婚約破棄された私は、号泣しながらケーキを食べた~限界に達したので、これからは自分の幸せのために生きることにしました~

キョウキョウ

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第3話 周りの反応なんて気にせず

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 周りから声が聞こえてくる。ざわざわと会場が騒がしい。けれど、私の意識は目の前にあるケーキだけに向いていた。次は、どれを食べようかしら。

「あの品行方正で淑女なオリヴィア嬢がケーキを手づかみで次々と、ためらいもなくバクバク食べるなんて……。信じられないよ」
「マルク王子が婚約破棄だ、っておっしゃってるけど……」
「それで、やけ食い?」
「かわいそうに。泣きながら食べているわよ」
「でも、楽しそうに笑っている。彼女、大丈夫かしら?」
「ショックで、どこかおかしくなったんじゃ?」
「いや、でも。あれを止めるのは無理そうよね。なんというか、近寄れない雰囲気があるわ」
「あんなに泣いてるのは、食事制限を命じられていたからでしょうね。妃教育って、とんでもなく厳しいらしいわよ。それでじゃない?」
「王妃にふさわしい体型維持のために、厳しく制限されてるらしいわね」
「今時、あんなに厳しい目標を達成するなんて無茶だったのよ」
「食べちゃダメなんて。私だったら、絶対に耐えられない」

 色々な声が聞こえてくるけど、続けて無視する。今は、このチョコレートケーキを食べることに集中する。味を最大限堪能するために。これは、どんな素晴らしい味がするのかしら。

「なぁ、イジメって本当かな?」
「いいえ、彼女が誰かをイジメしているなんて話は聞いたことないわよ」
「オリヴィア嬢がイジメ? ありえない」
「むしろ、イジメてるのは王子じゃないのか。あんなに泣かせて」
「アイリーンって誰だ? 聞いたことあるか?」
「たしか、最近男爵家に引き取られた子だろ」
「あぁ、例の令嬢ね。複数の男にすり寄ってるとか」

 会話も聞こえてくるが無視を続ける。今は、目の前にある果実を使った美味しそうなフルーツケーキを食べることに集中する。それが一番大事だから。新鮮でみずみずしい果物を使っているので、とても美味しい。

「あ。マルク王子が黙って、いなくなった」
「あの状態のオリヴィア嬢を会場に一人で置いていくなんて、酷いわ」
「きっと、アイリーンって女の所に行ったんじゃない?」
「それって、もしかして……」
「本気で、婚約を破棄するつもりなのかな?」
「みんなが見てたんだもの。それを撤回するのは、不可能でしょう」
「なんで、こんな場所で婚約破棄を告げたんだろうね」
「見世物にしようとしたんじゃないか?」
「どうして?」
「それは、分からないけど。王子の真意なんて知らないよ」

 テーブルの上に置いてあったデザートのケーキをすべて平らげてしまった。満腹になったのは、久しぶりだった。こんな感覚だったわね。とても久々に感じる。非常に長い間、満腹になるまで食べることは許されなかったから。

 お腹もポッコリと膨らんでいて、妊婦さんみたいになっている。着ているドレスがキツくて苦しかった。これ以上は食べられない。だけど、とても満足。久しぶりに、満足いくまで食べられたから。

 誰にも邪魔されず、自由に食べられるだけで幸せだったのね。

「あら?」

 いつの間にか、王子も居なくなっていた。このパーティーの主賓なのに、居なくて大丈夫なのかしら。婚約を破棄された私が心配することでもないかしら。

 とにかく、私は満足した。このまま式が終わるのを大人しく待って、それから家に帰ろうと思う。

 誰も近寄ってこない会場で、私はポツンと1人。パーティーが終わるのを待った。
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