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夕方になるのはあっという間にだった。
司書のお姉さんに声をかけられて、初めてそんな時間になっていることに気づく。昼ごはんも食べるのを忘れてい没頭していたみたい。
まだやり残していることもあるので片付けせずにこのままの状態にしておきたいと思ってしまう。そんな私の気持ちを司書のお姉さんは察したのか、「本を預かりましょうか」と提案してくれた。
明日も見たいものだけをカウンターに預けることにして、残りは返却ボックスに入れる。それでも10冊ほどは預けることになりそうなので二人で運ぶことにした。
さっと、帰り支度をして本を抱えてカウンターに行くと、先ほどの男性が立っている。
「へぇ~、本当に読んでるんだな」
私たちが持つ本を見て、おちゃらけた感じで言ってきた。それが不快でたまらない。
いつもならこんな感情を持たないのに・・・。
避けるようにしてカウンターに本を預けにいく。
「おいっ!」
何も反応をしなかったのが気に入らないのか、彼は大きな声を出した。
その声に思わず身をすくめる。荒々しい声もきつい言い方も怖く聞こえて嫌いだ。
「お静かに願います」
お姉さんの言葉に彼はぐっと口を結び、視線を逸らす。
「すみません・・・」
小さく謝ったあと、私をチラリと見てくる。
「えっと・・・さっきは言いすぎた。ちゃんと読んでるのはわかった・・・」
歯切れ悪い声にそそられ、顔を上げて彼を正面から見た。
「明日もくるのか?」
「・・・その、つもり・・・ですが?」
「じゃあ、意見交換しよう!」
「・・・・・・」
意見交換??
話が追いつかない。
明日もくると聞いた瞬間、彼の綺麗な顔が輝きキラキラとした視線を向けてきた。話の意図が首を傾げる私に気づきもせず興奮したように話しだす。
「女性がそんな本を読んでいるのを初めて見た。貴重だ。ぜひ女性観点での意見が聞きたい」
見た目より子供なのだろうか。
今まで他人とあまり関わりを持ったことがないので、どう反応して良いのかわからず困ってしまう。ましてや、兄やマルス様以外の異性に声をかけられ戸惑っていた。なんと返すのが正解なのだろう。
「ノエル~?」
タイミングよく、兄の声が入り口から聞こえてくる。
やっと来てくれた。
逃げるように私は声のする方に急足で向かう。
「明日待ってる」
返事ができなかった。
この場所から立ち去りたい。早足で出口に向かった。
出入り口でいた兄の胸に飛び込んだ。
「ノエル?」
「お兄様。帰りましょう」
「子供だなぁ」
兄はそう言いながら私の頭をなでる。
それだけのことだがほっとした。
司書のお姉さんに声をかけられて、初めてそんな時間になっていることに気づく。昼ごはんも食べるのを忘れてい没頭していたみたい。
まだやり残していることもあるので片付けせずにこのままの状態にしておきたいと思ってしまう。そんな私の気持ちを司書のお姉さんは察したのか、「本を預かりましょうか」と提案してくれた。
明日も見たいものだけをカウンターに預けることにして、残りは返却ボックスに入れる。それでも10冊ほどは預けることになりそうなので二人で運ぶことにした。
さっと、帰り支度をして本を抱えてカウンターに行くと、先ほどの男性が立っている。
「へぇ~、本当に読んでるんだな」
私たちが持つ本を見て、おちゃらけた感じで言ってきた。それが不快でたまらない。
いつもならこんな感情を持たないのに・・・。
避けるようにしてカウンターに本を預けにいく。
「おいっ!」
何も反応をしなかったのが気に入らないのか、彼は大きな声を出した。
その声に思わず身をすくめる。荒々しい声もきつい言い方も怖く聞こえて嫌いだ。
「お静かに願います」
お姉さんの言葉に彼はぐっと口を結び、視線を逸らす。
「すみません・・・」
小さく謝ったあと、私をチラリと見てくる。
「えっと・・・さっきは言いすぎた。ちゃんと読んでるのはわかった・・・」
歯切れ悪い声にそそられ、顔を上げて彼を正面から見た。
「明日もくるのか?」
「・・・その、つもり・・・ですが?」
「じゃあ、意見交換しよう!」
「・・・・・・」
意見交換??
話が追いつかない。
明日もくると聞いた瞬間、彼の綺麗な顔が輝きキラキラとした視線を向けてきた。話の意図が首を傾げる私に気づきもせず興奮したように話しだす。
「女性がそんな本を読んでいるのを初めて見た。貴重だ。ぜひ女性観点での意見が聞きたい」
見た目より子供なのだろうか。
今まで他人とあまり関わりを持ったことがないので、どう反応して良いのかわからず困ってしまう。ましてや、兄やマルス様以外の異性に声をかけられ戸惑っていた。なんと返すのが正解なのだろう。
「ノエル~?」
タイミングよく、兄の声が入り口から聞こえてくる。
やっと来てくれた。
逃げるように私は声のする方に急足で向かう。
「明日待ってる」
返事ができなかった。
この場所から立ち去りたい。早足で出口に向かった。
出入り口でいた兄の胸に飛び込んだ。
「ノエル?」
「お兄様。帰りましょう」
「子供だなぁ」
兄はそう言いながら私の頭をなでる。
それだけのことだがほっとした。
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