高塚くんと森くん

うりぼう

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普通の友達?

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「森ちゃんが足りない……」

机に突っ伏し、ぼそりと呟く。

今まで毎日のように会っていて、クラスが変わってからも毎時間のように押し掛けていたのにここ数日はそれも出来ていない。
何故かというと。

「美化委員だっけ?強化月間だもんなあ。しかも委員長とか!おもしれー!」
「おもしろくないいい!森ちゃんに会いに行く時間が削られるなんて……!なんであの時パーを出さなかったオレええええ!!」
「ジャンケンで決めたのかよ委員長」
「うん、誰も候補いなかったから」

佐木の言葉に頷く。
そう、誰も名乗り出なかったからジャンケンで決めたのだ。
ガッデムジャンケン。
ガッデム委員長。

「ちくしょおお、せっかく、せっかく森ちゃんが可愛い顔見せてくれたのにいいい!」
「お?お?何々、進展あったの?教えろよ!」
「やだ、教えない!あの可愛さはオレだけのものだから!あげない!」
「いや別にいらねえから。森の可愛さとかじゃなくて進展あったかだけ教えろよー」
「……あった、かな?」
「でも避けられてんだろ?」
「うっ、さ、佐木が心の傷を抉る……!」
「うははっ、それ進展じゃなくて後退じゃねえの?」
「ううううるさいいい!進展したんですううう!」
「へっ」
「はな、鼻で笑われた……!」

石野の専売特許をこんなところで披露されるとは。
佐木のやつ石野に影響されすぎ!
前はもっと可愛かったのに。
いや森ちゃんがぶっちぎりで一位だけど。

「ふんだ!いいもん、オレだけが知ってれば良いんだから!」

そう、あの可愛い可愛い顔は、オレだけが知っていれば良いのだ。

(ていうか、今が畳み掛けるチャンスなのに……!くっそー……!)

森に会えない代わりに、オレは同じ委員会の女子としょっちゅう一緒にいるようになった。
これが森だったらどんなに楽しいだろうかと考えると、本当にガッデム委員会である。

しかも、この女子が自意識過剰ではなくオレに気があるようで。

「やだあ、もう!高塚くんったら!」

なんて言いながらあからさまに触れてくる。
これが森だったら(以下略)
でもまあ別に何かを仕掛けてくるわけじゃないし。
女の子は女の子で話していて楽しいから(森ちゃんといる楽しさには敵わないけど)オレも適当に相手をするんだけど。

「ねえねえ、高塚くんって彼女いないの?」

ついにこんな質問をされてしまった。

「え?彼女?いないよー」
「ほんと?!」

声高く驚きずいっと身体を寄せてくる彼女。
ほんとにこれが森だったらどんなに(以下略)

「そういえば、森くんって子と噂になってなかった?」
「森ちゃん?」
「うん。付き合ってるの?」
「……ううん、付き合ってないよ」

まだ、だけど。

「!じゃあ普通の友達?」
「うーん、まあ、そうなるかな?」

今はね!
今は!まだ!普通の友達!
……友達とすら思われてなかったら悲しすぎるけど。

「ほんと?!じゃあ私なんてどう?付き合わない?」

心の中で強く言っても当然彼女には聞こえていない。
続けてのセリフに、あー、と苦笑いが浮かぶ。

やっぱりそうきたか。
でも残念ながら、オレは今森しか見えていない。

「え?いや、オレ好きなコいるからムリ」

即答してしまった。
恐らく、オレといい感じだと勘違いしていた彼女はぽかんと口を開く。

「え?誰?」
「森ちゃん」

これまた即答。
ていうか森との噂知ってるなら、オレが森に夢中だって知っててもおかしくないのになあ。

彼女は寝耳に水だったのか、更に目を瞬かせた。

「……え?え?」
「まだ付き合ってないけど、これから付き合う予定なんだー、えへへ」
「あ、そ、そうなんだ?へ、へー……」

盛大に惚気ると、彼女は漸く自分には全く脈がないとわかったのか、乾いた笑いを浮かべてこの話題はさらりと流れた。

あー森の話したらますます会いたくなった。

元気かなあ。
他の変な奴にちょっかい出されてないかな。
早く腕の中にぎゅーっと閉じ込めて匂い嗅いですりすりしたい。

(ちょっと離れただけで禁断症状がやばいな)

自分がこんなにも一人の人間に溺れるなんて、前のオレが見たら目玉ひん剥くだろうなあ。
でもこれは凄く良い変化だと思う。

だから早く、早く。
早く森に会いたい!
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