動いた気がした。
「タエさん」
「あいよ」
タエさんが、門の内側に立った。
「逃げる奴がいたら、追ってくれ」
「任せときな。この足から逃げられる人間はいないよ」
タエさんが、足踏みをした。
地面が、かすかに震えた。
「ユキ」
「はい」
ユキが、縁側の端に座った。
白い着物の袖から、冷気が漂っている。
「足止めを頼む」
「お任せください。逃げ道は、全て凍らせます」
ユキの目が、氷のように澄んでいる。
「タマ」
「にゃ」
タマが、欠伸をしながら丸くなっていた。
「お前は好きにしろ」
「にゃ」
タマは、そのまま目を閉じた。
まあ、いい。あいつは気まぐれだ。
「ザシキ」
座敷童子が、縁側の下からひょっこりと顔を出した。
「結界は」
「だいじょうぶ。おきゃくさん、いっぱいふこうになる」
ザシキが、にこにこと笑った。
無邪気な笑顔だが、内容は物騒だ。
「黒田」
「はい!」
黒田が、農具小屋から駆けてきた。
「お前は隠れてろ」
「え? でも、社長」
「人間同士の喧嘩になったら、お前の出番だ。それまでは待機」
「了解です!」
黒田が、敬礼をして農具小屋に戻っていった。
あいつは、本当に素直だ。
俺は、桐生に連絡を入れた。
午後三時に、うちに来客がある。
不法侵入の現行犯で逮捕してくれ。
桐生は、ため息をついて了承した。
ただし、到着は三時半になると言っていた。
山道が遠いらしい。
問題ない。
三十分あれば、十分だ。
準備は整った。
あとは、待つだけだ。
◇
午後二時五十五分。
黒い高級車が、山道を登ってきた。
門の前で停まる。
運転席から、黒いスーツの男が降りてきた。
続いて、助手席から。後部座席から。
全部で四人。
そして、最後に。
御子柴が、車から降りた。
高級そうなスーツに、オールバックの髪。
だが、以前会った時とは様子が違う。
目の下に隈がある。頬がこけている。
どこか焦点が合っていない。
追い詰められた獣の目だ。
その後ろに、三体の人形が立っていた。
目に光がない。動きが機械的だ。
使役怪異。
「雨神さん。お招きいただき、光栄です」
御子柴が、門の前で立ち止まった。
声は平静を装っているが、唇の端がわずかに震えている。
「入れよ」
俺は、縁側から声をかけた。
「わざわざ呼んだんだ。話がある」
御子柴の目が、わずかに細くなった。
油断している。
自分の使役怪異がいれば、勝てると思っている。
「では、お邪魔します」
御子柴が、門をくぐった。
護衛たちが続く。
使役怪異も。
その瞬間。
ザシキの結界が、発動した。
「うわっ」
護衛の一人が、石に躓いた。
別の一人が、足を滑らせた。
三人目は、木の枝が目に入った。
「な、何だ」
護衛たちが、周囲を見回す。
福の結界。
この土地に根を張った者には幸運を。
侵入者には、不運を。
「気にするな。古い土地だから、足元が悪い」
俺は、茶を啜った。
御子柴が、庭を見回した。
ミレイが、俺の横に立っている。
ハチさんが、門柱の横に立っている。
タエさんが、門の内側に立っている。
ユキが、縁側の端に座っている。
「ずいぶんと、お仲間が揃っていますね」
「従業員だ。うちは、アットホームな職場でな」
俺は、立ち上がった。
「御子柴。単刀直入に言う」
俺は、契約書の写しを見せた。
「壊原との契約書だ。お前が、うちの会社を潰そうとした証拠」
御子柴の顔から、血の気が引いた。
唇が紫色に変わっていく。
「どこで、それを」
「企業秘密だ」
俺は、契約書を懐にしまった。
「これと、宮脇の証言で、お前は終わりだ。詐欺、恐喝、業務妨害。他にもいろいろ出てくるだろう」
御子柴の目が、揺れた。
焦点が定まらない。
