石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未

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27 王城コンテストで得た【魔物討伐隊御用達】と【王家御用達】の名声。

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 そしてついにやって来たこの世界での年末の【王家主催魔道具のコンテスト】の日。
 貴族御用達の魔導具店からうちのような一般店まで幅広く参加しており、貴族御用達店は会場左側、一般魔道具店は会場右側を使う事になっている。
 この場では、城に携わる人たち、つまり魔物討伐隊や騎士団も参加する事になっているし、上は王妃殿下や国王陛下まで参加する大きなイベントだ。

 無論場所を貰えばそこが自分たちの展示スペースとなる為、盗難防止の付与アクセサリーを城から貸して貰い、それを起動させて使う事になる。
 店の展示が終われば各自展示スペースの後ろで座って待機というシステム。
 まるでどこぞの大手イベントのような即売会というか、なんかそんなイメージが沸いたけれど、それはそれ、これはこれ。

 盗難防止の魔道具を起動させ、私たちも3段の棚の一番上には指輪を、二段目には真空の水筒を、三段目にはレインコートと各種レトルトやお湯を掛けるだけで食べられるスープとコップを置いてスタンバイだ。
 三日間開かれるイベントでは、一日目では貴族を、二日目には騎士団や魔物討伐隊や城お抱えの財務部等の偉い方々がやってきて、最終日に王族が見に来るらしく、その間は展示品は盗難防止の魔道具で守られるらしい。

 私達は着物でビシッと決めて参加し、まずは本日一日目の貴族様方がやってくる。
 貴族の方々は一般参加している私達の所までは来ないのが通例で、貴族御用達店を回って華やかに会話をしていらっしゃる。
 つまり、一日目は暇なのだ。


「一日目は暇ですね」
「一日目は貴族御用達店を貴族が回るというのが一般的なので」


 そうして一日目は終わった。
 二日目からは大変だった。
 城で働く方々がお越しになるからだ。


「エンジュ! 皆さんお久しぶりだ!」
「魔物討伐隊隊長のヴァンドナ様」
「お久し振りですヴァンドナ様」
「これが君たちの作った魔道具か。ああ、レインコートと言うことは馬車の幌も作っているのは君たちの魔道具店だったのだな」
「はい」
「新しいのがありますね。この筒みたいなのは何ですか?」
「こちらは24時間お湯が保てるようになった【水筒】と呼ばれる物です」
「ほう、24時間お湯が保てるとな」
「無論検証の結果、水も氷を入れると24時間経っても冷たい水が飲めます」
「それはいいな!!」
「ええ! 魔物討伐では数日外に出っぱなしになったりするのでありがたいですね!」
「こちらの【レトルト】とは、以前見せて貰ったものだな?」
「はい、色々改良して開けやすさを重視しましたが、保存期間の長さは変わっていません。スープは専用のコップを作りましたので、くぼみまでお湯を入れれば丁度いい味のスープになります。袋は開けなければ一か月は持ちますし、その他の料理のレトルトは封を開けなければ二週間後まで食べられます」
「ふむ、是非とも魔物討伐隊に欲しいな!! ここに頼めば【命の花びら】も用意して貰えるのだろうか?」
「我がガーネットでは【命の花びら】は良く作っている商品ですね」
「「「「おおおおお」」」」
「買うのは専ら高レベル冒険者が主ですが」
「ふむふむ、理解した。色々と他も回るとしよう。時にこの上にある宝石は何なのだ?」
「そちらは当店だけが作る【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】が出る付与が付いたアクセサリーとなっております」
「ほう……体感温度が下がる付与とは……これがあれば熱い日差し避けの魔道具と一緒に使えば動きも暑さで鈍るというのが減りそうだな」
「実際使うと結構涼しいです。今では付けてないと駄目なくらいですね。貴族様からの依頼がとても多い品です」
「ふむふむ」
「隊長、この体感温度が下がる付与是非欲しいです」
「そうだな、ありがとうエンジュ、そしてガーネットの皆」
「「「「ありがとう御座います」」」」


 こうして魔物討伐隊が去った後は、やはり【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】は騎士たちにも人気で、財務部や城の中で過ごす人たちにも驚かれ、尚且つ城で仕事をする方々はレトルトにも興味津々だった。
 徹夜で仕事をする事も多いらしく、スープには特に目を輝かせていたのだ。
 これは手ごたえがあるのでは?
 そんな事を考えつつ二日目は終わった。

 そして王族がこられる三日目――会場は異様な程の緊張感に包まれていた。
 ここで王室の目に留まれば、王家御用達となる訳だ。
 エンジュさんは最後の参加と言っていただけに、きっとこのコンテストにでるのは今日で最後だろう。
 最後まで楽しもうと思いつつ、会場が開き王族の方々が現れた。
 そこにはノヴァ様もいて、私を見ると手を振ってくる。
 エンジュさんはムッとしたけれど、私はそんなエンジュさんを見て苦笑いしてしまった。

