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第8話「光の騎士と、交錯する思惑」
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魔竜公ダリウスとの関係が良くも悪くも王宮内で確固たるものとなり始めた頃、王都に一人の男が帰還した。
その男の登場は、俺の破滅回避計画に新たな、そして最大の変数を投入することになる。
彼の名はセドリック・アークライト。
聖騎士団長にして、BLゲーム『光の騎士と嘆きの魔竜』の原作主人公である。
地方の遠征から帰還した彼は、国王への謁見の後、真っ直ぐに俺の宰相執務室を訪ねてきた。
「失礼する、宰相閣下」
許可もなく扉を開けて入ってきたのは、燃えるような赤毛と誠実そうな翠の瞳を持つ青年だった。
太陽のような明るさと一点の曇りもない正義感を体現したようなその姿は、まさしくゲームの主人公そのものだ。
「これは、アークライト団長。遠征ご苦労だった。国王陛下への報告は済んだのか?」
俺はあくまでポーカーフェイスを崩さず、書類から目を上げて彼に問いかけた。
内心では冷や汗がだらだらと流れている。
(来た。ついに俺を断頭台へ送る張本人が、目の前に現れたか)
「はい。陛下への報告は先ほど。それよりも宰相閣下にお伺いしたいことがあります」
セドリックは鋭い視線で俺を射抜いてきた。
その瞳にはあからさまな警戒と敵意が宿っている。
ゲームのクリストフは平民出身である彼を快く思わず、ことあるごとに嫌がらせをしていた。
その記憶が彼に俺への不信感を抱かせているのだろう。
「巷で噂になっております。閣下が魔竜公と親しくされていると。……一体、何を企んでおられるのですか?」
単刀直入な物言いだ。
清廉潔白で曲がったことが大嫌いな彼らしい。
俺は優雅に椅子に座り直し、指を組んだ。
「企むとは人聞きの悪い。私は宰相として、国防の要であるナイトレイヴン公と連携を深めているだけだ。何がおかしい?」
「おかしいとは言っていません。ですが今まであれほど魔竜公を危険視していた貴方が、急に態度を変えた。何か裏があると考えるのが普通でしょう」
彼の言うことはもっともだ。
俺は内心で頷きながらも、表情には出さない。
「人の心は移ろうものだよ、団長。それに彼と直接話してみて分かったこともある。彼は巷で言われるような化け物ではない。孤独なだけだ」
「……!」
俺の言葉にセドリックはわずかに目を見開いた。
ゲームの彼は正義感ゆえにダリウスを危険視しながらも、彼の抱える孤独にも気づき、最終的には彼を救おうとする。
俺の言葉は彼の心の琴線に、ほんの少しだけ触れたのかもしれない。
だが俺への疑念が晴れたわけではない。
「貴方の言葉が本心であることを願います。ですが忘れないでいただきたい。もし貴方がその権力を使って不正を働き、人々を苦しめるようなことがあれば、この聖騎士団長セドリック・アークライトが、全力で貴方を断罪するということを」
それは明確な宣戦布告だった。
セドリックの清廉潔白な光は、闇の住人である悪役宰相にとって何よりも厄介な脅威だ。
原作通り彼と敵対すれば、それは新たな破滅フラグの樹立を意味する。
かといって彼に媚びを売るわけにもいかない。
悪役宰相としてのプライドがそれを許さない。
「覚えておこう。だが君も覚えておくといい。正義というものは、時に刃となって真実さえも見えなくさせるということをな」
俺は意味深な言葉で彼を牽制する。
セドリックはフンと鼻を鳴らすと、一礼もせずに部屋を出ていった。
嵐が去った執務室で、俺は深いため息をついた。
ラスボスに加えて、主人公の監視までつくとは。
俺の異世界ライフはますますハードモードになっていくようだ。
その男の登場は、俺の破滅回避計画に新たな、そして最大の変数を投入することになる。
彼の名はセドリック・アークライト。
聖騎士団長にして、BLゲーム『光の騎士と嘆きの魔竜』の原作主人公である。
地方の遠征から帰還した彼は、国王への謁見の後、真っ直ぐに俺の宰相執務室を訪ねてきた。
「失礼する、宰相閣下」
許可もなく扉を開けて入ってきたのは、燃えるような赤毛と誠実そうな翠の瞳を持つ青年だった。
太陽のような明るさと一点の曇りもない正義感を体現したようなその姿は、まさしくゲームの主人公そのものだ。
「これは、アークライト団長。遠征ご苦労だった。国王陛下への報告は済んだのか?」
俺はあくまでポーカーフェイスを崩さず、書類から目を上げて彼に問いかけた。
内心では冷や汗がだらだらと流れている。
(来た。ついに俺を断頭台へ送る張本人が、目の前に現れたか)
「はい。陛下への報告は先ほど。それよりも宰相閣下にお伺いしたいことがあります」
セドリックは鋭い視線で俺を射抜いてきた。
その瞳にはあからさまな警戒と敵意が宿っている。
ゲームのクリストフは平民出身である彼を快く思わず、ことあるごとに嫌がらせをしていた。
その記憶が彼に俺への不信感を抱かせているのだろう。
「巷で噂になっております。閣下が魔竜公と親しくされていると。……一体、何を企んでおられるのですか?」
単刀直入な物言いだ。
清廉潔白で曲がったことが大嫌いな彼らしい。
俺は優雅に椅子に座り直し、指を組んだ。
「企むとは人聞きの悪い。私は宰相として、国防の要であるナイトレイヴン公と連携を深めているだけだ。何がおかしい?」
「おかしいとは言っていません。ですが今まであれほど魔竜公を危険視していた貴方が、急に態度を変えた。何か裏があると考えるのが普通でしょう」
彼の言うことはもっともだ。
俺は内心で頷きながらも、表情には出さない。
「人の心は移ろうものだよ、団長。それに彼と直接話してみて分かったこともある。彼は巷で言われるような化け物ではない。孤独なだけだ」
「……!」
俺の言葉にセドリックはわずかに目を見開いた。
ゲームの彼は正義感ゆえにダリウスを危険視しながらも、彼の抱える孤独にも気づき、最終的には彼を救おうとする。
俺の言葉は彼の心の琴線に、ほんの少しだけ触れたのかもしれない。
だが俺への疑念が晴れたわけではない。
「貴方の言葉が本心であることを願います。ですが忘れないでいただきたい。もし貴方がその権力を使って不正を働き、人々を苦しめるようなことがあれば、この聖騎士団長セドリック・アークライトが、全力で貴方を断罪するということを」
それは明確な宣戦布告だった。
セドリックの清廉潔白な光は、闇の住人である悪役宰相にとって何よりも厄介な脅威だ。
原作通り彼と敵対すれば、それは新たな破滅フラグの樹立を意味する。
かといって彼に媚びを売るわけにもいかない。
悪役宰相としてのプライドがそれを許さない。
「覚えておこう。だが君も覚えておくといい。正義というものは、時に刃となって真実さえも見えなくさせるということをな」
俺は意味深な言葉で彼を牽制する。
セドリックはフンと鼻を鳴らすと、一礼もせずに部屋を出ていった。
嵐が去った執務室で、俺は深いため息をついた。
ラスボスに加えて、主人公の監視までつくとは。
俺の異世界ライフはますますハードモードになっていくようだ。
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