追い詰められた人間特有の、危険な目つきだ。
「なるほど。それで、私を呼び出したわけですか」
「ああ。投降するなら、今のうちだ」
「投降?」
御子柴が、笑い出した。
乾いた、どこか壊れたような笑い方だった。
正気を保っているのかすら怪しい。
「雨神さん。あなたは、勘違いをしている」
御子柴が、指を鳴らした。
使役怪異が、動き出した。
三体の人形が、俺に向かって歩いてくる。
「私が、なぜここに来たと思いますか」
御子柴の声が、裏返った。
「証拠を消しに来たんですよ。あなたも、あなたの会社も、全て消します。事故として処理すれば、誰も疑わない」
護衛たちが、懐から武器を取り出した。
ナイフ。警棒。電撃棒。
「やれ」
御子柴の声が、庭に響いた。
使役怪異が、走り出した。
俺は、ミレイに目配せした。
ミレイが、懐から札を取り出した。
梵字が三つ書かれた、あの札だ。
「止まれ」
ミレイが、札を使役怪異に向けた。
使役怪異の動きが、ぴたりと止まった。
「な」
御子柴の顔が、驚愕に歪んだ。
「何を、した」
「お前が捨てた呪術師の、置き土産だ」
俺は、御子柴を見据えた。
「使役怪異の呪印を消す札。お前のデスクの奥に隠してあった」
三体の使役怪異が、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。
「バカな。『先生』が、そんなものを」
「あいつは、最初からお前を信用していなかった。いつか捨てられると分かっていた」
御子柴の顔が、土気色に変わった。
「捨てた駒に、後ろから刺される。よくある話だ」
「護衛! やれ!」
四人の護衛が、武器を構えて走り出した。
ハチさんが、一歩前に出た。
「ぽぽぽ。やっと、あたいの出番だねえ」
190cmの長身が、護衛たちの前に立ちふさがった。
護衛の一人が、ナイフを振り下ろした。
ハチさんの腕に当たる。
だが、刃が通らない。
「あたいに刃物は効かないよ。知らなかったかい?」
ハチさんが、護衛の腕を掴んだ。
そのまま、軽々と持ち上げる。
「ひ、ひいっ」
護衛が、悲鳴を上げた。
ハチさんは、そのまま護衛を地面に叩きつけた。
別の護衛が、電撃棒を向けた。
だが、その足元が凍りついた。
「動かないでください」
ユキの声が、静かに響いた。
白い指先から、冷気が放たれている。
「逃げても、無駄ですよ」
護衛の足が、完全に凍結した。
動けない。
残りの二人が、門に向かって走り出した。
だが、その前にタエさんが立ちふさがった。
「どこに行くんだい」
タエさんが、一瞬で二人の背後に回り込んだ。
そして、首筋に手刀を落とした。
二人の護衛が、地面に倒れた。
三秒。
四人の護衛が、全員無力化された。
「ひ」
御子柴が、後ずさった。
その顔には、恐怖が浮かんでいる。
「化け物。化け物だ」
「従業員だ」
俺は、御子柴の前に立った。
「お前の負けだ。投降しろ」
御子柴が、懐に手を伸ばした。
銃だろうか。
その時。
黒い影が、御子柴の足元を横切った。
「にゃ」
タマだ。
縁側から降りて、悠々と庭を横断している。
御子柴など、眼中にない様子だ。
ただ、日向ぼっこの場所を変えたかっただけらしい。
だが、その結果。
「なっ」
御子柴が、バランスを崩した。
足がもつれ、銃を抜く手が止まる。
その隙を、ミレイは逃さなかった。
「わたし、きれい?」
ミレイの声が、庭に響いた。
御子柴の動きが、完全に止まった。
口裂け女の問いかけ。
答えるまで、動けない。
御子柴の目が、恐怖で見開かれた。
口が動くが、声が出ない。
「答えてください。わたし、きれい?」
ミレイが、マスクを外した。