 貴族御用達店でキャッキャと声を上げて喜ぶ王女殿下。
 それをみながら王族に説明をする貴族店は流石の余裕。やっぱり貴族相手になると変わってくるのね。
 そんな事を思いつつ、後半は一般参加の列を見て回られる。
 すると――。


「やぁ、ガーネットの皆さんにユリ」
「ノヴァ様、お久し振りでございます」
「お久し振りです」
「へぇ……。魔物討伐隊や財務部たちが言っていたのは君たちの店なんだね。【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】のアクセサリーがあると聞いていたけれど、この石は初めて見るな。宝石? それとも天然石?」
「そちらは、稀に取れるというスター宝石となります」
「あの伝説のスター宝石を使ったのかい!?」


 その声に王族、特に王妃殿下は目を光らせツカツカとやってくると、ジッと宝石を見て頬に手を当て「まぁ……本当にスター宝石ね!」とウットリしておられた。
 流石王族、知ってるんだなぁ……と思っていると、盗難防止の魔道具を切って貰う様に言われ、盗難防止の魔道具をオフにすると、ケースを手に取って石と宝石をジッと見つめておられる。


「これに付けられた付与は何です?」
「はい、【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】で御座います」
「ああ、騎士団たちが騒いでいたわ。是非とも城でも導入して欲しいと。財務部も目を輝かせていてよ。特に……レトルトのスープだったかしら」
「こちらとなります」
「そうそう、お湯を注げば美味しいスープでホッと出来るからと。そのお湯を入れるのは筒状の……」
「【水筒】となります」
「それね。色々と人の為に作られた魔道具が沢山ね。特にこの宝石のついた【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】は素晴らしいわ。わたくしたち王族ですら欲しいくらいよ」


 おお、思わぬ言葉にお父様とエンジュさんとセンジュくんが固まってしまっている。
 身に着けているだけで心地いいこの付与は癖になる品物だものね。


「どうした王妃よ」
「ああ、アナタ」
「おお、これは美しいスター宝石だな。滅多にお目に掛かれない代物だというのに、しかも素晴らしい形に色合い、そして正しく煌めくスター宝石だ」
「そうなのよ! わたくしとっても気に入ってしまったわ! それにつけられている付与も素晴らしいの! 【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】ですって。この国の国民や王族ならば絶対に欲しいものだと思うわ」
「うむ、確かにそうだな……ほお、宝石も美しいカットが施されている」
「御父上、御母上、これは是非とも我々王族も欲しいですね」
「私も欲しいですわ!」
「ガーネットでは人の為にと言うアクセサリーや物が多いですわね。レインコートはとても耳にしましてよ。城中の馬車の幌やテントを今急いでこの【撥水】だったかしら? これに変えているという報告は聞いてますもの」
「ああ、魔物討伐隊は特にそうだったな。そう言えば魔物討伐隊の優秀な若者が彫金師になったと聞いたが、エンジュといったか」
「私です」
「なるほど、それで魔物討伐隊に相応しい品を色々作ったのだな。剣を置いても心では剣を置かなかったか」
「はい」


 そうはっきりと口にしたエンジュさんを誇らしく思いながら隣にいると、王妃殿下はずっと宝石を見ていて、欲しいんだろうなぁ……と思いつつ心で苦笑いが出た。
 すると――。


「時に、この展示品は買えるのかしら?」
「えっと、どういう事でしょうか?」
「こんな素晴らしいスター宝石がどうしても欲しくって。ねぇ、アナタ?」
「確かに付与も素晴らしいが、それならば君たちガーネットに城の者達に【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】がついたアクセサリーを納品して貰う『王家御用達』になって貰えば良いのではないか?」
「まぁ! それはいい案ですわ!」


 これには会場にいた魔道具師たちは騒めいた。
 一般参加の店から『王家御用達』と言う言葉が出るとは思っていなかったからだ。


「それに、【ノスタルジーア店】……と言えば、伝わるかしら?」
「伝わりました」
「ふふふ。よろしくね、『ガーネット』の皆さん?」
「それと、君たちの事は『魔物討伐隊御用達』の推薦状も出ていた。それも了承しよう」


 更にざわめきが起き、私たちは「喜んで拝命お受けします」と頭を下げると、お礼の品として指輪の二つを国王陛下と王妃殿下にお渡しすることになり、その場でスターサファイアの指輪の大きさを彫金で弄って国王陛下の指に合う様に調整し、スタールビーの方は王妃殿下の指に合うように調整してお渡しすると、二人は「ああ、これは素晴らしい」と嬉しそうにしながら微笑んでお礼をおっしゃって去って行かれた。
 これにて、ガーネットは【王家御用達店】と【魔物討伐隊御用達店】の二つを手に入れたのだった。

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