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次の日も大図書館へ行く。
カウンターで預かってもらっていた本を持って昨日の場所に行くと、すでに昨日の彼が先に座って待っていた。
「おう!やっときたか!」
手を振って挨拶してくる。
いつから待っていたのだろう。兄の仕事に行くのに合わせて来たので、そこまで早くない。ずっと待っていたと思うと少し怖かった。
彼は立ち上がって私に近づいて来たので、一歩後退りする。
でも彼は気にしていないのか、私の持つ本を半分以上を引き受けるように机に運んでくれた。
「あっ・・・」
「何んだ?」
机に置いたところで、私は咄嗟に声が出た。
彼は急かさない。
私の話の続きを待ってくれている。
落ち着いて・・・。
一息ついて言葉にする。
「話合い・・・するなら、ここじゃない方が・・・いいと、思います」
家族以外の人の前で意見することがないので、自信がなくて声が小さくなってしまう。
「そうか、そうだな。うるさくしてはいけないし。個室があるって言ってたな。そこにいこう」
彼は少し考えた後、頷くと再び本を抱え、軽い歩みで奥の個室へと向かった。
個室に入る瞬間つまずく。一段高くなっていたようだ。
彼が慌てて声をかけてくる。
「大丈夫か?」
「あ、・・・はい」
なんとか体勢を保つと部屋に入った。
私は机に本を置きメモ書きを広げていく。彼も本を置くと早速メモを手に取る。いくつも見ているうちに、だんだんニヤニヤと頬を緩めていった。
「すげぇ・・・」
その言葉に嘘などはなく、心から出たものだとわかり嬉しくなる。
「よく分析してる。そうか・・・そう捉えることもできるのか・・・」
一人呟く彼が面白い。
今は何を言っても聞こえていないだろう。話し合いと言いながら何も喋らないのも気まずい気もするが静かならまぁよい。
私は昨日の続きの本を読み出した。
暫くして、彼が声をかけてくる。
「ちょっといいか?」
顔をあげると、彼はメモの一枚を指さしていた。
「なぜ、これは女性発祥の話だと思った?俺は男性の思想であり、男性側のものだと思っていたのに、それとは全く逆だ。根拠はなんだ?」
伝承の発生源のことだ。
それは・・・・・・。
こんなことを聞かれるとは思わず、焦る。
「端的に言ってもいいし、感覚的な表現でもいい。焦らなくていいから教えてくれ」
穏やかな黒い瞳が真正面から見てきた。その私は息を吸い込み、ゆっくりと話す。
「女性目線だと、思ったからです」
「女性目線?」
「はい。当時の女性の生活は・・・家庭での生活の基準でした。それには子育ても含まれます。・・・主に母親が子供に言い聞かせや寝物語にするために伝承を語ります。その過程で話を短略化したり、自己解釈するのは当たりまえかと。そしてそれを覚えるのは子供なのですから、彼らが大人になりまたその子供に伝われば当然変化します・・・」
「だから、もとは女性からだと・・・」
頷く私を見ながら彼は顎に手を添え考え込んだ。
私はこんなに澱まずに話し終えた自分に驚く。
やり切った感で満たされる。
「そうか・・・。そんな考え方もありだな。じゃあ、これは??」
再び聞いてくる。
私はまた答えた。
話の資料が足らなくなると、本を探しに二人で行く。再び本を読みわかったことや疑問に思うことを書き連ねて、議論する。メモする紙が足らなくなりカウンターにも幾度も往復していた。
気づけば、部屋の隅には司書のお姉さんがメモ紙の補充や本の返却などを手伝ってくれている。
散らばったメモを黙々と種類別に整理もしてくれていた。
そうしてあっという間に帰る時間になって、兄が迎えにくる。
「また、明日な」
「はい」
そうして大図書館での1日を終えた。
この日、屋敷にたどり着いた頃に喉の痛みを覚え、なぜだろうかと考える。
寝る頃になって、これほど喋ったのははじめてかもしれないことにやっと気づいたのだった。