裂けた口が、耳まで届いている。
「ひ、ひいいいっ」
御子柴が、絶叫した。
そのまま、腰を抜かして地面に座り込んだ。
◇
三十分後。
山道から、サイレンの音が聞こえてきた。
パトカーが、門の前に停まる。
桐生と、公安の部隊が降りてきた。
御子柴は、まだ地面に座り込んでいた。
ミレイの問いかけへの答えを、まだ絞り出せずにいる。
涙と鼻水で、顔がぐちゃぐちゃだ。
「御子柴。不法侵入、暴行未遂、その他もろもろの容疑で逮捕する」
桐生が、手錠を取り出した。
「き、桐生。貴様、公安が」
「証拠は揃ってる。お前の情報源だった宮脇も、全部吐いた」
桐生が、静かに言った。
「お前が裏で何をしてきたか、全部バレてる。政界のコネクションも、もう終わりだ」
御子柴が、地面に突っ伏した。
その背中が、小刻みに震えている。
「こんな。こんなはずでは」
その時。
農具小屋から、黒田が出てきた。
「あの、社長。出番ですか?」
「いや、もう終わった」
黒田が、御子柴を見下ろした。
その目が、少し複雑そうだった。
「御子柴さん」
黒田の声は、意外と落ち着いていた。
「俺、前の会社であなたの噂を聞いてました。逆らったら終わりだって」
御子柴が、顔を上げた。
涙と鼻水で、顔がぐちゃぐちゃだ。
「でも、今の会社は違うんです」
黒田が、首をかしげた。
「俺が熱出した時、社長は『有給使え』って言ってくれたんです。前の会社じゃ、熱出しても出勤しろって言われてたのに」
黒田が、御子柴を見下ろした。
「それだけで、俺には十分なんですよ」
御子柴が、黒田を見上げた。
何を言っているのか、理解できないという顔だ。
「あなたの会社は、どうでした?」
御子柴の目が、揺れた。
そして、何も答えずに、顔を伏せた。
タエさんが、俺の隣で小さく笑った。
「あの子、言うようになったねえ」
「ああ」
ミレイが、マスクを戻しながら言った。
「でも、黒田さん。有給、本当に使ってくださいね」
「え? いや、まだ仕事が」
「それがブラックなんですよ」
ミレイが、ため息をついた。
桐生が、御子柴に手錠をかけた。
「連行しろ」
部下たちが、御子柴を連れていく。
パトカーに乗り込む直前。
御子柴が、一度だけ振り返った。
「雨神さん」
その声は、もう震えていなかった。
「私を潰しても、何も変わりませんよ。この国には、私のような人間がいくらでもいる」
御子柴の目が、どこか冷めていた。
追い詰められた獣ではなく、諦めた人間の目だ。
「あなたの『従業員』も、いつか同じ目に遭う。そうならないことを、祈っていますよ」
パトカーのドアが閉まった。
俺は、何も答えなかった。
答える必要がなかった。
だが、その言葉は、少しだけ胸に残った。
◇
夕暮れ。
縁側で、茶を啜っていた。
「終わったな」
桐生が、煙草に火をつけた。
「ああ」
「これで、お前への『貸し』は返したことにしていいか」
俺は、少し考えた。
「いいだろう。現行犯で逮捕できたのは、お前のおかげだ」
「お前が誘い出したんだろうが」
桐生が、煙を吐き出した。
「相変わらず、汚い手を使う」
「褒め言葉として受け取っておく」
桐生が、口の端を歪めた。
「お前のところの会社、公安としても注目してる。また何かあったら、連絡しろ」
「何もないことを祈る」
桐生が、パトカーに乗り込んだ。
サイレンを鳴らさずに、山道を下っていく。
俺は、空を見上げた。
夕日が、山の向こうに沈んでいく。
「社長」
ミレイが、隣に座った。
「お疲れ様でした」
「ああ」
俺は、茶を啜った。
「今日の夕飯は、鍋にしましょうか」
ミレイが、小さく笑った。
「ハチさんが、張り切って準備してますよ」
「そうか」
