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第17話 王子誘拐と、初めての共闘
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グランヴェル侯爵は、もはや後がなかった。偽りの断罪計画が失敗し、彼の立場は危うくなっている。
追い詰められた彼は、常軌を逸した、最後の手段に打って出た。
「アルフォンス王子が、誘拐された!?」
王宮からヴァイス家に極秘に連絡が入ったのは、夜会の一件から数日後のことだった。護衛の騎士数名が殺害され、王子は忽然と姿を消したという。
そして現場には、巧妙に残された一つの偽りの証拠があった。隣国ガルニアの騎士団が使う、特殊な矢だ。
「……侯爵め、なんてことを」
知らせを受けた俺は、すぐに事態を把握した。
これは、グランヴェル侯爵の最後の足掻きだ。王子誘拐の罪をサイラスたちガルニア騎士団になすりつけ、両国間に戦争の火種をつけようというのだ。戦争の混乱に乗じ、実権を握るつもりなのだろう。
俺はすぐさま、サイラスの隠れ家へと走った。
息を切らして駆け込むと、彼はすでに部下から報告を受けており、重々しい表情で地図を広げていた。
「アシェルか。話は聞いているな」
「ああ。侯爵の仕業で間違いない。奴らのアジトに、心当たりは?」
「おそらく、王都の地下に広がる古い水道跡だろう。入り組んでいて、追手を撒くには好都合だ」
話している時間も惜しい。俺たちは互いに目を見合わせ、うなずいた。
「行くぞ、サイラス」
「ああ。王子を救い出す」
王宮や他の騎士団に知らせれば、打つ手が遅れる可能性がある。それに、内通者がいないとも限らない。
俺とサイラスは、二人だけで敵のアジトへ乗り込むことを決意した。
深夜、俺たちは地下水道の入り口に立っていた。じめじめとした空気と、淀んだ水の匂いが鼻をつく。
「ここから先は、罠が多いはずだ。気をつけろ」
「わかってる。こういうのは、ある意味、俺の専門分野だ」
俺はニヤリと笑った。
そう、乙女ゲーム『君光』には、ダンジョン攻略のミニゲームがあったのだ。その舞台が、まさにこの旧地下水道だった。俺は、この場所に隠された罠や抜け道をすべて記憶している。
「こっちだ、サイラス。この先は落とし穴がある」
「この壁のレバーを引けば、隠し通路が開くはずだ」
俺のゲーム知識によるナビゲーションは完璧だった。複雑な迷路を、俺たちは一切の無駄なく進んでいく。
そして、俺が罠を回避するたび、背後を守るサイラスが、襲いかかってくる敵兵を圧倒的な剣技でなぎ倒していく。
「見事な剣だな、サイラス!」
「お前の先導こそ、見事だ、アシェル!」
暗闇の中、俺たちは背中を預け合って戦った。不思議なことに、恐怖は全く感じなかった。
隣にサイラスがいる。それだけで、無敵にさえなれる気がした。
初めての共闘。それは、まるでずっと昔から共に戦ってきたかのように、完璧な連携だった。
そしてついに、俺たちは最深部で、縄で縛られたアルフォンス王子と、待ち構えていたグランヴェル侯爵を発見した。
「よく来たな、ヴァイスの小僧に、裏切り者の騎士団長め!」
侯爵は、醜い笑みを浮かべて俺たちを睨みつけた。その周りを、屈強な傭兵たちが固めている。
「侯爵、もう終わりだ。大人しく投降しろ」
サイラスが静かに剣を構える。
「終わり? これから始まるのだ! お前たちをここで殺し、すべての罪をガルニアになすりつけ、私がこの国を正しく導くのだ!」
狂気に満ちた侯爵の叫びを合図に、最後の戦いが始まった。
追い詰められた彼は、常軌を逸した、最後の手段に打って出た。
「アルフォンス王子が、誘拐された!?」
王宮からヴァイス家に極秘に連絡が入ったのは、夜会の一件から数日後のことだった。護衛の騎士数名が殺害され、王子は忽然と姿を消したという。
そして現場には、巧妙に残された一つの偽りの証拠があった。隣国ガルニアの騎士団が使う、特殊な矢だ。
「……侯爵め、なんてことを」
知らせを受けた俺は、すぐに事態を把握した。
これは、グランヴェル侯爵の最後の足掻きだ。王子誘拐の罪をサイラスたちガルニア騎士団になすりつけ、両国間に戦争の火種をつけようというのだ。戦争の混乱に乗じ、実権を握るつもりなのだろう。
俺はすぐさま、サイラスの隠れ家へと走った。
息を切らして駆け込むと、彼はすでに部下から報告を受けており、重々しい表情で地図を広げていた。
「アシェルか。話は聞いているな」
「ああ。侯爵の仕業で間違いない。奴らのアジトに、心当たりは?」
「おそらく、王都の地下に広がる古い水道跡だろう。入り組んでいて、追手を撒くには好都合だ」
話している時間も惜しい。俺たちは互いに目を見合わせ、うなずいた。
「行くぞ、サイラス」
「ああ。王子を救い出す」
王宮や他の騎士団に知らせれば、打つ手が遅れる可能性がある。それに、内通者がいないとも限らない。
俺とサイラスは、二人だけで敵のアジトへ乗り込むことを決意した。
深夜、俺たちは地下水道の入り口に立っていた。じめじめとした空気と、淀んだ水の匂いが鼻をつく。
「ここから先は、罠が多いはずだ。気をつけろ」
「わかってる。こういうのは、ある意味、俺の専門分野だ」
俺はニヤリと笑った。
そう、乙女ゲーム『君光』には、ダンジョン攻略のミニゲームがあったのだ。その舞台が、まさにこの旧地下水道だった。俺は、この場所に隠された罠や抜け道をすべて記憶している。
「こっちだ、サイラス。この先は落とし穴がある」
「この壁のレバーを引けば、隠し通路が開くはずだ」
俺のゲーム知識によるナビゲーションは完璧だった。複雑な迷路を、俺たちは一切の無駄なく進んでいく。
そして、俺が罠を回避するたび、背後を守るサイラスが、襲いかかってくる敵兵を圧倒的な剣技でなぎ倒していく。
「見事な剣だな、サイラス!」
「お前の先導こそ、見事だ、アシェル!」
暗闇の中、俺たちは背中を預け合って戦った。不思議なことに、恐怖は全く感じなかった。
隣にサイラスがいる。それだけで、無敵にさえなれる気がした。
初めての共闘。それは、まるでずっと昔から共に戦ってきたかのように、完璧な連携だった。
そしてついに、俺たちは最深部で、縄で縛られたアルフォンス王子と、待ち構えていたグランヴェル侯爵を発見した。
「よく来たな、ヴァイスの小僧に、裏切り者の騎士団長め!」
侯爵は、醜い笑みを浮かべて俺たちを睨みつけた。その周りを、屈強な傭兵たちが固めている。
「侯爵、もう終わりだ。大人しく投降しろ」
サイラスが静かに剣を構える。
「終わり? これから始まるのだ! お前たちをここで殺し、すべての罪をガルニアになすりつけ、私がこの国を正しく導くのだ!」
狂気に満ちた侯爵の叫びを合図に、最後の戦いが始まった。
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