カウンターで預かってもらっていた本を持って昨日の場所に行くと、すでに昨日の彼が先に座って待っていた。
「おう!やっときたか!」
手を振って挨拶してくる。
いつから待っていたのだろう。兄の仕事に行くのに合わせて来たので、そこまで早くない。ずっと待っていたと思うと少し怖かった。
彼は立ち上がって私に近づいて来たので、一歩後退りする。
でも彼は気にしていないのか、私の持つ本を半分以上を引き受けるように机に運んでくれた。
「あっ・・・」
「何んだ?」
机に置いたところで、私は咄嗟に声が出た。
彼は急かさない。
私の話の続きを待ってくれている。
落ち着いて・・・。
一息ついて言葉にする。
「話合い・・・するなら、ここじゃない方が・・・いいと、思います」
家族以外の人の前で意見することがないので、自信がなくて声が小さくなってしまう。
「そうか、そうだな。うるさくしてはいけないし。個室があるって言ってたな。そこにいこう」
彼は少し考えた後、頷くと再び本を抱え、軽い歩みで奥の個室へと向かった。
個室に入る瞬間つまずく。一段高くなっていたようだ。
彼が慌てて声をかけてくる。
「大丈夫か?」
「あ、・・・はい」
なんとか体勢を保つと部屋に入った。
私は机に本を置きメモ書きを広げていく。彼も本を置くと早速メモを手に取る。いくつも見ているうちに、だんだんニヤニヤと頬を緩めていった。
「すげぇ・・・」
その言葉に嘘などはなく、心から出たものだとわかり嬉しくなる。
「よく分析してる。そうか・・・そう捉えることもできるのか・・・」
一人呟く彼が面白い。
今は何を言っても聞こえていないだろう。話し合いと言いながら何も喋らないのも気まずい気もするが静かならまぁよい。
私は昨日の続きの本を読み出した。
暫くして、彼が声をかけてくる。
「ちょっといいか?」
顔をあげると、彼はメモの一枚を指さしていた。
「なぜ、これは女性発祥の話だと思った?俺は男性の思想であり、男性側のものだと思っていたのに、それとは全く逆だ。根拠はなんだ?」
伝承の発生源のことだ。
それは・・・・・・。
こんなことを聞かれるとは思わず、焦る。
「端的に言ってもいいし、感覚的な表現でもいい。焦らなくていいから教えてくれ」
穏やかな黒い瞳が真正面から見てきた。その私は息を吸い込み、ゆっくりと話す。
「女性目線だと、思ったからです」
「女性目線?」
「はい。当時の女性の生活は・・・家庭での生活の基準でした。それには子育ても含まれます。・・・主に母親が子供に言い聞かせや寝物語にするために伝承を語ります。その過程で話を短略化したり、自己解釈するのは当たりまえかと。そしてそれを覚えるのは子供なのですから、彼らが大人になりまたその子供に伝われば当然変化します・・・」
「だから、もとは女性からだと・・・」
頷く私を見ながら彼は顎に手を添え考え込んだ。
私はこんなに澱まずに話し終えた自分に驚く。
やり切った感で満たされる。
「そうか・・・。そんな考え方もありだな。じゃあ、これは??」
再び聞いてくる。
私はまた答えた。
話の資料が足らなくなると、本を探しに二人で行く。再び本を読みわかったことや疑問に思うことを書き連ねて、議論する。メモする紙が足らなくなりカウンターにも幾度も往復していた。
気づけば、部屋の隅には司書のお姉さんがメモ紙の補充や本の返却などを手伝ってくれている。
散らばったメモを黙々と種類別に整理もしてくれていた。
そうしてあっという間に帰る時間になって、兄が迎えにくる。
「また、明日な」
「はい」
そうして大図書館での1日を終えた。
この日、屋敷にたどり着いた頃に喉の痛みを覚え、なぜだろうかと考える。
寝る頃になって、これほど喋ったのははじめてかもしれないことにやっと気づいたのだった。
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