庭では、ハチさんが大きな鍋を運んでいた。
タエさんが、野菜を刻んでいる。
ユキが、冷蔵庫から肉を出している。
ガンさんが、土蔵の前に座っている。
岩の体から放たれる熱が、鍋を温めるのにちょうどいい。
タマが、縁側で丸くなっている。
さっきの活躍が嘘のように、また寝ている。
ザシキが、箸を並べている。
黒田が、炭を運んでいる。
全員が、ここにいる。
怠惰は正義だ。
だが、守るべきものがあるなら、たまには働く。
そう思いながら、俺は立ち上がった。
「手伝うか」
「社長が手伝うと、逆に遅くなりますよ」
「そうか」
俺は、また座った。
ミレイが、喉の奥で小さく音を立てた。
「冗談です。お箸を並べてください」
「分かった」
俺は、ミレイの隣に座り直した。
山の向こうで、夕日が沈んでいく。
古民家の庭に、笑い声が響いていた。
その時。
スキマの声が、畳の隙間から聞こえた。
「……社長」
俺は、箸を止めた。
「どうした」
「……御子柴のオフィス。さっき、誰かが来た」
スキマの目が、暗く光っていた。
「……書類を、全部持ち去った。御子柴より先に」
俺は、茶碗を置いた。
御子柴は、終わった。
だが、御子柴の「上」は、まだ動いている。
怠惰な生活は、もう少し先になりそうだ。
スキマが報告に来たのは、朝食の味噌汁を啜っている時だった。
「……見つけた」
畳の隙間から、白い顔がのぞく。
俺は箸を置いた。
「報告」
「……ミコシバ・エージェント。表向きは経営コンサル。実態は裏の仕事の斡旋」
スキマの声は、相変わらず囁くように低い。
だが、どこか興奮しているようにも聞こえた。
「所在地は?」
「……都内。新宿区。雑居ビルの五階」
俺は、茶を啜った。
新宿か。
「どうやって調べた」
「……隙間は、どこにでもある」
スキマが、かすかに笑った気がした。
「……壁と壁の間。床と床の間。この国の建物には、必ず隙間がある。そこから、覗ける」
なるほど。
物理的に移動する必要はない。
全国どこでも、隙間さえあれば覗き見ができる。
諜報員としては最高の能力だ。
「役員構成は」
「……代表取締役、御子柴。取締役、二名。どちらも幽霊」
幽霊というのは、実在しない人物という意味だろう。
ペーパーカンパニーに近い。
税務調査が入れば一発でアウトだ。
「……面白いもの、見つけた」
スキマが、懐から紙の束を取り出した。
プリントアウトされた書類だ。
俺は、それを手に取った。
「これは」
「……御子柴と、壊原の契約書。報酬は成功報酬。対象は『株式会社アマガミ・ラボの解体』」
なるほど。
金の流れが明確だ。
これなら、警察でも公安でも動ける。
「どうやって手に入れた」
「……デスクの引き出し。隙間から覗いて、撮った」
スキマが、小型カメラを見せた。
隙間から見えるものは、全て記録できる。
便利な能力だ。
「もう一つ」
スキマが、別の写真を差し出した。
札の画像だ。梵字が三つ書かれている。
「……同じ引き出しにあった。『先生』の置き土産」
「これは?」
「……使役怪異の呪印を消す札」
俺は、写真を見つめた。
「なぜ、こんなものが御子柴のデスクに」
「……『先生』は、最初から疑っていた。いつか捨てられると」
スキマの目が、どこか遠くを見ていた。
「……だから、保険をかけた。自分が作った怪異を、自分で止められるように。御子柴が使役怪異を使う時、必ずこの引き出しを開ける」
なるほど。
あの呪術師、御子柴を信用していなかったわけだ。
捨てられる前に、復讐の準備をしていた。
因果応報だ。
「……御子柴は気づいていない。書類の下に隠してあった」
スキマの目が、冷たく光った。
