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第16話 氷の騎士の告白と、運命の光
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グランヴェル侯爵の計画を阻止した日の夜、俺はサイラスの隠れ家を訪れていた。
二人きりの部屋には、安堵と、そしてまだ終わらない戦いへの緊張感が混じり合っていた。
「……ありがとう、サイラス。お前のおかげで、リリアナを救えた」
俺が心からの感謝を伝えると、彼は静かに首を振った。
「礼を言う必要はない。俺が、そうしたかっただけだ」
彼の言葉に、俺の胸が小さく痛んだ。
彼がなぜここまでしてくれるのか。俺はその理由を、ずっと聞けずにいた。彼が俺に執着する理由を、知るのが怖かったのかもしれない。
しかし、もう逃げるわけにはいかない。俺は覚悟を決め、彼に向き直った。
「サイラス。教えてくれ。なぜ、ここまで俺に協力してくれる? そして、なぜ、俺に執着するんだ?」
俺のまっすぐな問いに、サイラスは少しだけ躊躇うように視線を彷徨わせた。
そして、重い口を開き、彼の過去を語り始めた。
「……俺がまだ、十歳にも満たない頃の話だ」
彼の声は、いつもより少しだけ低く、沈んでいた。
「俺は、ある陰謀に巻き込まれた。家督争いだ。俺は嫡男だったが、それを妬む親族によって、命を狙われたんだ」
それは、ゲームでは語られなかった、彼の壮絶な過去だった。
「森の奥で、俺は暗殺者に斬られ、崖から突き落とされた。誰も助けに来ない、暗く冷たい場所で、俺は死を待つだけだった」
彼の話を聞きながら、俺は息を呑んだ。氷の騎士と呼ばれる彼の、その氷のような心の殻は、そんなにも悲しい過去によって作られたものだったのか。
「朦朧とする意識の中、俺は一つの光を見た。温かく、優しく、まるで陽だまりのような光。その光が、俺の体を包み込んだ。そして、次に目を覚ました時、俺は騎士団に保護され、傷は不思議なことに塞がっていた」
彼はそこで一度言葉を切り、静かに俺の瞳を見つめた。
「後にも先にも、あんな不思議な体験はしたことがない。あれが何だったのか、誰が助けてくれたのか、今もわからない。ただ、覚えているのは……あの温かい光のような魔力の色だけだ」
そして、彼は言った。
「お前の持つ魔力の色が、あの時俺を救ってくれた、名も知らぬ人物と、全く同じ色なんだ、アシェル」
その言葉に、俺はハッとした。
(転生……まさか、俺の魂がこの世界に来たことと、何か関係があるのか?)
俺自身、この体にはアシェル本来の魔力とは別に、何か温かいエネルギーのようなものが宿っているのを感じていた。それが、前世から持ち越した、俺自身の魂の力だというのだろうか。
「だから、初めてパーティーでお前を見た時から、目が離せなかった。最初はただ、あの時の光との関係を知りたかっただけだ。だが……」
サイラスは俺の手に、そっと自分の手を重ねた。彼の体温が、じわりと伝わってくる。
「お前を知るうちに、そんなことはどうでもよくなった。お前の優しさ、強さ、そして不器用さ。そのすべてに、俺は惹かれていた。俺の凍てついた心を溶かしてくれたのは、お前なんだ、アシェル」
彼は、俺に運命的な何かを感じていたのだ。そして、その運命は、いつしか確かな愛情へと変わっていた。
彼の告白に、俺は何も言えなかった。ただ、重ねられた彼の手を、強く握り返すことしかできなかった。
俺たちの間にあるこの繋がりが、ただの偶然ではないのだとしたら。そう思うと、胸が熱くなった。
二人きりの部屋には、安堵と、そしてまだ終わらない戦いへの緊張感が混じり合っていた。
「……ありがとう、サイラス。お前のおかげで、リリアナを救えた」
俺が心からの感謝を伝えると、彼は静かに首を振った。
「礼を言う必要はない。俺が、そうしたかっただけだ」
彼の言葉に、俺の胸が小さく痛んだ。
彼がなぜここまでしてくれるのか。俺はその理由を、ずっと聞けずにいた。彼が俺に執着する理由を、知るのが怖かったのかもしれない。
しかし、もう逃げるわけにはいかない。俺は覚悟を決め、彼に向き直った。
「サイラス。教えてくれ。なぜ、ここまで俺に協力してくれる? そして、なぜ、俺に執着するんだ?」
俺のまっすぐな問いに、サイラスは少しだけ躊躇うように視線を彷徨わせた。
そして、重い口を開き、彼の過去を語り始めた。
「……俺がまだ、十歳にも満たない頃の話だ」
彼の声は、いつもより少しだけ低く、沈んでいた。
「俺は、ある陰謀に巻き込まれた。家督争いだ。俺は嫡男だったが、それを妬む親族によって、命を狙われたんだ」
それは、ゲームでは語られなかった、彼の壮絶な過去だった。
「森の奥で、俺は暗殺者に斬られ、崖から突き落とされた。誰も助けに来ない、暗く冷たい場所で、俺は死を待つだけだった」
彼の話を聞きながら、俺は息を呑んだ。氷の騎士と呼ばれる彼の、その氷のような心の殻は、そんなにも悲しい過去によって作られたものだったのか。
「朦朧とする意識の中、俺は一つの光を見た。温かく、優しく、まるで陽だまりのような光。その光が、俺の体を包み込んだ。そして、次に目を覚ました時、俺は騎士団に保護され、傷は不思議なことに塞がっていた」
彼はそこで一度言葉を切り、静かに俺の瞳を見つめた。
「後にも先にも、あんな不思議な体験はしたことがない。あれが何だったのか、誰が助けてくれたのか、今もわからない。ただ、覚えているのは……あの温かい光のような魔力の色だけだ」
そして、彼は言った。
「お前の持つ魔力の色が、あの時俺を救ってくれた、名も知らぬ人物と、全く同じ色なんだ、アシェル」
その言葉に、俺はハッとした。
(転生……まさか、俺の魂がこの世界に来たことと、何か関係があるのか?)
俺自身、この体にはアシェル本来の魔力とは別に、何か温かいエネルギーのようなものが宿っているのを感じていた。それが、前世から持ち越した、俺自身の魂の力だというのだろうか。
「だから、初めてパーティーでお前を見た時から、目が離せなかった。最初はただ、あの時の光との関係を知りたかっただけだ。だが……」
サイラスは俺の手に、そっと自分の手を重ねた。彼の体温が、じわりと伝わってくる。
「お前を知るうちに、そんなことはどうでもよくなった。お前の優しさ、強さ、そして不器用さ。そのすべてに、俺は惹かれていた。俺の凍てついた心を溶かしてくれたのは、お前なんだ、アシェル」
彼は、俺に運命的な何かを感じていたのだ。そして、その運命は、いつしか確かな愛情へと変わっていた。
彼の告白に、俺は何も言えなかった。ただ、重ねられた彼の手を、強く握り返すことしかできなかった。
俺たちの間にあるこの繋がりが、ただの偶然ではないのだとしたら。そう思うと、胸が熱くなった。
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