「札の実物は」
「……取れなかった。引き出しの隙間が狭くて」
そうか。
だが、画像があれば十分だ。
梵字の配置さえ分かれば、こちらで再現できる。
「ミレイ」
台所から、ミレイが顔を出した。
「はい」
「この札、作れるか」
ミレイが、写真を覗き込んだ。
マスクの下で、何かを呟いている。
「……できます。材料は、土蔵にあるもので足ります」
「頼む」
「三十分ください」
ミレイが、土蔵に向かった。
「よくやった」
スキマが、かすかにうなずいた。
俺は、茶碗を置いた。
情報は揃った。
あとは、どう動くか。
新宿まで出向くのは、リスクが高い。
依代の制限時間は1時間。
往復だけで時間切れだ。
なら、答えは一つ。
「スキマ。御子柴の連絡先は分かるか」
「……名刺がある」
そうだ。
あの男は、最初に名刺を置いていった。
「御子柴に連絡を取れ。『直接話がしたい。うちに来い』と」
スキマの目が、わずかに見開かれた。
「……呼ぶの?」
「ああ。敵を自分の領域に引き込む。それが、一番確実だ」
俺は、立ち上がった。
「あいつは焦っている。壊原は失敗した。情報源の宮脇も捕まった」
窓の外を見る。
朝日が、庭を照らしていた。
「追い詰められた人間は、判断を誤る。こっちから誘えば、必ず来る」
スキマが、壁の隙間に溶け込んでいく。
「……分かった。連絡する」
俺は、縁側に向かった。
迎撃の準備だ。
◇
昼過ぎ。
スキマから報告があった。
「……御子柴、来る。午後三時。護衛と使役怪異を連れて」
予想通りだ。
追い詰められた人間は、最後の賭けに出る。
御子柴は、直接乗り込んで決着をつけるつもりだろう。
俺は、縁側に座っていた。
全員が、庭に集まっている。
「旦那。本当に来るのかい」
ハチさんが、腕を組んで門柱の横に立っていた。
「来る」
「ぽぽぽ。やっと、あたいの出番だねえ」
ハチさんの目が、ぎらりと光った。
190cmの長身が、わずかに揺れている。
待ちきれない、という様子だ。
「ミレイ」
「はい」
ミレイが、裁ち鋏を肩に担いで近づいてきた。
懐には、先ほど作った札が入っている。
「お前は俺の横にいろ。最後の切り札だ」
「分かりました」
ミレイの目が、冷たく光った。
口元のマスクの下で、何かが動いた気がした。
「タエさん」
「あいよ」
タエさんが、門の内側に立った。
「逃げる奴がいたら、追ってくれ」
「任せときな。この足から逃げられる人間はいないよ」
タエさんが、足踏みをした。
地面が、かすかに震えた。
「ユキ」
「はい」
ユキが、縁側の端に座った。
白い着物の袖から、冷気が漂っている。
「足止めを頼む」
「お任せください。逃げ道は、全て凍らせます」
ユキの目が、氷のように澄んでいる。
「タマ」
「にゃ」
タマが、欠伸をしながら丸くなっていた。
「お前は好きにしろ」
「にゃ」
タマは、そのまま目を閉じた。
まあ、いい。あいつは気まぐれだ。
「ザシキ」
座敷童子が、縁側の下からひょっこりと顔を出した。
「結界は」
「だいじょうぶ。おきゃくさん、いっぱいふこうになる」
ザシキが、にこにこと笑った。
無邪気な笑顔だが、内容は物騒だ。
「黒田」
「はい!」
黒田が、農具小屋から駆けてきた。
「お前は隠れてろ」
「え? でも、社長」
「人間同士の喧嘩になったら、お前の出番だ。それまでは待機」
「了解です!」
黒田が、敬礼をして農具小屋に戻っていった。
あいつは、本当に素直だ。
俺は、桐生に連絡を入れた。
午後三時に、うちに来客がある。
不法侵入の現行犯で逮捕してくれ。
桐生は、ため息をついて了承した。
ただし、到着は三時半になると言っていた。
山道が遠いらしい。
問題ない。
三十分あれば、十分だ。
準備は整った。
あとは、待つだけだ。
◇
午後二時五十五分。
黒い高級車が、山道を登ってきた。
門の前で停まる。
運転席から、黒いスーツの男が降りてきた。
続いて、助手席から。後部座席から。
全部で四人。
そして、最後に。
御子柴が、車から降りた。
高級そうなスーツに、オールバックの髪。
だが、以前会った時とは様子が違う。
目の下に隈がある。頬がこけている。
どこか焦点が合っていない。
追い詰められた獣の目だ。
その後ろに、三体の人形が立っていた。
目に光がない。動きが機械的だ。
使役怪異。
「雨神さん。お招きいただき、光栄です」
御子柴が、門の前で立ち止まった。
声は平静を装っているが、唇の端がわずかに震えている。
「入れよ」
俺は、縁側から声をかけた。
「わざわざ呼んだんだ。話がある」
御子柴の目が、わずかに細くなった。
油断している。
自分の使役怪異がいれば、勝てると思っている。
「では、お邪魔します」
御子柴が、門をくぐった。
護衛たちが続く。
使役怪異も。
その瞬間。
ザシキの結界が、発動した。
「うわっ」
護衛の一人が、石に躓いた。
別の一人が、足を滑らせた。
三人目は、木の枝が目に入った。
「な、何だ」
護衛たちが、周囲を見回す。
福の結界。
この土地に根を張った者には幸運を。
侵入者には、不運を。
「気にするな。古い土地だから、足元が悪い」
俺は、茶を啜った。
御子柴が、庭を見回した。
ミレイが、俺の横に立っている。
ハチさんが、門柱の横に立っている。
タエさんが、門の内側に立っている。
ユキが、縁側の端に座っている。
「ずいぶんと、お仲間が揃っていますね」
「従業員だ。うちは、アットホームな職場でな」
俺は、立ち上がった。
「御子柴。単刀直入に言う」
俺は、契約書の写しを見せた。
「壊原との契約書だ。お前が、うちの会社を潰そうとした証拠」
御子柴の顔から、血の気が引いた。
唇が紫色に変わっていく。
「どこで、それを」
「企業秘密だ」
俺は、契約書を懐にしまった。
「これと、宮脇の証言で、お前は終わりだ。詐欺、恐喝、業務妨害。他にもいろいろ出てくるだろう」
御子柴の目が、揺れた。
焦点が定まらない。
追い詰められた人間特有の、危険な目つきだ。
「なるほど。それで、私を呼び出したわけですか」
「ああ。投降するなら、今のうちだ」
「投降?」
御子柴が、笑い出した。
乾いた、どこか壊れたような笑い方だった。
正気を保っているのかすら怪しい。
「雨神さん。あなたは、勘違いをしている」
御子柴が、指を鳴らした。
使役怪異が、動き出した。
三体の人形が、俺に向かって歩いてくる。
「私が、なぜここに来たと思いますか」
御子柴の声が、裏返った。
「証拠を消しに来たんですよ。あなたも、あなたの会社も、全て消します。事故として処理すれば、誰も疑わない」
護衛たちが、懐から武器を取り出した。
ナイフ。警棒。電撃棒。
「やれ」
御子柴の声が、庭に響いた。
使役怪異が、走り出した。
俺は、ミレイに目配せした。
ミレイが、懐から札を取り出した。
梵字が三つ書かれた、あの札だ。
「止まれ」
ミレイが、札を使役怪異に向けた。
使役怪異の動きが、ぴたりと止まった。
「な」
御子柴の顔が、驚愕に歪んだ。
「何を、した」
「お前が捨てた呪術師の、置き土産だ」
俺は、御子柴を見据えた。
「使役怪異の呪印を消す札。お前のデスクの奥に隠してあった」
三体の使役怪異が、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。
「バカな。『先生』が、そんなものを」
「あいつは、最初からお前を信用していなかった。いつか捨てられると分かっていた」
御子柴の顔が、土気色に変わった。
「捨てた駒に、後ろから刺される。よくある話だ」
「護衛! やれ!」
四人の護衛が、武器を構えて走り出した。
ハチさんが、一歩前に出た。
「ぽぽぽ。やっと、あたいの出番だねえ」
190cmの長身が、護衛たちの前に立ちふさがった。
護衛の一人が、ナイフを振り下ろした。
ハチさんの腕に当たる。
だが、刃が通らない。
「あたいに刃物は効かないよ。知らなかったかい?」
ハチさんが、護衛の腕を掴んだ。
そのまま、軽々と持ち上げる。
「ひ、ひいっ」
護衛が、悲鳴を上げた。
ハチさんは、そのまま護衛を地面に叩きつけた。
別の護衛が、電撃棒を向けた。
だが、その足元が凍りついた。
「動かないでください」
ユキの声が、静かに響いた。
白い指先から、冷気が放たれている。
「逃げても、無駄ですよ」
護衛の足が、完全に凍結した。
動けない。
残りの二人が、門に向かって走り出した。
だが、その前にタエさんが立ちふさがった。
「どこに行くんだい」
タエさんが、一瞬で二人の背後に回り込んだ。
そして、首筋に手刀を落とした。
二人の護衛が、地面に倒れた。
三秒。
四人の護衛が、全員無力化された。
「ひ」
御子柴が、後ずさった。
その顔には、恐怖が浮かんでいる。
「化け物。化け物だ」
「従業員だ」
俺は、御子柴の前に立った。
「お前の負けだ。投降しろ」
御子柴が、懐に手を伸ばした。
銃だろうか。
その時。
黒い影が、御子柴の足元を横切った。
「にゃ」
タマだ。
縁側から降りて、悠々と庭を横断している。
御子柴など、眼中にない様子だ。
ただ、日向ぼっこの場所を変えたかっただけらしい。
だが、その結果。
「なっ」
御子柴が、バランスを崩した。
足がもつれ、銃を抜く手が止まる。
その隙を、ミレイは逃さなかった。
「わたし、きれい?」
ミレイの声が、庭に響いた。
御子柴の動きが、完全に止まった。
口裂け女の問いかけ。
答えるまで、動けない。
御子柴の目が、恐怖で見開かれた。
口が動くが、声が出ない。
「答えてください。わたし、きれい?」
ミレイが、マスクを外した。
裂けた口が、耳まで届いている。
「ひ、ひいいいっ」
御子柴が、絶叫した。
そのまま、腰を抜かして地面に座り込んだ。
◇
三十分後。
山道から、サイレンの音が聞こえてきた。
パトカーが、門の前に停まる。
桐生と、公安の部隊が降りてきた。
御子柴は、まだ地面に座り込んでいた。
ミレイの問いかけへの答えを、まだ絞り出せずにいる。
涙と鼻水で、顔がぐちゃぐちゃだ。
「御子柴。不法侵入、暴行未遂、その他もろもろの容疑で逮捕する」
桐生が、手錠を取り出した。
「き、桐生。貴様、公安が」
「証拠は揃ってる。お前の情報源だった宮脇も、全部吐いた」
桐生が、静かに言った。
「お前が裏で何をしてきたか、全部バレてる。政界のコネクションも、もう終わりだ」
御子柴が、地面に突っ伏した。
その背中が、小刻みに震えている。
「こんな。こんなはずでは」
その時。
農具小屋から、黒田が出てきた。
「あの、社長。出番ですか?」
「いや、もう終わった」
黒田が、御子柴を見下ろした。
その目が、少し複雑そうだった。
「御子柴さん」
黒田の声は、意外と落ち着いていた。
「俺、前の会社であなたの噂を聞いてました。逆らったら終わりだって」
御子柴が、顔を上げた。
涙と鼻水で、顔がぐちゃぐちゃだ。
「でも、今の会社は違うんです」
黒田が、首をかしげた。
「俺が熱出した時、社長は『有給使え』って言ってくれたんです。前の会社じゃ、熱出しても出勤しろって言われてたのに」
黒田が、御子柴を見下ろした。
「それだけで、俺には十分なんですよ」
御子柴が、黒田を見上げた。
何を言っているのか、理解できないという顔だ。
「あなたの会社は、どうでした?」
御子柴の目が、揺れた。
そして、何も答えずに、顔を伏せた。
タエさんが、俺の隣で小さく笑った。
「あの子、言うようになったねえ」
「ああ」
ミレイが、マスクを戻しながら言った。
「でも、黒田さん。有給、本当に使ってくださいね」
「え? いや、まだ仕事が」
「それがブラックなんですよ」
ミレイが、ため息をついた。
桐生が、御子柴に手錠をかけた。
「連行しろ」
部下たちが、御子柴を連れていく。
パトカーに乗り込む直前。
御子柴が、一度だけ振り返った。
「雨神さん」
その声は、もう震えていなかった。
「私を潰しても、何も変わりませんよ。この国には、私のような人間がいくらでもいる」
御子柴の目が、どこか冷めていた。
追い詰められた獣ではなく、諦めた人間の目だ。
「あなたの『従業員』も、いつか同じ目に遭う。そうならないことを、祈っていますよ」
パトカーのドアが閉まった。
俺は、何も答えなかった。
答える必要がなかった。
だが、その言葉は、少しだけ胸に残った。
◇
夕暮れ。
縁側で、茶を啜っていた。
「終わったな」
桐生が、煙草に火をつけた。
「ああ」
「これで、お前への『貸し』は返したことにしていいか」
俺は、少し考えた。
「いいだろう。現行犯で逮捕できたのは、お前のおかげだ」
「お前が誘い出したんだろうが」
桐生が、煙を吐き出した。
「相変わらず、汚い手を使う」
「褒め言葉として受け取っておく」
桐生が、口の端を歪めた。
「お前のところの会社、公安としても注目してる。また何かあったら、連絡しろ」
「何もないことを祈る」
桐生が、パトカーに乗り込んだ。
サイレンを鳴らさずに、山道を下っていく。
俺は、空を見上げた。
夕日が、山の向こうに沈んでいく。
「社長」
ミレイが、隣に座った。
「お疲れ様でした」
「ああ」
俺は、茶を啜った。
「今日の夕飯は、鍋にしましょうか」
ミレイが、小さく笑った。
「ハチさんが、張り切って準備してますよ」
「そうか」
庭では、ハチさんが大きな鍋を運んでいた。
タエさんが、野菜を刻んでいる。
ユキが、冷蔵庫から肉を出している。
ガンさんが、土蔵の前に座っている。
岩の体から放たれる熱が、鍋を温めるのにちょうどいい。
タマが、縁側で丸くなっている。
さっきの活躍が嘘のように、また寝ている。
ザシキが、箸を並べている。
黒田が、炭を運んでいる。
全員が、ここにいる。
怠惰は正義だ。
だが、守るべきものがあるなら、たまには働く。
そう思いながら、俺は立ち上がった。
「手伝うか」
「社長が手伝うと、逆に遅くなりますよ」
「そうか」
俺は、また座った。
ミレイが、喉の奥で小さく音を立てた。
「冗談です。お箸を並べてください」
「分かった」
俺は、ミレイの隣に座り直した。
山の向こうで、夕日が沈んでいく。
古民家の庭に、笑い声が響いていた。
その時。
スキマの声が、畳の隙間から聞こえた。
「……社長」
俺は、箸を止めた。
「どうした」
「……御子柴のオフィス。さっき、誰かが来た」
スキマの目が、暗く光っていた。
「……書類を、全部持ち去った。御子柴より先に」
俺は、茶碗を置いた。
御子柴は、終わった。
だが、御子柴の「上」は、まだ動いている。
怠惰な生活は、もう少し先になりそうだ。
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